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僕と私と君とあなた。

第9話 - 僕と私と君とあなた。⑨

2019年07月18日

#ミステリー

#嘘

#恋愛

#秘密

#青春

iamS

滝沢悠人

お前、男じゃないだろ？

福島光

…！！

福島光

な、何言ってんだよ、悠人！

福島光

どけよ、押し倒されてるみてーだろ！俺が！気持ちわりーからやめろw

滝沢悠人

光…？ちゃんと俺の目見て話して？

福島光

や、やめ…ろよ…。

滝沢悠人

学校で、何度も違和感を感じる時はあったんだ。

滝沢悠人

僕が言う事に対して一々恥ずかしがったり…

滝沢悠人

女の子を毛嫌いしてるみたいに見せてるのに、慣れてる扱い…。

滝沢悠人

まるで、異性に対しては敏感に反応するけど、同性に対しては躊躇なく話せる、女の子みたいだなって…。

滝沢悠人

その他にもトイレは絶対一人で行くし、体育の時も絶対上脱がないし、

滝沢悠人

気になり始めたら色んなところでキリがなかったけど…

福島光

…。

滝沢悠人

確信したのはさっき。

滝沢悠人

病院で、光がよろけて倒れそうになったのを僕が抱きかかえたでしょ？

滝沢悠人

光、あの時放心状態だったからあんまり覚えてなかったかもしれないけど…

トンッ

悠人は人差し指を光の胸の上に軽く立てる。

福島光

…っ！

滝沢悠人

サラシ、巻いてるでしょ？

滝沢悠人

今日は詰めが甘かったみたいよ？

滝沢悠人

胸の膨らみ隠しきれてない。

光の顔が真っ赤になっていく。

滝沢悠人

今、ここで確かめても良いんだよ？

ドンッ

福島光

やめろよっ！！！

福島光

良い加減に、しろよ…！

福島光

お前に何がわかるんだよ…。人の心にズカズカ入ってくんのやめろよ…！！

福島光

お願いだから…これ以上苦しくさせんなよ…。

滝沢悠人

光…。

グイッ

福島光

…んなっ！！！

悠人は光のことを優しく抱きしめる。

滝沢悠人

光。僕には確かに何もわからないよ。光の辛さも、苦しさも…。

福島光

だったら…！

滝沢悠人

だけどね…。

滝沢悠人

大切だから、光のことが大事だから頼って欲しいんだよ。

滝沢悠人

一人で抱え込んでる姿を見たくない。

滝沢悠人

辛そうな光をこれ以上、見たくないんだ。

福島光

…くっ

滝沢悠人

どうしても話さないって言うなら…

滝沢悠人

僕も苦しいから、そんな辛そうな表情しないで欲しいな…。

福島光

…。

滝沢悠人

ごめんね。…僕やっぱりこの辺のホテル…

福島光

…俺は確かに女だよ。

滝沢悠人

…！

福島光

俺の本当の名前は、光(ひかる)じゃなくて、光(ひかり)だ。

滝沢悠人

ひかり…。
綺麗な名前だな。

滝沢悠人

光は、性同一性障害…じゃないよね。

福島光

…ああ。違う。

滝沢悠人

…やっぱり。

福島光

俺は男になりたいと思ったことはなかったし、自分が男だと思ったこともなかった。

福島光

ただ…ただ、里穂のことが、涼太の事が好きなだけだ…。

滝沢悠人

…光。

福島光

…俺達は、まだ赤ん坊の頃からずっと一緒だった。

福島光

何をするのも一緒。

福島光

物心ついた頃には、涼太に対する言い表しようのない感情で一杯だった。

福島光

何て綺麗な子なんだっていうのと、何をするのにも俺についてきて、俺を頼ってきて、

福島光

世界の全てが俺だって言うみたいな涼太を、ただただ愛おしくて、守ってやりたくて、俺だけの涼太でいて欲しいって思うようになってたんだ。

滝沢悠人

…。

福島光

でも小学校に上がる頃から、涼太が妙なこと言い出すようになって…

福島光

幼いながらにも俺は理解しようとしたよ。心は女の子なんだって。

福島光

でも、その反対に、独占欲が増していった。

福島光

俺の…あたしの涼太がいつか知らない男に抱かれる姿を想像するだけで耐えられなくなった。

福島光

そこで気付いたんだ。

福島光

あたしは、男の涼太が好きなんじゃなくて、性別関係なく、涼太っていう存在が大切で大好きなんだって…。

滝沢悠人

…。

福島光

