今日は雪(せつ)とのデートの日
雪
悠真(ゆうま)!‼このお花綺麗だよ‼
悠真
そうだね‼植物園来てよかったな
雪
うん‼
雪
あ‼このスミレ綺麗…
悠真
うん。綺麗。君が…
雪
もう…悠真ったら……/////
とかいって楽しんでます。
悠真
あ、もうこんな時間。そろそろ帰ろっか…
雪
んーじゃぁ、あそこの有名なアイス屋さん行ってから帰ろ
悠真
そうだね。手、繋ぐ?
雪
…え、えっと……
悠真
そうだよね。ごめんね馴れ馴れしくてでも
雪
……ううん‼違うの❗手繋ぎたいけど繋げないっていうか
悠真
え?どういうこと?
雪
あ、私、手汗すごくて…
雪
ほら行こう‼アイス屋さん‼
悠真
うん。
手汗なんてどうでもいいのに…
ほんとは照れてるんじゃないかとか考えると愛しくてしょうがない
雪
あ、私苺味にしたけど悠真のチョコも美味しそう……
悠真
食べる?
雪
うん‼
悠真
あーん
雪
へ?え、えっと…あーん/////
そういって僕がスプーンを雪の口のなかにいれると
雪
美味しい////
って照れて言うんだ。
悠真
あ、ねぇ雪
雪
ん?
僕がそういってポケットに手をいれる
悠真
(あれ?ポケットにいれてきたのに…)
悠真
(ない⁉どうしよう…)
雪
どうしたの?
悠真
ううん、何でもない。
悠真
家まで送るよ
雪
ありがとう
他愛もない話をしながら歩くと時間はあっというまで。
もう雪の家についてしまった
彼女へのプレゼントをどうしても渡したくてもう一度ポケットを探る
悠真
ない……
雪
悠真……ちょっとここで待ってて。
そういって雪は一度家に入ってから何かをもって戻ってきた
雪
悠真が探してるのはこれでしょ?
悠真
え……
雪が持っていたのは間違いなく僕が渡そうしていたピンクの手袋だった
悠真
何でそれを…
冷え性の雪のために買った手袋を雪がもっていた……
雪
やっぱり覚えてないんだね。
雪
1年前のこの日私たちはデートの約束をしていたの。
雪
悠真と今日いった屋内の植物園の前で待ち合わせをしていた……
雪
でも、あなたは来なかった
雪
ううん、来れなかった
雪
死んだの。悠真は。信号無視したトラックにはねられて……
雪
そのときに悠真はこの手袋だけは大事そうに守ってた
悠真
あぁ、そうだ…僕は……
そいうことなら雪が持っている手袋についている赤いシミの説明がつく
悠真
その赤いシミは、僕の……血。
悠真
あの日僕は……
雪
すごく悲しかった。どうして死んだの?って思った。
雪
でもね、こうして悠真は私に会いに来てくれた。
悠真
僕は幽霊だから手を繋げないから…雪は僕が最後まで気づかないように嘘をついたんだね……
雪
悠真…これから二人で暮らそう?悠真となら私……
悠真
ううん。雪は他の人と幸せになって
僕がそう言って首をふると雪は悲しそうに僕を見つめる
雪
どうして?何で?
悠真
雪。僕は未練があって雪に会いに来たんだよ。
雪
未練?
悠真
そう、僕の未練は君に手袋を渡すこと
悠真
でもね、その未練は叶ってしまった。
雪
悠真……?グスッ
悠真
さよならだよ。雪。
雪
嫌だよ、悠真ぁ…
悠真
幸せになるんだよ。
そういって僕は雪に背を向けて歩き出す
雪
悠真……!
雪
愛してるから!私が誰と幸せになっても、悠真が世界一大好きだから!
雪
じゃあね……
僕は決して振り返らない
泣いてるところを見られたくないから……
僕は片手で顔をおおう。
悠真
泣かないって決めたのに……
悠真
う……う"ぅ"
僕はゆっくりと雪と共に溶けていく……
10年後。彼女は誰かと結婚して子供もいる
そんなに幸せなのに彼女は…雪は、決して僕を忘れない
毎日空に向かって『悠真、愛してる』って言うんだ
だから僕は僕の命日にたくさんの雪を降らせる
返事の代わりにね。