岐愛前提の三愛

三重視点

最近、夢を視るんや。

愛知が俺のことを一番に好きでいてくれる夢を。

あいつの横を彼氏ヅラして歩いて、あいつの笑顔は俺だけのもので、キスだってセックスだって俺のためなら喜んでしてくれる。だって俺が一番やから。

こんな夢なら、見やん方がましやった。

起きたら顔が濡れとった。 知らんうちに泣いとったらしい。

重い体を引きずり、身支度をする。

愛知の幸せそうな顔。想像するだけで胸が疼く。大好きでたまらないはずなのに同時に涙が込み上げる。 だってあいつは…

胸に小さなわだかまりを残しながら、名古屋行きの電車に乗った。

愛知の好きな喫茶店に来た。でっかいパンケーキを幸せそうに頬張る愛知に思わず笑みが漏れそうになる。

突然何かに気づいたかのようにこちらにパンケーキの刺さったフォークを差し出してきた。これはもしや…

パンケーキの味は殆ど分からんかった。ただ目の前で笑っているやつにとにかく目を奪われていた。

胸がちくっと痛む。

その「大好き」の意味合いがあいつとは微妙に、しかし確実に違うことをなんとなく察した。

その後も飲んだり食ったりした。 何軒ハシゴしたか分からんような状態で、そろそろ終電がまずくなりお開きにすることにした。

酒の酔いが回っているせいか、呂律が回っていない。目もとろんとしており、いわゆる泥酔状態になっている。 俺も弱い方やが、チューハイを一杯飲んだだけでこんなんなるやつは見たこたねえ…

千鳥足で半分寝ているような愛知を引きずり、とりあえず駅まで運ぶことにした。終電はあと少しで行ってまう、急がな…

愛知は華奢だ。東海地方の中で一番小さい。そのくせちょろちょろ動くから危なっかしくて仕方ない。守ってやりたくなる。

目を擦りながら尋ねる愛知。微妙な身長差のせいで上目遣いになっている。

どうやら間に合わなかったらしい。 終電を逃してしまった…

とりあえず愛知に事情を話す。

友達、か

今はその「友達」の立場に甘えたろかな…