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オオカミでも好きですか?

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オオカミでも好きですか?

3 - オオカミでも好きですか? 第3話

♥

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2021年06月27日

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その日の未明

深田ヨシキ

むにゃむにゃ…

ガチャ、ガタガタガタ──

深田ヨシキ

…ん?

ドバン!

深田ヨシキ

うわっ!?

深田ヨシキ

なんだいまの…?

「なんだお前は!」

深田ヨシキ

親父の声だ…

「いま何時だと思ってる!」

深田ヨシキ

誰か来たのか…?

「…ん?」

「うわぁあぁああ!!!」

深田ヨシキ

親父!?

ヨシキが玄関に駆けつけると そこには──

高梨マドカ

はぁ…はぁ…

深田ヨシキ

高梨…

深田ヨシキ

なんでお前が…

鍵の掛かっていたドアは力ずくで破られ

ヨシキの父親が床の上でのびていた

深田ヨシキ

お前が…やったのか?

高梨マドカ

あんたを…

高梨マドカ

殺す…

深田ヨシキ

おい、やめろ…

高梨マドカ

私は…違う…

深田ヨシキ

来るな!

高梨マドカ

”オオカミ”じゃない…

深田ヨシキ

わ、わかってる…

深田ヨシキ

高梨は”オオカミ”じゃないよな

深田ヨシキ

だから助けてくれ!

高梨マドカ

殺す…

深田ヨシキ

や、やめ…

ヨシキの母親

やめてっ!

息子をかばうため、ヨシキの母がマドカの前に立ちふさがった

ヨシキの母親

この子を殺すなら

ヨシキの母親

私を先に殺しなさい!

深田ヨシキ

母ちゃん…

高梨マドカ

…………

ヨシキの母親

さあ、早く!

深田ヨシキ

やめろ!母ちゃんを殺すな!

高梨マドカ

あ…あ…

高梨マドカ

私…いったい…

高梨マドカ

いやぁあぁああぁ!

その頃、マドカの父親は警察からの電話を受けていた

マドカの父親

本当ですか!?

警察官

はい、たったいま通報がありました

マドカの父親

マドカはどこです?

マドカの父親

すぐに迎えに行きます!

警察官

同級生の家です

警察官

マドカさんは彼に襲い掛かり

警察官

殺そうとしたと…

マドカの父親

そんな…

警察官

現在、マドカさんは逃走中です

警察官

お気の毒ですが…

警察官

マドカさんは”オオカミ”かもしれません

マドカの父親

バカな…そんな…

警察官

武装した警官が彼女を捜索しています

警察官

もし、家に戻ってきたら連絡をお願いします

マドカの父親

…………

警察官

高梨さん、返事をしてください

警察官

聞こえていますか?

ガチャ!

???

これでもう大丈夫よ

高梨マドカ

…………

???

きっとあなたは人間になれる

高梨マドカ

(ここは、どこ?なんでお母さんが生きて…)

???

普通の人間として幸せな人生を送っていくの

高梨マドカ

…お…

???

私みたいに…

???

ならないで…

高梨マドカ

おかあ…さん…

ピピピピ、ピピピピ──

翌朝、マドカは公園のベンチで目を覚ました

高梨マドカ

ここは…どこ?

高梨マドカ

なんで私こんなとこに…

高梨マドカ

あ、お父さんから電話が…

マドカの父親

マドカ!いまどこだ!

高梨マドカ

わかんない…

高梨マドカ

公園…かな?

高梨マドカ

いま目が覚めたとこで…

マドカの父親

すぐにその場から離れろ!

高梨マドカ

え?

マドカの父親

警察がマドカを探してる

マドカの父親

スマホのGPSを調べて

マドカの父親

すでに居場所を特定されているかもしれない

高梨マドカ

ちょ、ちょっと待って…

高梨マドカ

なんの話をしてしてるの?

マドカの父親

自分がやったことを

マドカの父親

覚えてないのか?

高梨マドカ

あ──

ヨシキの母親

『この子を殺すなら』

ヨシキの母親

『私を先に殺しなさい!』

マドカの脳裏に、昨夜の記憶がよみがえった

高梨マドカ

私…どうして…

マドカの父親

スマホの電源を切って

マドカの父親

すぐに逃げるんだ!

マドカの父親

警察は容赦しないぞ

高梨マドカ

なんで…そんな…

マドカの父親

家には戻ってくるな

マドカの父親

母さんのお墓は覚えているな?

マドカの父親

お墓の前で落ち合おう

マドカの父親

警察をまいて、必ず迎えに行くから

マドカの父親

マドカも逃げ延びてくれ!

高梨マドカ

…わかった

マドカの父親

じゃあ、切るぞ

高梨マドカ

待って!

高梨マドカ

最後にひとつだけ聞かせて

高梨マドカ

私は…なんなの?

マドカの父親

…すまない

マドカの父親

ワクチンの効き目が切れたようだ

マドカの父親

いまのマドカは…

マドカの父親

”オオカミ”だ

マドカは公園を離れ、待ち合わせ場所に向かって走った

しかし──

高梨マドカ

はぁ…はぁ…

高梨マドカ

体が…熱い…

ドクン!

高梨マドカ

胸が苦しくて…

高梨マドカ

走れない…

体の自由が利かなくなり、足を引きずって歩くのが精一杯だった

高梨マドカ

私の体、どうなっちゃったの…

高梨マドカ

逃げなきゃ…いけないのに…

それでも生き延びるため、必死に前へ進み続け

いつものバス停に近づいたときだった

中島マユミ

マドカ!?

高梨マドカ

マユ…ミ…

登校中のマユミたちに出くわした

中島マユミ

汗びっしょり…

安川カナエ

また体調が悪いの?

高梨マドカ

部長も…

安川カナエ

保健室まで連れていこう

安川カナエ

中島は左肩を支えて

中島マユミ

はい!

高梨マドカ

違う…

高梨マドカ

学校はダメ…

中島マユミ

なに言ってるの

中島マユミ

こんなに熱があるのに

高梨マドカ

お墓に…

安川カナエ

さあ、行こう

マドカは2人に支えられ、学校へ連れていかれた

高梨マドカ

はぁ…はぁ…

中島マユミ

がんばって、マドカ

中島マユミ

もうすぐだよ

ついに、校門の前までたどり着いたとき

校舎の中から、教師が走り出してきた

担任の教師

なにをしてるんですか!

中島マユミ

先生!校門を開けてください

担任の教師

できません!

中島マユミ

え?

高梨マドカ

はぁ…はぁ…

安川カナエ

高梨、具合が悪いんです!

安川カナエ

このままだと高梨が──

担任の教師

放っておきなさい!

担任の教師

高梨さんは”オオカミ”です!

安川カナエ

…え?

高梨マドカ

…………

担任の教師

食い殺される前に早く

担任の教師

”オオカミ”から逃げて!

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