幸いな事に、あたしは元々男っぽい性格で、喧嘩も強かったし、身長も女にしては高い方だった。

福島光

だから決めたんだ。あたしは、涼太の隣にい続ける為に、あたしだけの涼太でい続けてもらう為に、男になろうって。

福島光

小学生までは長かった髪も中学に上がるのと同時に男子と同じくらい短く切ったよ。

福島光

涼太はずっと言ってくれてたよ…あたしのことヒーローだって。

滝沢悠人

…じゃあ、里穂ちゃんは光のことを本当は女だって知ってるってこと？

福島光

…いや。里穂は中学に上がるまでの記憶がない。

滝沢悠人

…？！

福島光

正確には全くない訳じゃない。
断片的に覚えてはいるけど、全部あたしは元から男だったっていう記憶に塗り替えられてる。

滝沢悠人

そんなこと…！！

福島光

ある訳ないって思うだろ？
…それがあるんだから、笑えるよな。

福島光

あたしが暗示をかけたんだよ。

滝沢悠人

暗示…？

福島光

涼太の父親が死んだ時…

福島光

つまり、涼太のストレスの根源である男が死んだ時…

福島光

涼太に暗示をかけたんだ。

福島光

涼太は高校に上がったら、里穂になる。本当の女の子に生まれ変わるんだ。

福島光

そして、あたしは涼太のヒーロー、光(ひかる)、男の子だよって、ね。
ずっとずっと俺が涼太を守るから、ヒーローでいるからって。

福島光

涼太にとっても都合が良かったんだと思う。

福島光

涼太の中身は女の子だ。
自分が今までヒーローと慕い続けてきた存在が男の子で居てくれた方が、恋する乙女のシナリオが成立するだろ？

滝沢悠人

そんなことが本当にありえるのか…？

福島光

実際ありえたから、今この状況があるんだよ。

福島光

そして、里穂が18歳になって法的に性に関する手術を受け始められるようになるのと同時に、あたしも一緒に受ける。

滝沢悠人

えっ？！

福島光

それで本当の意味で、里穂とずっと一緒にいられるんだ…。

滝沢悠人

光は…女性としての幸せを願ったことは一度でもないの…？

福島光

…。

滝沢悠人

男になりたい訳でもないのに、光は本当にそれで良いのか…？

滝沢悠人

里穂ちゃんのためだけに、自分の女性として生きていく人生を捨てるのか…？

福島光

…良いんだよ。

福島光

あたしにとっては、涼太、いや、里穂が全てなんだよ…。

福島光

それ以外は何も望まない。

滝沢悠人

…わかった。

福島光

わかったなら…

滝沢悠人

どうして、僕がこんなに光を大事に思うのかがわかった。

福島光

…！

ギュウッ

福島光

や、やめろ…！！

滝沢悠人

光が、女の子で良かった。

滝沢悠人

僕はとうとう同性愛にも目覚めたのかと思ってたよ…。w

滝沢悠人

光が女の子だって、本能的に感じ取ってたからなのかもしれないね。

福島光

は、離せっ！

滝沢悠人

やーだよ。

滝沢悠人

ごめん、光、いや、ひかり。
僕、知らない間に君のこと好きになっちゃってたみたいだ。

福島光

…んっ！！

それは光が本当の意味での"男性"とする初めてのキスだった。

滝沢悠人

このまま一緒にいると、襲っちゃいそうだから、僕はこのまま帰るね♪
おやすみ…光(ひかり)。

バタンッ

・・・

滝沢悠人

僕はタクシーでお家まで帰りました♪僕んちお金持ちだったこと忘れてた〜！からタクシー代のことは心配しないでねん( ^ω^ )おやすみ☆

と、後からLI○Eが送られてきた。

福島光

…んだよ、あいつ。
最初から帰れたんじゃねーか。

福島光

ちくしょ〜！！！

さっき悠人と唇が触れ合ったことを思い出して、一気に熱くなる。唇に、触れながら改めて異性とキスしたことを実感する。

福島光

里穂とは全然違った…。里穂も異性と言えば異性だけど…でも違った。

福島光

里穂…。早く帰って来て。

福島光

あたし、おかしくなっちゃうよ…！

福島光

あたしは、里穂が全てなんだから…。

福島光

里穂がいてくれればそれで良いんだよ…？

福島光

早く、元気な笑顔、見せてよ…。

翌日ー

福島光

あんま寝れなかったな…。

福島光

…当たり前に学校に行くのはやめよ。

福島光

里穂のいない学校なんて行く価値がない…。

滝沢悠人

(光〜！僕がいること忘れないでよね！)

