彰人
おい、冬弥。マジでやんのか?
冬弥
ああ。
彰人
やめとけって。つか、絶対関わらない方がいいってば。
冬弥
だが、俺だって会長の役に立ちたい。
冬弥
それに…会長はとても優しく、素晴らしい方だ。その方が誤解されているのが、俺は嫌だ。
彰人
だからってさー
冬弥
えっと、2年B組は…
彰人
聞いちゃいねーな?
冬弥
失礼します!
冬弥
神代さん、少しお時間よろしいでしょうか。
類
え
冬弥
突然申し訳ありません。
彰人
マジですみません。
類
は、はぁ…えっと、今度は何用で?
冬弥
貴方は会長を誤解されている。なので…
冬弥
俺が尊敬する我が会長のプレゼンをさせていただきます。
類
プレ…ゼン…?
彰人
すみません…一応、聞くだけ聞いてやって下さい。
類
は、はい…
冬弥
まず…
冬弥
会長はとてもお優しい方です。いつだって周りを照らして道を示してくれる、まさに太陽みたいなお方で、俺が落ち込んでいる時もすぐに気付いてくださって、勇気付けてくれるんです!天馬の名に恥じないようにと、勉強でもスポーツでも何でも完璧に1番を目指す、努力家な方でもあります!いつだって自身のことより、家と家族のことばかりを考え優先する、とても心優しい方なんです!更に会長は(以下略
類
へ、へぇ…
冬弥
こちら、会長に関するプレゼン資料です。良ければお持ち帰り下さい。
類
は、はぁ…あ、ありがとうございます…?
類
(って、重?!え、紙だよね?!)
彰人
…(呆)
類
えっと…(よく分からなかったけど)すごい人なんですね。
冬弥
はいっ!会長は凄いんです!✨️
類
(…この人、変だけどちょっと可愛いかも。)
類
(いい子そうだし…この人にこんなに好かれてる会長も、多分いい人なんだろうな。)
プレゼン自体は理解されなかったが、ちょっとだけ会長の株が上がった。
廊下
司
む!かみし…
類
あ、会長!
類
あの…この間は、バカとか言ってごめんなさい。
司
!
類
母さんとクッキー焼いたんです。会長のお口に合うかは分かりませんが…良ければ召し上がってください。
司
?!
類
会長さえ良ければ、また一緒にお昼食べましょうね。
類
じゃあ、失礼します。
司
な……!?
司
(オレは…病か?!心臓発作で倒れてしまいそうだ…っ)
司
彰人!!オレは何かの病なのか?!
彰人
そっすね。きっとバカっていう不治の病ですよ。
司
これを見てくれ!!
彰人
クッキー?女子にでも貰ったんですか?受け取るなんて珍し…
司
神代がくれたんだ!!
彰人
えっ
彰人
しかも手作り?うわ、女子力やば〜
司
神代は男だぞ
彰人
知ってますよ
司
はぁ…まだ心臓が大きく脈打ってる…
彰人
ま、良かったですね。ちゃんとお礼言いました?
司
お礼?
彰人
……まさか、言ってない?
司
ああ、そうか。早速イギリスからお礼のクッキーを取り寄せなければな。
彰人
そうじゃなくて、
彰人
「ありがとう」ってちゃんと言いました?
司
……?
彰人
いや、そんな「何言ってるか分からない」みたいな顔されても困るんすけど…
司
アリガトウ…?
彰人
日本来たての留学生かよ
彰人
嘘だろ、アンタ「ありがとう」も言えないんですか??
司
いや、だって……そんなの教えて貰ってないし…
彰人
はぁぁぁぁ
彰人
良いですか?人から何かもらったり、厚意を受け取った時は「ありがとう」って言うんですよ。
司
ほう……そうなのか。
司
…む、そういえば冬弥はどうした?
彰人
あぁ、図書室で読書してから来るらしいです。
彰人
それより、神代センパイにちゃんと「ありがとう」って言った方がいいですよ。
司
うむ…
司
アリガトウ…
彰人
カタコト過ぎるからダメっすね。
司
むぅ…難しいな…
彰人
そういうのは、相手見てたら自然に出てくるもんなんですよ。
彰人
大事なのは気持ちなんで
司
ふむ…
中庭
類
♪〜
類
(ここの花も綺麗に咲いたな〜)
類
(会長さんも花とか好きなのかな?)
司
か、神代!
類
あっ、会長!
司
こ、これ…この間のクッキーの礼だ。
類
え、お礼?!
類
そんなわざわざ…ありがとうございます!
司
!!
類
わ、しかもこれ高いやつ…あ、僕このクッキー好きなんですよね。
類
そうだ。渡したクッキーどうでした?
司
あ、ああ…大変美味だったぞ!
類
本当ですか?良かった〜…!
司
(言うんだ!「ありがとう」って…!)
類
ふふ、また何か作ったらお裾分けしますね。
司
あ…か、神代!
類
はい?
司
あ、あり……
司
あ……アリガトウ、!
類
…
司
(やっぱり無理だ彰人……っ!!!!)
類
ふっ…ふふっ!なんでそんなカタコトなんですか?
司
!!
司
(わ、笑ってくれた!初めて!)
類
あははっ、すみませ、面白くって…ふふっ
類
そうだ、会長。花はお好きですか?
司
む?
司
花か……まぁ、愛ではするが。
司
(別にそこまで特別に好きと言うわけでもないな…)
類
ふふっ、綺麗ですよね。
類
見てください。ここの花たち、僕が育てたんですよ。
司
神代が?
