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カラン、とドアベルが鳴る
ちょうど夕方の仕込みを終えてカウンターに立っていた私は、その音に顔を上げた。
sumire
sumire
入口から入ってきたのは、派手な金色と水色が混じりあった髪の青年。
目立つ色合いは、どこか現実離れしていて、1度見たら忘れられない。
一見すれば”絶対に近寄らない方がいい人”。
正直、最初の印象はそんな感じだった
彼は慣れたようにカウンター席に腰を下ろし、ちらりとこちらに目をやる
rindou
sumire
毎回注文は同じ。
見た目の派手さに反してシンプルなオーダー。
それが妙におかしくて、最初は心の中でクスッと笑ってしまったことを覚えている
sumire
周囲の喧騒から切り離されたようなこの古びた喫茶店。
学生や会社員が一息つきに立ち寄る場所。
あんなに派手な人が常連になるのは、どうにも不思議だった。
だけど気づけば、彼がドアベルを鳴らす瞬間を待つ自分がいた。