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ガチャッ (扉が開く)

セオドア

?…

シゼ

!…

シゼ

(よかった、開けてくださった!)

セオドア

どうされました?

シゼ

た、助けてください!

シゼ

知らない人に追いかけられてるんです。

シゼ

中に入れてもらえませんか?

セオドア

セオドア

それは大変だ、

セオドア

はやく入って。

シゼ

っ、ありがとうございます!

セオドア

そこにでも座ってて。

シゼ

は、はい。

シゼ

ありがとうございます。

シゼ

(はぁ、よかった助かったー…)

セオドア

…にしても、

セオドア

こんな夜に災難だね。

シゼ

はい…。

セオドア

少し待ってて、

セオドア

今、部屋の外の様子を見てくるよ。

セオドア

君を追いかけてる男がここに来るかもしれないから

セオドア

ちょっと話してくる。

シゼ

!?…

シゼ

(えっ、)

シゼ

や、やだ…。

セオドア

セオドア

大丈夫だよ。

セオドア

君がここにいることは絶対に言わないから。

シゼ

!…

シゼ

シゼ

…いや、

シゼ

それもそうなんですけど…

セオドア

?…

シゼ

…ひ、

シゼ

1人じゃ怖いし、貴方様が酷い目に合わないか心配です…。

セオドア

セオドア

セオドア

大丈夫。

セオドア

すぐ戻るよ。ニコッ

セオドア

戻ったよ〜。

シゼ

シゼ

(本当にすぐ戻ってきた…。)

セオドア

降格処分にしといた。

シゼ

!!?

シゼ

(((((((((降格処分!?)))))))))

シゼ

(うそでしょ、あのおじさんを?)

シゼ

(この子が…!?)

セオドア

よかったね、もう大丈夫だよ。

シゼ

は、はい…。

シゼ

ありがとうございました。

シゼ

…それでは、

シゼ

私はここで失礼します。

セオドア

?、

セオドア

どうして?まだここにいなよ。

シゼ

え、

シゼ

いやでも…大丈夫です。

セオドア

怯えてる感じ全然大丈夫じゃなさそうだけど?

シゼ

!…

セオドア

大丈夫。

セオドア

何にもしないから、落ち着くまでここにいなよ。ね?

シゼ

シゼ

…はい。

シゼ

…。

シゼ

(豪華な部屋に、見るからに高そうな絨毯)

シゼ

(加えて細かい装飾が施された家具とシャンデリア)

シゼ

シゼ

(部屋を見るからに、相当身分の高い人ってことは分かるけど…。)

シゼ

(この子、一体何者なんだろう…。)

セオドア

あの

シゼ

シゼ

は、はい!

セオドア

ちょっとお願いがあるんだけどいい?

シゼ

シゼ

もちろんです。

セオドア

僕、執事から『毎日、牛乳を飲め。』って言われてるんだけど、

セオドア

味が苦手で…

セオドア

半分飲んでほしいんだ。

セオドア

できる?

シゼ

はい、大丈夫ですよ。

セオドア

ありがとう。

セオドア

セオドア

はい、どうぞ。

シゼ

ありがとうございます、では、いただきます。

コクッ… (牛乳を飲む)

セオドア

そういえば自分の名前を言ってなかったね。

セオドア

僕は【セオドア・レティオール】。

シゼ

レティオール…様?

セオドア

セオドアでいいよ。

シゼ

あ、わかりました。

シゼ

(セオドアか…かっこいい名前だな。)

シゼ

(しかも顔立ちが美しい。)

シゼ

(可愛い系のレンとは違う…氷を連想させる涼やかな淡麗さがあると言ったらいいかな?)

シゼ

(金髪と小紫色の瞳のコントラストが高貴な感じを引き立ててとても良い。)

セオドア

君は確か…

セオドア

【シゼ・ノーディン】っていう名前だったよね?

シゼ

!?

シゼ

な、なぜ私の名前を…

セオドア

張り紙に書いてあった。

セオドア

クリジア人が城に来る時は必ず張り紙が出るんだよ。

シゼ

…。

シゼ

(えぇ…なんだそれ)

シゼ

(クリジア人だけ働く初日に個人情報ばらまかれてるとか酷すぎる。)

セオドア

でも、

セオドア

…大変だね。

セオドア

親御さんと離れて1人で働くなんて、

セオドア

僕が君くらいの歳だったら寂しくてできないよ。

シゼ

シゼ

そうですね…。

シゼ

シゼ

でも、大丈夫です。

セオドア

そうなの?

シゼ

はい。

シゼ

シゼ

私、いろいろあって母とはめちゃくちゃ仲悪いので

シゼ

1人の方がありがたいくらいです。ニコッ

セオドア

!…

セオドア

……なんで?喧嘩しちゃったの?

