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❁入学式❁

○○

可愛い〜!!

真新しい制服に身を包んだ私を映した鏡を見つめて思わず独り言。

可愛いっていうのは、もちろん私じゃなくて制服のほう。

私《季元○○》 15歳は、今日からいよいよ高校生の仲間入りを果たす。

やっぱりアノコトは気に掛かるけど、南高にして良かった。

それに赤いリボン。

ずっと憧れていた可愛い制服を、ついに私が着る日が来るなんて! 中学の時なんて、だっさーいセーラー服だったから。

猫っ毛の、生まれつき茶色くて、肩くらいまで伸びた真っすぐな髪をいつもより念入りにブローする。

ママ

○○、そろそろ行かないと入学式遅れちゃうわよ

○○

はーい、ママ。行きまーす!

私は新しいカバンを持って、自分の部屋を飛び出した。

新品の黒いローファーの履き心地に違和感を覚えながら、玄関を出る。

ブォォォン―。

ママが真っ赤なスポーツカーをふかしながら待っていた。相変わらず派手な車。でもママによく似合っている。

南高は家から徒歩30分の位置にある。

今日は入学式だから保護者として出席するママの車で南高へ向かう。

助手席に座り込んだ私がシートベルトを締めたのを確認して、ママは車を走らせた。

入学式は午後からで、ちょうどお日様には真上にあった。

ママ

やっぱり○○、その制服似合うわね。絶対新入生の中で1番○○が可愛いわよ

ママの親バカ発言。

○○

ママ、お仕事忙しいんでしょ?わざわざこの日のためだけに東京から帰って来てくれなくてもいいのに

ママの仕事は子供服のデザイナー。結構その世界じゃ有名らしい。

ママが家を空けるようになったのは私が中学に入った頃。

それまで家で主婦業をしながら仕事をしていたママは、仕事に本腰を入れるため、東京に出たのだ。

もちろん寂しかったけど、大好きなママの夢だから反対なんて出来なかった。ママの苦労も知ってたし。それに私は1人じゃなかった。

私のママ《季元麗子》 は今年52歳になるけど、170センチ近い長身にピッタリと体にフィットしたスーツからわかるスタイルは、子供を4人も産んだとは到底思えない。

真っ赤なスポーツカーがよく似合っちゃう自慢のママ!

ママ

可愛い娘の晴舞台なんですもの!駆け付けるのは当然よ!

2週間前の卒業式にも来てくれたし、そういうところは律儀なんだよね。

○○

あ、ママ。そんな事より、あの事ちゃんとマイ兄に注意してくれたの?

ママ

あの事?

○○

だからー、中学校の入学式の悪夢よ!

ママ

ああ、アレね! 面白かったわよね?

○○

面白くなんてないよ。私が、どれだけ恥ずかしかったと思ってるの?

ママ

まあ、マイキーも高3になったんだし、同じような事はしないわよ。たぶん……

○○とマイキーは兄弟

○○

たぶんって……

ママは事の重大性がまったくわかってない。

ママとお喋りしてたら、あっという間に南高に着いた

ママ

じゃあね、○○ビシッと決めるのよ!

入学式でビシッと決めるって言ったって……なんて思いながら私は車から降りた。

ママの車は係の先生に駐車場誘導されてる。

私はこれから3年間通う事になる南高の校舎を見つめた。

決して見た目はキレイとはお世辞にも言えないけど、これから、よろしくね?

玄関の隣には、たぶんクラス表であろう紙が張り出されていて、私と同じ新入生でごった返していた。

うっ!混みすぎだよー。見れるかなぁ?

ひなた

○○はっけーん!私たちまた同じクラスだったよ

○○

ひなたちゃん!本当?!嬉しすぎるっ!

私はひなたちゃんに抱きついた。

駆け寄ってきたのは大親友の 《橘日向》ちゃん。 ひなたちゃんは可愛いというよりもキレイ系。身長は167センチって確か言ってたかな?私より12センチも高い。スラッとしてて、胸くらいまである髪は、ゆる巻きにしていてミルクティーみたいなベージュ色。

ひなた

私たち3組だったよ!ね、中入ろうよ?

○○

うん!!

ひなたちゃんと歩いていると、やっぱりと言いますか、ものすごーく視線を感じる。

○○

ひなたちゃんって高校でもめっちゃくちゃモテそうだね?

ひなた

ああ、さっきすでに1人告ってきたけど……

って早いよ!!

まあ、ひなたちゃんになら一目惚れも納得できるけど。

ひなた

相変わらず○○は自分がどれだけ周りの視線を集める存在かわかってないのね……

○○

へ?

だってみんなが見ているのは、美人でスタイル抜群なひなたちゃんでしょ?私は引き立て役だろうなって思ってるから。

ひなた

マイキーさんは学校来てるの?

○○

知らない。起きたらいなかったから、どこかにいると思うけど

ひなた

また中学の入学式みたいになったら面白いのにねー

○○

って、ひなたちゃんも面白がってる!!高校でもなんて冗談じゃないよ

ひなた

ごめんごめん!!でもマイキーさん南の頭でしょ?マイキーさん目当てで入った新入生もたくさんいるって聞いたし

そう言ったひなたちゃんの顔が少し曇ったのに、私は気づいていなかった。

そうこう言ってるうちに、1年3組の教室に着いた。

お喋りしている人や席に座って携帯をいじってる人など、クラスの半数以上がすでに教室に入っていた。

黒板に張り出されている座席表で自分の席を見つけてカバンを置いた。

窓側の後ろから2番目。ラッキーかも!

ひなた

私、廊下側の1番前だよ。最悪

ひなたちゃんがカバンを席に置いて私の席に近寄ってきた。

○○

ひなたちゃん、私ツイてる気がする!!

ひなた

どうしたの?○○いきなり……

○○

だって憧れの南高の制服着れたし、ひなたちゃんと同じクラスだし、席ココだし

うらやましい……なんてひなたちゃんが心の中で思ってた事は当然知るはずもなく、私は続けた。

○○

絶対、高校生になったら彼氏作るからね!!

ひなた

無理じゃない?

ひなたちゃんのあっさりとした冷たい一言。

○○

ひっどーいー!私そこまでヒドイ顔かな?

ひなた

だけどね○○、マイキーさんが許さないでしょ?

そうなのだ……

私には、マイ兄がいる。

ひなた

○○に彼氏が出来たなんてマイキーさんに報告した日には、相手の男を半殺しくらいにはしそうじゃない

○○

やめてよ!ひなたちゃん!けど、ありえる話だからコワイのよね……

思わず、ため息が出てしまった。

主です!

シーンを変えるのを忘れて道路なのに教室に入ったなどわけのわからない事になってスミマセンデシタ💦💦

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