悠人が頭の中をよぎる。

福島光

いやいや、何であいつのこと思い出すんだよ。

福島光

とりあえず、里穂のとこに行くか。

・・・

ガラガラ

福島光

失礼しまーす…。

牧瀬梨穂子

あら！光ちゃん！
おはよ〜！学校は？？

福島光

おはようございます！

福島光

学校はー…今日は良いんです。

福島光

正直、里穂さんがいないと生きた心地がしないと言うか…。

牧瀬梨穂子

光ちゃん…。

福島光

爺ちゃんは…？

牧瀬梨穂子

気分転換にちょっと散歩してくるって言ってたわ。

福島光

そうですか…。
梨穂子さんも、あんまり休まれてないんでしょう…？

梨穂子の目の下にはクッキリとくまが出来ている。

福島光

里穂さんには俺がついてるんで、梨穂子さんも少し仮眠を取って来て下さい…。

牧瀬梨穂子

…ダメね〜。光ちゃんにまで心配かけてるようじゃ！

牧瀬梨穂子

じゃあ…お言葉に甘えて、少し休ませてもらうわね。

牧瀬梨穂子

…有難う、光ちゃん。

福島光

いえいえ！

光は、そう言った姿が里穂と重なり、やっぱり親子だなぁと実感し、それと同時に一気に里穂が恋しくなった。

ガラガラッ

福島光

…里穂。

牧瀬里穂

…。

福島光

悠人にキスされた、なんて言ったら、浮気者〜！って怒るかな？

福島光

俺は里穂しか見えてないから、心配いらないぞー。

牧瀬里穂

…。

福島光

里穂ー…。

福島光

お前が早く帰って来てくれないと、俺ダメなんだよ…。

福島光

里穂…。

光は里穂の手を強く握る。

光は、眠っている里穂に向かって、懐かしい思い出話をたくさんした。

福島光

…そんでさぁ、結局俺ら爺ちゃんに見つかっちゃってさぁ！

ガラガラ

福島光

！！

牧瀬梨穂子

光ちゃん、お待たせ！
少し休ませてもらったわ！

福島光

梨穂子さん！もう良いんですか？

牧瀬梨穂子

ええ、もう充分よ♪
それから、丁度今下の受付の所であったんだけど…

滝沢悠人

失礼しまーす。
はろ〜光♪里穂ちゃんのお見舞いに来たよん。

福島光

ドキッ

福島光

(いや、ドキッてなんだよ！)