シゼ

いえ、

シゼ

単純に嫌われてました。

シゼ

だから、

シゼ

家族のことに関しては全く寂しくないんです。

シゼ

…むしろ、

シゼ

お世話係と離れたことが少し寂しいですね。

シゼ

彼らはいい人でしたから、

シゼ

…。

シゼ

(本当に、可愛がってくれてたな…。)

シゼ

(前世なんかはアレンやアークみたいな人ですらいなかったから…)

シゼ

(彼らの存在はすごく私にとって大きかった。)

セオドア

そっか…。

セオドア

セオドア

嫌なこと聞いてしまったね、申し訳ない。

シゼ

シゼ

(あ、どうしよ)

シゼ

(気使わせちゃった。)

シゼ

全く大丈夫です。

シゼ

むしろ、1人で頑張るぞって気合い入ってるんで気にしないでください。

セオドア

…。

セオドア

そっか、

セオドア

じゃあ君は

セオドア

ここで少しでも頼れる人を見つけられたらいいね。

シゼ

えっ、

セオドア

これは僕自身の考えだから、違うと思ったら聞き流してほしいんだけど

セオドア

あまり1人になりすぎるのは良くないよ。

シゼ

!…

セオドア

僕が君を追いかけてた男を追い払った時も、すぐ部屋を出て行こうとしてたよね。

セオドア

手震えてたのに。

セオドア

それに、さっき話してた時も

セオドア

大丈夫とか、平気とか言ってて

セオドア

ちょっと辛そうな顔してた。

セオドア

辛かったとか、怖かったとか初めて会った僕にでさえ2回も隠したんだ。

セオドア

君はたぶん

セオドア

沢山我慢してきたことあったんだなー…って聞いてて思ったよ。

シゼ

!…

セオドア

実際僕も、前までそうだったんだ。

セオドア

君とは少し違うけど

セオドア

誰も自分のことなんて分かってくれないし、頼る必要なんてないって思ってた。

セオドア

…ずっと、1人で我慢してた。

セオドア

でも、それは間違ってた。

セオドア

辛かったら辛い、

セオドア

怖かったら怖いって伝えて

セオドア

自分の気持ちを大切にしてあげて。

シゼ

…。

シゼ

はい…。

シゼ

わかりました、参考にしてみます。

セオドア

ごめんね、

セオドア

経験したことを思い出しちゃっていきなり沢山喋っちゃって。

セオドア

君には僕と同じようになってほしくなくて…

セオドア

そう思ったら熱が入っちゃった。

シゼ

いえいえ、大丈夫です。

シゼ

すごく勉強になりました。

シゼ

私、もう落ち着いたので戻りますね。

セオドア

うん、分かった。

セオドア

部屋まで送っていくよ。

シゼ

ありがとうございます。

シゼ

…。

シゼ

シゼ

(なんだか不思議な気持ち…)

シゼ

(自分の気持ちを大切にして、なんて前世でも言われたことなかったのに。)

シゼ

(それどころか、)

シゼ

(みんな言いたい放題だったからな。)

シゼ

(両親も、親戚も…。)

「お前なんか産まなきゃよかった、 この役立たず!」

「拒否しかできねぇのかよ、 産んであげたこっち 言うこと聞けよッ!」

シゼ

…。

「うちは引き取りませんよ、 虐待されてた子供なんて。」

「虐待されて、学校もろくに 行ってないような子供といたら 知能が低下してしまいますからね。」

「あんな子供、志瀬家の 汚点としか言えませんよ。」

シゼ

(ずっと子供以上に子供になって)

シゼ

(自分勝手で言いたい放題)

シゼ

(そんな大人に囲まれてたから、私の頭の中は憎しみいっぱいだった。)

シゼ

(だから、強くならなきゃって思って弟と2人で生きてきた。)

シゼ

(私は絶対あんな大人にならない。)

シゼ

(弟を守り、支えていかないとって思って)

シゼ

(どんな時も「大丈夫。」って答えてた。)

シゼ

(…本当は)

シゼ

(ずっとずっと泣きたかった。)

シゼ

(私…)

シゼ

シゼ

(この世界では、わがままになってもいいのかな。)

シゼ

(…自分で自分のこと守るなんて贅沢、していいのかな。)

シゼ

…。

シゼ

シゼ

(分からない。)

シゼ

シゼ

(でも、)

セオドア

部屋の前に着いたね。

シゼ

部屋の前でセオドアが止まる。

セオドア

今日は大変だったね。

セオドア

ゆっくり休んで、

セオドア

明日も頑張ってね。

シゼ

シゼ

…はい。

シゼ

(もし私のことを守ってくれる人がいて、ずっとそばにいてくれたら)

シゼ

(きっと私、幸せだろうな)

4話 おわり

とある物書きの挑戦譚【第二期】

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コメント

14

ユーザー

毎回思うけど名前のセンス良すぎです❣️

ユーザー

シゼ様がいい子すぎて震えてる(((.-. )三( .-.))))

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