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僕の恋人は記憶喪失

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僕の恋人は記憶喪失

8 - 共有したい記憶

♥

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2024年11月16日

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司くん、学校はどうだったかい?

んう?

…そうだな、楽しかったよ

本当かい?

ああ

クラスメイトも先生も、皆良い人ばかりでな

…本当、何も覚えていないのが悔しいよ

司くん…

大丈夫だよ、君の記憶は絶対に戻るから

…あはは、そうだろうか

確信なんかなかったのに

…だから、大丈夫だよ

君に、安心して欲しかったんだ

…ありがとう、類

…もしもこのまま記憶が戻らなかったとしても、

オレは類が居ればそれでいい…そう思うよ

見れば気持ちが溢れてしまう、 そんな君の笑顔

…戻るよ、きっと

類…

戻ったらきっと…君は自ら僕を離れていくだろう

えっ?

そんな…

(そんなこと、あるはずがない…)

(オレは、オレには類が居なくちゃダメなんだ)

…すまないね、こんなこと

…僕は、僕も君と離れたくはない

ずっとずっとそばにいたい

…けれど、無理なんだ

どうして…?

…それは、自分自身に聞いてみるといいよ

(オレは…オレのことを、何も知らないのに?)

(知らないのに、聞く…?)

…そんなこと、オレだって知りたいよ

すまない

っ…

(どうして、今にも泣きそうな顔をしてるんだ…?)

…ごめんね、司くん

なんで類が謝るんだ?

…僕が君に、悪いとそう思ったからだよ

…そっか

(…ダメだな、僕)

(やっぱり僕は、君のとなりになんて居られないのかもしれない)

(…居たら、いけないのかな)

(…支えるって、そう決めたのに)

類…?

ああ…どうしたんだい?

大丈夫だよ、類

えっ?

オレ、本当に類がそばに居てくれるだけで…それでいいんだ

それだけでオレ、幸せだから!

(…変わらないよ、司くんは)

…うん、ありがとう

礼を言うのはこっちの方だ

ありがとうな

そんな、僕は何も…

え?

…類は、ずっとずっと、オレのそばに居てほしい

本気でそう思えた相手は、類がはじめてなんだ

…だから類、類だけはオレから離れないで

ずっと、一緒に居てほしい

司くん…

あはは…どうしてだろうな

こんなワガママ、言うつもりなんてなかったのに…

…類と話してたら、口が勝手に動いてたんだ(笑)

…なんでだろうな

…オレ、きっと類にオレの知らないオレの事まで知って欲しいんだと思う

オレの全部、類にならって…

おかしいよな、こんなの(笑)

どうして笑うんだい?

へっ…

おかしい事なんて、ひとつもないじゃないか

類…

…君がそう思ってくれているのなら、僕はとても嬉しいよ

僕も君に、知って欲しいんだ

…僕のことを

うん、知りたい…

…あはは、こんなの前もしなかったかい?

えっ?そうだったか?

ああ、した(笑)

むう…覚えていないなあ

いいんじゃないかい?

え?

そういう時は、僕の記憶を君に分けたらいい

そうしたら君の覚えていない記憶だって、意味のあるものになるはずだ

ふははっ…なんだそれ

類って天才だな!

…!

「ウチの演出家は天才だからな!」

「お、お前が天才なのは否めんが…」

「類はやっぱり大天才だ!これからもよろしく頼むぞ!」

類?

…ううん、ありがとう

否定はしないのだな!

…ふふ、まぁねぇ

む?

咲希

お兄ちゃん、おかえりなさい!

咲希

るいさんも、来てくれてありがとうございます!

そんな…こちらこそ

ただいま、咲希

天馬母

司、おかえりなさい

…ただいま、母さん

天馬母

神代さんも、いつもありがとうございます

天馬母

司の事…すごく気にかけてくれているみたいで

いえ、僕は大したことはしていませんので…

そんなことはないぞ、類

いつもありがとうな…

もう…司くんってば

天馬母

ふふ、良かったらゆっくりしていってね

はい、ありがとうございます

咲希

それにしても、なんだろうなぁ…

咲希

お兄ちゃんがお家にいるの、久しぶりだからすっごく嬉しいや!

そうだな…

オレも、久しぶりだ

咲希

るいさん、今日はお兄ちゃんを連れてきてくれてありがとうございました!