類
はい!ふふ、綺麗でしょう?
司
……うむ。
司
たしかにとても美しいな!やはり、育てる者が美しいからだろうか。
類
?花は誰でも正しくお手入れすれば美しく咲いてくれますよ。
司
む、そういう事じゃ無いんだが…
類
あっ、そうだ!会長、ちょっと待っててくれます?
司
?ああ。
類
会長!これ、花束にしてみたんですけど…良ければ、生徒会室に飾って下さい。
司
!!
類
あっ、でも花瓶も必要になるし、水換えもしなきゃいけないから会長の手間になっちゃうか…
司
……いいや、問題無い。
司
そのくらいはどうとでもなる。有難く頂こう!
類
ふふっ、良かった。何か分からないことがあればいつでも言ってくださいね!花のことなら自信あるので!
司
あぁ、ありがとう!お前は本当に花が好きなんだな。
類
!
司
…どうした?
類
いや…「ありがとう」って、普通に言えてるな、って。
類
ふふ、さっきはなんであんなにカタコトだったんですか?
司
え?!お、オレ…今、「ありがとう」って言ってたか?!
類
え?はい、言ってましたけど…
「そういうのは、相手見てたら自然に出てくるもんなんですよ。」
司
…!!
司
言えた…!!言えたぞ!!
類
?
司
ありがとう!神代!!花、大事にする!
類
あ…ふふ、はい!
類
(なんだ。やっぱりいい人だな。)
類
(それに、ちょっと可愛いかも。)
類
♪〜
生徒会室
冬弥
(あれ、会長の机に花瓶が…)
冬弥
彰人が置いたのか?
彰人
ん?いや、来た時からあったぞ。
司
ああ、オレが飾った。
冬弥
会長が?珍しいですね。
司
ふふん、綺麗だろう?
司
神代がくれたんだ。良かったら飾ってくれと。
彰人
へー。あ、そういやあの人緑化委員ですもんね。
冬弥
そうなのか。良かったですね、会長!
司
ああ!
彰人
意外と仲良さそうじゃないですか。
司
ふっふっふ…今のところ順調だ!
彰人
(良かった。変に少女漫画の真似とかしてなくて…)
司
そこで次のステップに移ろうと思う。
冬弥
次のステップ?
司
無事に友達にもなれたし、良好な関係を築きつつある…
司
となると、次はやはりデートだろう!
彰人
はぁ…デートっすか…
彰人
ちなみに最終目標は?
司
最終目標?決まってるだろう。
司
神代を生徒会として迎え入れ、更にオレの恋人として手に入れる。
冬弥
なるほど!
彰人
いや、ツッコめよ。
冬弥
え、そんな要素あったか?
彰人
あるだろ。神代センパイって男だぞ。
司
む、恋に性別など関係あるのか?
彰人
いや、世間体とか…お父様とか、そういうの許してくれるんですか?会長、御曹司でしょ。
司
父さんか。
司
許すも何も、気にしないだろう。あの人はオレに興味など無い。
冬弥
そ、そんな事…
冬弥
…
彰人
あー…えっと、デートでしたっけ。どこ行くつもりなんですか?
司
おお、良くぞ聞いてくれた!
司
実を言うと迷ってるんだ。是非二人の意見も聞きたい。
冬弥
もちろんです!
彰人
(どうせまた海外とかバカなこと言い出すんだろうな…)
司
遊園地か水族館…どちらがいいと思う?
彰人
?!?!
司
む、どうした?
彰人
いや、まとも過ぎてつい…頭打ちました?
司
失礼だな!
司
ふっ、ちゃんと勉強したに決まってるだろう!この参考書で!
彰人
(バカな金持ちがいない少女漫画で良かった〜〜〜〜)
冬弥
遊園地に水族館…神代さんはどちらの方が好きなんですかね?
司
む、神代が好きな方…
司
……………
司
…??
司
ハッ、どっちも楽しめる施設を作ればいいのでは?!
彰人
ん???
冬弥
ああ!たしかに、悩むならそうした方がいいですね。
司
よし、そうと決まれば早速工事の手配を…
彰人
待て!!!このバ……会長!!
司
む、なんだ?
彰人
「なんだ?」じゃねーよ!!せめて2日に分けてどっちも回るとかにしろよ!!
彰人
金と権力ばっか誇示して、それでこの間神代センパイに「バカ」って怒られたばかりだってのに…
司
な……
司
その発想はなかった!!そうか、2日に分ければいいのか!
司
よし!そうしよう!
彰人
(良かった……)
冬弥
会長。神代さんはもう誘ったんですか?
司
いいや、まだだ。これから誘うための完璧なプランも考えてある!
司
この花のお返しに富貴蘭を贈り、そのまま流れでスマートに誘う!
※富貴蘭…高いもので一株約400万円。
司
ふっ、どうだ。完璧だろう!
冬弥
はい!完璧だと思います!
彰人
今までに比べたら1番マシっすね
司
さて、早速富貴蘭を10株ほど手配するか。
彰人
待て待て待て
司
む
彰人
どうせなら1株の苗贈ったらどうですか?
司
何故苗なんだ?花の方が良いだろう。
彰人
あの人、花育てるの好きなんでしょ。そっちのが喜ぶんじゃないですか?
司
おお……!
司
たしかにそうだな!それに、きっと神代が育てた方が綺麗に咲くはずだ。
司
よし、明日誘うぞ!!
NEXT