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少女よ、勇者よ。応答願う。

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少女よ、勇者よ。応答願う。

第7話 - プロローグ⑦

121

2025年05月13日

#我流丸

#一次創作

#バトル

#百合

#SF

我流丸

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我流丸

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キーンコーンカーンコーン

九頭竜トウカ

よし、

九頭竜トウカ

今日はもう終わりだ。

九頭竜トウカ

お前ら、帰っていいぞー。

別雷リュウト

んー、

別雷リュウト

よっしゃぁあ！

別雷リュウト

アカリ！　佐藤！

別雷リュウト

帰ろうぜ。

水天アカリ

ちょっと待ってよ。

水天アカリ

そんなに急がなくても……。

別雷リュウト

お、おう。

別雷リュウト

悪い……。

佐藤サナ

ごめん二人ともー。

佐藤サナ

今日はちょっと……。

別雷リュウト

ん。なんだ珍しいな。

佐藤サナ

あー。

佐藤サナ

えっとー。

佐藤サナ

そうだ、補修！

佐藤サナ

補修なんだよ。

佐藤サナ

今日はこの後さ。

佐藤サナ

居眠りのせいでさー。

別雷リュウト

……ああ、

別雷リュウト

そういう事か。

別雷リュウト

おっけぇい。

別雷リュウト

……佐藤。さんきゅーな。

佐藤サナ

……あ、うん。

別雷リュウト

じゃあ、今日は。

別雷リュウト

俺とアカリの二人かー。

別雷リュウト

あー残念。

別雷リュウト

あー残念だー。

水天アカリ

そんなに嫌？

水天アカリ

私と二人。

別雷リュウト

いや、そういう訳じゃ。

水天アカリ

ふふっ。

水天アカリ

冗談。

別雷リュウト

ぷっ……

別雷リュウト

あははっ。

別雷リュウト

俺も冗談だっ。

水天アカリ

じゃあ。

水天アカリ

サナちゃん。

水天アカリ

頑張ってね。

佐藤サナ

うん！

佐藤サナ

…………

佐藤サナ

はあ……。

繁る草木と百合の花。

地を貫く鉄柱。

滲み照る朱い光。

佐藤サナ

…………

佐藤サナ

……そういえば

佐藤サナ

校舎裏には、

佐藤サナ

来たの初めてだ。

佐藤サナ

でも……。

佐藤サナ

すごくーー

不知火レモン

綺麗、でしょ？

佐藤サナ

不知火さん……。

不知火レモン

私はね。

不知火レモン

よく来るんだ。

不知火レモン

この場所に。

不知火レモン

一人で。

佐藤サナ

…………

不知火レモン

……どうかした？

佐藤サナ

……綺麗、

佐藤サナ

な場所ですね。

佐藤サナ

ここは、本当に。

不知火レモン

……うん。

不知火レモン

昔の友人がね。

不知火レモン

好きだったんだ。

不知火レモン

この景色を……。

「綺麗」と。

そう言葉が溢れたのは、

この景色のせいじゃない。

彼女がーー不知火レモンが。

不知火レモン

ここにいると、

不知火レモン

将来の不安とか、

不知火レモン

全部吹き飛ぶ。

不知火レモン

ただ生きようと思える。

不知火レモン

頑張ろうって思える。

不知火レモン

ねえ、

不知火レモン

そろそろ良いかな。

不知火レモン

私、

不知火レモン

あなたに、

不知火レモン

伝えたい事があるの。

思えば、初めてだった。

こうして彼女を

正面からしっかりと、

視界に入れる事なんて。

艷やかな肌。

滑らかな唇。

蒼く光る瞳。

まるでそう、

天の川のように煌めく

銀髪。

その全てが、とてもーー

「綺麗」だったから。

不知火レモン

私はあなたーー

不知火レモン

佐藤サナさんの事が、

不知火レモン

好きです。

佐藤サナ

…………

不知火レモン

…………

不知火レモン

ぁ”、っ……

佐藤サナ

え。

佐藤サナ

嘘。

それは一刹那の事であった。

鋭い何かが、私と彼女の中心。

人間という生物において重要とされる器官。

それらの密集する位置。

腹を貫いた。

痛みは無かった。

ただ異常なほどに熱かった。

火山が胃に住んでいると錯覚できるほどに、

溶けるように熱が円をなぞっていた。

そして、その中には何も無い。

空洞だけが存在していた。

佐藤サナ

私、死ぬ”の……。

伸ばした輪ゴムが弾け飛ぶように。

空洞を埋めていた"それ"が抜かれた。

佐藤サナ

ぃ”や”あ”ぁ”ぁ”あ”！！

と、同時に意識も出て行ってしまったようだ。

死の恐怖すら消し去るほどの、

到底この世のものとは思えぬ、

生温かく、無慈悲で、超現実的な。

そんな痛みが脳を支配した。

　

サア、

　

メザメロ。

佐藤サナ

…………

佐藤サナ

（なんだ……）

佐藤サナ

（また悪魔か……）

噴き出る血液は紅く、雨のように二人を濡らす。

気付けば死の予感も確信も消えていた。

既に私は生きる事を放棄していた。

「死んだんだ」

そう思ってしまっていた。

そして、それはその直後にーー

実現した。

　

佐藤サナ（15）　死亡。