如月優花

失礼、します…。

一ノ瀬美智香

失礼します！

福島光

…おう。

如月優花

…！！！！

如月優花

…り、り、ほ…？

一ノ瀬美智香

…！

優花が里穂のすぐ横まで駆け寄り、そのまま崩れ落ちる。

ドシャッ

如月優花

里穂ちん…痛かったねぇ…

如月優花

痛いの、よく頑張ったね…

如月優花

みんな、里穂ちんのこと待ってるよ…

如月優花

優花、里穂ちんがいないと、寂しくて死んじゃいそーだぞ…。

優花は、大粒の涙を流しながら、静かに、優しい声で里穂に声をかけた。

一ノ瀬美智香

…。

一ノ瀬美智香

牧瀬さん…。

一ノ瀬美智香

福島くんのこと、悲しませたら許さないって言いましたよね…。

一ノ瀬美智香

福島くん、今一番悲しそうですよ？

一ノ瀬美智香

な、何やってるんですか！

一ノ瀬美智香

だから、早く、早く帰ってきて下さいよ…。

福島光

…。

滝沢悠人

光。

悠人が小声で光を呼びながら、手招きする。

福島光

…？

滝沢悠人

お母さんも戻って来られたし、一回女の子たちだけにしてあげよ？

福島光

…おう。

福島光

…梨穂子さん！ちょっと飲み物とか買ってきますね。

牧瀬梨穂子

…え、ええ。わかったわ。

牧瀬梨穂子

里穂は…素敵なお友達に出逢えたのね…。嬉しいわ…。

福島光

里穂はとっても愛されてますよ。

梨穂子はゆっくりと笑みを浮かべ、涙を流した。

カラカラカラ…

福島光

…ふぅ。

自動販売機コーナーにやって来る。

ガコンッ

滝沢悠人

昨日はちゃんと眠れたの？

福島光

…んー。ぼちぼち。

滝沢悠人

顔…、疲れてるよ。

福島光

…おう。

滝沢悠人

ゆうかりん達には、どこまで話すの…？

福島光

いや…俺の口からは話すのつもり、ないかな。

福島光

優花は、里穂が初めて自分で作った友達だ。

福島光

里穂の目が覚めて、里穂自身が話す決心が出来るまで、俺の口からはあいつらには言わない…。

滝沢悠人

…ん♪そっか、そうだね！

福島光

…。

ガコンッ

福島光

…その、お前もさぁ、昨日言ってたこと…

滝沢悠人

なかったことには、しないからね？ニコッ

福島光

…っ！

滝沢悠人

でも、光のことが大事なのは何も変わらないから…ね？♪

滝沢悠人

ただ、里穂ちゃんが隣にいないと、どうしても僕が光のこと守ってあげたくなっちゃうんだ。

福島光

…っ！

光の顔が赤くなる。

滝沢悠人

…そーゆー反応、ずるいから。

福島光

…んっ！

自動販売機の影に重なる所で、悠人が光に詰め寄り、唇を重ねた。

福島光

…や、やめ、ろ！

滝沢悠人

…ごめん。

滝沢悠人

今のこのタイミングでこんなこと、言ったり、里穂ちゃんがいないとこでこんなことしてるの、

滝沢悠人

すごくずるいってわかってるよ。

滝沢悠人

でも、光は女としての幸せを感じるべきだよ…。

福島光

お、俺、悠人の事は友達として、すげー大切に思ってる…！

福島光

…でも、こーゆーのは正直困るから、やめてくれ…。

福島光

…俺、先に里穂んとこ戻るわ。

滝沢悠人

…ん♪

滝沢悠人

(あんな、あんな顔の光見たら、やめられないだろ…。嫌ならもっと嫌そうな顔しろよ…。)

・・・

福島光

(ダメなんだ…。ダメなんだよ。)

福島光

(あたしが男じゃなくなったら、あの時の、里穂の中の、消したはずの罪が蘇っちゃうんだ…。)

福島光

(あたしが全部、抱えてくって決めたんだから…。里穂…。早く、早く戻ってきて…。苦しい…。助けて…。)

福島光

(これだけは、絶対に悠人にも話せない。)

福島光

(…。"俺"が守り抜くんだ。)

カラカラ…

牧瀬梨穂子

光ちゃん！おかえりなさい！

如月優花

光っち、とりま、優花と一ノ瀬は、今日のとこは、そろそろ帰るね…。

福島光

…おう。

如月優花

何か、変化あったらすぐに連絡ちょーだいね…！

福島光

あたりめーだ。
すぐ連絡するよ。

優花と一ノ瀬は梨穂子さんに向け、お辞儀をしてから病室を出て行った。

牧瀬梨穂子

里穂、みんなが待ってくれてるわよ…。早く起きなさい…。

それから1ヶ月…

里穂は眠り続けた。奇跡的に、容態は回復してきてはいるものの、意識だけは一向に戻らなかった。

福島光

里穂は…。

福島光

里穂は、帰ってきたく、ないんですかね…？

光は、この1ヶ月はほぼ学校には行かず、里穂の病院に毎日通っていた。

牧瀬梨穂子

そんな訳ないでしょ！！

牧瀬梨穂子

素敵なお友だちがいて、素敵な"王子様"もいて…

牧瀬梨穂子

里穂の夢、全部叶えちゃってるじゃないの…。

福島光

そう、でしょうか…。

牧瀬梨穂子

…里穂は、今、迷子なのよ。
迷路にでも入っちゃったのかしらね。

牧瀬梨穂子

出口がまだ見つけられないだけよ。

牧瀬梨穂子

…大丈夫っ！

福島光

…はい。

牧瀬梨穂子

ちょっと御手洗い、行って来るわね。

福島光

はい！

牧瀬里穂

…。

福島光

里穂〜出口はこっちだぞ〜！

福島光

俺が目印！里穂ならすぐ見つけられるだろ？

福島光

…ほんとは、ヒーローが見つけに行ってやらないといけないんだけどなぁ。

牧瀬里穂

…。

・・・

牧瀬里穂

"ここ…どこ？？"

