TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

オメガ

はぁ・・・

オメガは事務所の会議室の端っこで、ブランケットに包まれ、三角座りをしている。

彼は、今日何度目かのため息をついた。 眠れなくて、寝室をひとり抜け出してきたのだ。

こうして夜の暗闇に紛れていると、ようやく少し落ち着いた心地になる。

オメガの心を支配しているのは、エールシオンの事だった。

オメガ

(彼とお話したいなぁ)

オメガ

(もっと仲良くなりたい)

オメガ

エール!

オメガ

エールシオンさん

オメガ

エールシオン...

誰もいない空間に向かって、小声で彼の名前を呼んでみる。

彼のことが好き、ひとたびそんなことを意識してしまってから、

もう、彼のことをなんと呼んでいたんだっけ?そんなことすらも、よくわからなくなってしまった。

会ったばかりの頃、彼の家に泊った。

彼の服を借りて着て、彼の家のソファで、彼の匂いに包まれて眠った

まだあの時は、自分の気持ちに気づいていなかった。

オメガ

(なんか、ふふ、もったいないな・・・そんないい思いして)

オメガは自嘲気味の笑いを浮かべた

オメガ

(こんな思いで他人を見つめたことなんて、今まで一度もなかった)

オメガ

(気がつくとぼうっとして、何をしていても彼の事しか考えられない)

オメガ

(側にいる時は、ずっと彼のことを目で追ってしまっていた)

オメガ

(僕はあたまがおかしくなっちゃったんだろうか)

オメガ

(怖いくらいに、彼のことが好きだ)

オメガ

(きっとこれが)

恋・・・なんだ

自分の思考に、真っ赤になった

オメガ

うわ、うわうわうわ

オメガ

ば、ばかみたいだね…

オメガはブランケットを頭ですっぽり被って自分を抱いた。

オメガ

はぁ・・・

またため息。

オメガにははっきりと分かっていた。

もうこの気持ちは止められない。

彼に伝えたい。

大好きだよって

オメガ

(怖い、けど)

その先に待っているものがなんであろうと、構わない

けど、願い事が一つだけ叶うとしたら

オメガ

(彼も僕と同じ気持ちだったらいいのに。)

オメガ

ふふ、あり得ないな

ガチャ

突然、会議室のドアが開き、オメガは全身で飛び上がる

オメガ

~~~!?!?!?

声にならない叫びを上げて、ドアの方を見やる

オメガ

(Bさん!? ダークサイドさん? え、誰?)

エールシオン

ん?オメガ?何やってんだこんなとこで

オメガ

え、え、え、

オメガ

エールシオン!?こそっ!
どどどどどうしたんですか???

まさか意中の人が突然現れるとは思わず、心臓は早鐘のように打った

エールシオン

驚きすぎじゃない?

エールシオン

尻尾、すげえことになってるよ

びっくりしたオメガの尻尾は、毛が逆立っていつもの3倍位に膨らんでいた

オメガ

わぁああ

オメガ

(恥ずかしい・・・)

エールシオン

忘れ物してさ。明日は直接現場だったから

エールシオン

今日のうちにとってきちまおうと思って

オメガ

あ、そ、そうなんですね・・・

オメガ

夢かと思いました・・・

エールシオン

ん。夢じゃねーし

エールシオン

お前、そんな固い床で寝てんのか? 寝れるのか?

オメガ

い、いや、お布団に入ったんですけど寝れなくて…

オメガ

(君のことを考えていたなんて、言えない…けど…)

エールシオン

ふうん。まあいいや

エールシオン

俺もちょっと、今日は目が冴えちゃったかも

エールシオン

暇なら少し話さないか? そっち行っていい?

オメガ

ふぇ!? あ、あの、あの、あの

オメガ

いいですけど~

オメガ

(ああああ~~~! もう駄目だ、胸が、)

オメガ

(苦しい、よ・・・)

エールシオン

なんだよ、お前も風邪引いたのか?

エールシオン

顔が赤いけど

エールシオン

最近見ないと思ったら社長が夏風邪引いたってよ。
ただの風邪らしいけどさ

エールシオン

(なんて、もしかして、さ)

エールシオン

(俺のことが好きなの? とか)

エールシオン

(聞けるわけないよな)

エールシオン

(勘違いだったら・・・馬鹿かよ、何考えてんだって、なる)

オメガ

(だめだ、もう、もう、僕は…)

オメガ

(今言おう、言って、玉砕しよう…)

オメガ

エールシオン、聞いて!

オメガの耳は、緊張のあまりぷるぷると震えた

エールシオン

オメガ

僕、キミが

オメガ

キミのことが、好きなんです

エールシオン

オメガ

エールシオン

うん、そう

オメガ

ごめんね

エールシオン

いや、謝らなくても

オメガ

びっくりするよね、それに迷惑でしょ

エールシオン

・・・いやどちらでもないけど

オメガ

へ? な、なんで

エールシオン

お前の様子がおかしいのは今に始まったことじゃないし

エールシオン

ひょっとしたら・・・って

エールシオン

うん、思ってた・・・

オメガ

え、エールは・・・? 僕のこと、
き、嫌いじゃないの?

エールシオン

嫌いではないかなと思う

エールシオン

でも、好きかどうかは、よくわからない

エールシオン

少なくともお前の想いと俺の想いは釣り合ってはないと思う

オメガ

で、ですよね、あははは・・・

エールシオン

今は・・・だよ

エールシオン

お前を好きに、なってみたいと、思ってるよ

オメガ

オメガ

なん

オメガ

え?!

オメガ

いいんですか?

エールシオン

いいってば・・・

オメガ

うぅ、あ、あ、ありがとう・・・

オメガはポロポロと涙を零した。

エールシオンはそれを手でそっと拭った。

エールシオン

(これ以上のことは、今は、無理かも・・・)

エールシオン

(してやりたい・・・けど)

エールシオン

(俺だって恥ずかしくて死にそうだよ・・・)

エールシオン

寝れそうか?

オメガ

うーん。たぶん無理ですね

オメガは力なく笑った

エールシオン

はは、俺も

オメガ

でも、そうも言ってられませんね

エールシオン

うん、今日は、帰るよ・・・

エールシオン

また明日な

オメガ

はい、おやすみなさい

オメガ

え、エールシオン

オメガ

大好き

エールシオン

うん

そのままエールシオンは、忘れ物を片手に、会議室を去っていった

オメガは一人ぽつんと取り残されたのだった

オメガ

(え?何だ?僕告白した?僕エールシオンに告白したんだよね?これ夢じゃないよね?間違えて違う人に告白とかしてないよね?現実?大丈夫だった?どういうこと?嫌いじゃないって?え、付き合うってこと?恋人になれたってこと?わからないわからないわからないわからないわからない)

けど、オメガの零した涙を拭いた跡は、たしかにそこにあって

その手のぬくもりは、今もオメガの心を温めているのだった

戻らない!!!!!!!

ヘビーレインズ(二次創作)

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

59

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