ううん、僕の方こそ…お邪魔までさせて頂いているし

咲希

気にしないでください!お兄ちゃんも、るいさんが居てくれた方がいいでしょ?

へっ?ああ、そうだな…

類がいてくれた方が、嬉しいな…

なっ…

…な、ならよかったよ

咲希

ふふふっ

…あ、すまない。電話だ

悪いけれど…少し外に出てくるね

咲希

いえ、気にしないでください!

ああ、ありがとう

それじゃあ少し失礼するね

咲希

はい!

バタン

…咲希

咲希

どうしたの?お兄ちゃん

…あの、今まですまなかった

咲希

えぇっ!?どうしてお兄ちゃんが謝るの?

…オレにも、よく分からない

けど、謝りたくて

…咲希には、好きなように生きて欲しいんだ

楽しいことを沢山して、悲しいことも、辛いことも…色々なことを沢山経験して、生きて欲しい

…そう思ったんだ

(…オレは、ちゃんと思えていたのかな)

咲希

…アタシ、幸せだよ!

咲希

好きなように毎日生きてる!

咲希

今は毎日がすっごく楽しくって、辛いことも、イヤな事だって無いワケじゃないけど…

咲希

それも全部、生きてるおかげだなって思えるの!

咲希

そんなふうに思えるのも、思わせてくれたのも。そして、こんな毎日をくれたのも

咲希

全部、お兄ちゃんのおかげだよ!

…オレの?

咲希

うんっ!

咲希

アタシ、小さい頃お兄ちゃんがしてくれてたショーが今でもすっごく心に残ってるんだ

咲希

それ以外にも、お兄ちゃんのピアノだって…だからアタシ、頑張れたの!

咲希

…だからこうして今、いっちゃん達とバンドもやれて、学校にも通えてる!

咲希

アタシね、お兄ちゃんのおかげだってずっと思ってるよ

(ショーを、オレが?)

(…どうしてだろう。胸が、モヤモヤする)

…ありがとうな、咲希

そう言ってもらえて、オレはすごく嬉しい…

けど、それはオレのおかげなんかじゃない

咲希ががんばったから、咲希は元気になれたんだ

…けどオレ、何も覚えていなくってごめんな

咲希

…ううん、ありがとうお兄ちゃん

咲希

早く良くなって、またお兄ちゃん達のショーを観せてね!

(“達”…?)

(…オレ、何か大切なことを忘れているような)

(…けど、どうやっても思い出せない)

(からっぽだ、何もない…)

ガチャ

すまない、思ったよりも遅くなってしまって…

咲希

いえいえ、全然大丈夫ですよ!

ありがとう

咲希くん、時間の方は大丈夫かい?

咲希

アタシの方は大丈夫です!

咲希

るいさん達は、何時頃病院に戻る予定なんですか?

そうだねぇ…あと少ししたら、そろそろ戻ろうかな

司くんの体調の方も心配だしね…

咲希

あの、本当にるいさんにおまかせしちゃって大丈夫─

類…

司くん…?

咲希

お兄ちゃん、どうしたの…!?

…すまん、さっきから頭痛がヒドくて

…とりあえず救急車を

咲希

あ、アタシ電話してきますっ!

…大丈夫だ、少ししたらすぐに…。

大丈夫じゃないだろう…!?

…汗拭くよ

うぅ…

いつから痛んでいるんだい?

さっき…

…とりあえず横になろうか

大丈夫かい?

…ああ

咲希

…るいさん!救急車すぐに来てくれるそうです!

ありがとう咲希くん

天馬母

司、大丈夫…!?

ああ、母さん…

天馬母

救急車、咲希が呼んでくれて…もう来てくれるからね

…ああ

…大丈夫、大丈夫だよ司くん

(類…)

…手、握ってくれてありがとうな

ううん…

っ…

痛むかい…?

痛い…

大丈夫、大丈夫だよ…

(そんな顔、するなよ類…)

(オレ、しぬわけじゃあないんだぞ)

…司くん?

咲希

お、お兄ちゃん…!

咲希

ど、どうしようお母さん…!お兄ちゃん、返事してくれないよ…!

天馬母

…息はしてるわ、大丈夫よ咲希

天馬母

なにも心配要らない…司は強い子だもの

咲希

ああ、よかった…

…大丈夫

…大丈夫だよ、司くん

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