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網野【オウ】

…あの、みんな…聞いてほしいんだけど

角山【トキ】

んー

進東【ラージュ】

どったのー

網野【オウ】

ぼく、えと…

網野が、バツの悪そうな顔で口を開いた

藤薫

…?

網野が話し始める前に、私は扉の前に立ち、剣を掲げた

その直後、キイ、と扉が開く

藤薫

…え?

振り下ろそうとした剣をしまう

それは────

高嶺

驚いた、ヴィスタリアは私の気配を察知できるのか

高嶺

ふむ、気配を消す魔法を使っていてバレたのは初めてだな

藤薫

…高嶺

高嶺

今はゼロと呼んでくれ

藤薫

っはは、ゼロ…だろうな、というか相変わらずのマイペースだ

高嶺

悪いな、遅くなって

高嶺

まあ私の正体にはほぼほぼの人が気づいていたと思うが

ベリートットで唯一光魔法が使える魔法使いの壱族であるゼロ

闇以外のすべての属性の魔法もこの壱族だけが使える

…そして王の特権のある私、以外のみんなが少しずつ魔法を使えるのも

このゼロがその力を分け与えたからだ

高嶺

予知夢を見るまで気が付かなかった、ベリートットが集まってること

藤薫

バカなのか?

高嶺

うるさい

高嶺

───さて、取り込み中だったようだが

高嶺

オウか、手っ取り早く言ってしまえばいいではないか

網野【オウ】

え?あ、はい…え?

網野【オウ】

ま、待って、正体見ただけで分かるんですか!?

高嶺

ん?ああ、オーラでな

藤薫

仮にもゼロなんだから、それくらいできるに決まっておろう?

藤薫

なんだって、私も軽い魔法を教わったくらいの魔法使いだ

網野【オウ】

わーお…そうでした

角山【トキ】

ん?いや、待てよ

角山【トキ】

それってさ…誰がアランか、とかも見えんじゃねえの?

高嶺

私はアランと会ったことないから分からない

高嶺

知ってるだろ、私が精鋭隊が作られて活躍する前に死んだこと

角山【トキ】

!…ああ、すみません、そうかゼロさん────…

角山【トキ】

みんなに魔力分け与えすぎて、自分が亡くなっちまったんだった

高嶺

わざわざ私の恥を言うな

高嶺

ふつう出生時に魔力量が充分なんだから自分の栄養素にそれが回って少なくなってるなんて思わないだろう

高嶺

ちゃんと計算して与えてたのに…

はあ、とゼロはため息を吐いた

藤薫

(ゼロは猫眷属に近しい特徴も持ってるから仕方ないか)

藤薫

(それより───)

網野【オウ】

呆然と見ている網野に視線を送る

すると次の瞬間私の計らいも無視してゼロがあっと声を上げる

高嶺

そうだ、もうそろそろワンが目を覚ますから話を聞かねば

高嶺

あ、オウにもか

高嶺

やべ

言ってから"取り込み中"がそのことだったことを思い出したゼロは口を覆う

栗山【モノ】

…へ?

日花【エル】

どどどどーーーういうことですかヴィスタリア様!!!!

藤薫

最悪だな…自分の口から出したかったのに

藤薫

まあいい、網野、任せた

網野【オウ】

…は、はい……その…

網野【オウ】

実はずっと…アンダーランドに、協力してたんだ…ご、ごめんなさい!

角山【トキ】

角山【トキ】

…なんかさー、多くね?こういうの

角山【トキ】

そろそろ誰も信用できねえぜ?

イチ【レイス】

…あ、分かった……ワンでしょ

角山【トキ】

ん?

イチ【レイス】

オウってさ…よくワンといたの知らない?

イチ【レイス】

やっぱずっとあーしみたいに脅されてて────!

網野【オウ】

…違う

網野【オウ】

好き…だったんだ、ワンが

ワン

あれェ、オウちゃんだ

オウ

っ!ワン…!

最初に出会ったとき、私は彼を殺そうとした

でも勝てなかった

ワン

…見逃してやってもいい

オウ

え?

ワン

きみは素敵な人だから…殺すのは、惜しい

ワン

俺の恋人となって、俺たちアンダーランドと幸せな世界を作ろう

オウ

…っは、はぁ!?

それからはここで会うようになって

時折、情報を提供したりもしてた

…エルさんをアンダーランドから取り戻したときも

途中で私はカロリーナとエルさんが無意識にガスに呑まれるのを見て

2人が死ぬまで呼吸を抑えて、私だけワンにもらったマスクをつけた

…ワンを殺したっていうタイガさんは、助ける気はなかった

ざわ、と周囲が息を呑んだ

葉山【ニーナ】

オウがずっと…アンダーランドの味方してた……?

西名【ネコ】

で、でも…最後の見殺しってのはどうしようもない…よね、?

角山【トキ】

ガスだって教えてやってたらなんか変わったんじゃねえの

網野【オウ】

ご、めん…なさい

網野【オウ】

今世ではそれを利用して脅されてて…また、同じ、で

震えた声を、日花の落ち着いた声が上書きする

日花【エル】

…ああ、アレ、ガスだったの

その瞬間、全てを委ねるようにみんなが日花の方を見る

日花【エル】

まあいいわ、気づかなかった私の自己責任だし

日花【エル】

オウが情報提供しなくても誰かが何かを使って脅されてたと思うから

日花は驚くほどあっさりと、そう言った

そして、手を差し伸べた

日花【エル】

とりあえず怒るのはアンダーランド全員殺したあとでしょ

網野【オウ】

エル、さ…

藤薫

(日花は…)

藤薫

(なんだか大人になったな)

藤薫

(本来の目的を見据えて、冷静に判断している)

藤薫

(にしても思ったより早く解決したな───)

チラリと日花を盗み見てあることに気がついた

藤薫

(───違うな、私がこうしてほしいことに、気づいてたんだ)

私がふっと笑うと、日花がこちらを見てぴっと親指を立てた

いつかまた、藤かおるその場所で。

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コメント

1

ユーザー

え、オウさんが……?……あ、そっか、だから……なるほど…… だから前の話の最後にヴィスタリア様に剣を向けたんだ……💦前世から今世まで利用され続けていたオウさんが本当のことを話した時、皆の雰囲気が少し悪くなりかけた中エルさんが声を上げたところはめちゃくちゃ最高だった……🥲✨ ゼロさん……!!ゼロさんは初めからオウさんのことも気づいてた、ってやっぱり凄い人なんだなあ……

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