涼太の父親

お前は何でわからないんだ！

牧瀬涼太

ご、ごめんなさい！

牧瀬涼太

パパ、ごめんなさい！！

涼太の父親

パパ、パパって女みたいな喋り方をするなっ！！！

バシッ

牧瀬涼太

うぅぅ…。

涼太の父親

お前は男の子なんだぞ？

牧瀬涼太

立派な俺の跡継ぎになってもらわなきゃ困るんだよ…！

牧瀬涼太

何の為にお前を産ませたのか、わからなくなっちゃうだろ…？

ドカッ

牧瀬涼太

うっ…

涼太の父親

おい！梨穂子！！

涼太の父親

早くこいつを連れてけ！！！
目障りだ！！！

牧瀬梨穂子

は、はい。

大焦りで梨穂子は部屋に駆け込んできて、涼太を抱き抱える。

牧瀬梨穂子

…涼太郎さん。
涼太はまた子供です…。
暴力がいきすぎではありませんか…？

牧瀬涼太郎

なんだと…？

牧瀬涼太郎

お前が涼太を男としてちゃんと産まないせいだろう？！

ガシャンッ

涼太郎の投げた皿が、梨穂子の横を勢いよく通り過ぎ、壁にぶつかり割れた。

牧瀬梨穂子

申し訳…ありません。

牧瀬里穂

"…これ、私の記憶…？"

牧瀬里穂

"いや…、いや！思い出したくない！！"

牧瀬梨穂子

涼太…？小学校は楽しいかい？

牧瀬涼太

…あのねぇ、みんなわたしのこと変って言うんだよぉ…。

牧瀬涼太

でもね、ひーちゃん！わたしのヒーローなの！！いっつも意地悪して来る子たち、やっつけてくれるんだよっ！！！

牧瀬梨穂子

…そっか。ひーちゃんがいてくれて本当に良かったね。ちゃんとお母さんと一緒に有難うしに行かなきゃなね！

牧瀬涼太

うんっ！！

牧瀬梨穂子

でもね、涼太？
涼太はもうおっきいでしょ？

牧瀬梨穂子

だから、パパとママじゃなくて、お父さん、お母さんって呼ばなきゃダメよ。

牧瀬梨穂子

それから、自分のことは私じゃなくて、僕って呼びなさい。

牧瀬涼太

どうしてっ？僕って言うのは男の子でしょ？わたしは男の子じゃないよっ？！

牧瀬梨穂子

涼太は…今は見た目だけ男の子なの！もっとおっきくなったら女の子になれるよ！

牧瀬梨穂子

でも、今は見た目が男の子だから、女の子の喋り方をしてると、変なのって思われちゃうでしょ？

牧瀬涼太

…変じゃ、ないもん…。

牧瀬梨穂子

うん、涼太は変じゃないよ！
…ごめんね。ごめんね、涼太。

牧瀬里穂

"お母…さん…。"

・・・

牧瀬里穂

"なに…これ。"

牧瀬涼太

や、やめ、て、ください…っ。

牧瀬涼太郎

お前は何だ？女みたいな声出しよって。女みたいな顔しよって。

牧瀬涼太

ん、んんんっ…

牧瀬涼太郎

ほら、見ろ！自分の物を。

牧瀬涼太郎

ちゃーんと男の子じゃないか？

牧瀬涼太

う、うぅ…。

牧瀬涼太郎

ほら、お父さんのも触りなさい。

牧瀬涼太

い、いや…。

バシッ

牧瀬涼太郎

聞こえなかったのか？触りなさい。

牧瀬涼太郎

…。

牧瀬涼太郎

そうだ、はぁっ、涼太、上手だ…。

牧瀬里穂

"こんなの…私は知らない…！
私じゃない…っ！！"

牧瀬涼太郎

お父さんがもっと涼太が気持ちよくなること教えてやるから、

牧瀬涼太郎

涼太もお父さんに同じようにやりなさい。

牧瀬涼太郎

…わかったか？

牧瀬涼太

…う、うぅ…。

バシッ

牧瀬涼太郎

返事をしないか！！！！！

牧瀬涼太

は、はい…。

それから、涼太郎は小学6年生の涼太の身体を弄りまわし、同じことを涼太にもやらせた。

牧瀬里穂

"うそ…うそ…こんなの…本当の事じゃないよぉ…！"

涼太は誰が見ても美しく育っていた。幼い頃は、ただ思い通りにならない涼太郎の怒りを暴力として涼太にぶつけていたが、大きくなるに連れ、本当の女性よりも綺麗な見た目に育った涼太に、涼太郎は徐々に暴力から性的虐待へとエスカレートしていったのだった。

・・・

牧瀬涼太

もう…もう…耐えられない…。

牧瀬涼太

死んだ方がマシだ…。

牧瀬涼太

光ちゃん…。助けて…。

牧瀬里穂

"…だめ。これ以上は、だめっ…！！"

僕と私と君とあなた。

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