「うぅ……ヒック……」
人々が集まる都心
建物の隅っこで1人の少女が泣いている
その少女に声をかける1人の少年がいた
林檎売り少年
ねぇ、知ってる?
この町には、子供に林檎を売る子が居るんだって
でもね、それただの林檎じゃないの
その子が売る林檎は才能の塊なんだって
子供の欲しがっている才能を与える代わりに、その子の才能を1つ奪っちゃうんだって
突然その話を思い出した
何時だろうか、この話を聞いたのは
不安なこととかがあるとすぐ昔の話を思い出してしまう
いや、それとも
この話を思い出したのは 今起きていることのせいなのだろうか
???
たくさんの林檎が入った籠を手に持ち、真っ白な髪にカラスのように真っ黒な瞳
平均より低めな身長の男の子が私の前に立っている
その子は私のことを見てずっと心配の言葉をかけてくる
此花
???
そう、私はこの場所でうずくまって泣いているのだ
理由は暴言
あんたには才能がないだとか、同い年の子に言われまくったのだ
???
此花
涙目で警戒の眼差しを向ける私に気がついたのか
少年はなにかに気づいたような顔をした
???
???
そう言ってニコッと笑う 依瑠と名乗る少年
依瑠
此花
此花
声がかすれていたが 何とか自分の名前を言えた
変な風に思われていないかと、恐る恐る依瑠の方を見る
依瑠
依瑠はニコッと笑った
依瑠
此花
私は自分が虐められたことを依瑠に話した
依瑠
依瑠は私の隣に座ると背中をさすってくれた
依瑠
依瑠
「どんな才能が欲しい?」
此花
林檎
子供
才能
あの噂話をまた思い出す
此花
私に才能があるかどうかなんて分からない
でも、もしあるとしたら
その才能をとられてしまうのだろうか
依瑠
なかなか答えない私に焦れったくなったのか、依瑠はそう言い出した
依瑠
此花
依瑠
此花
此花
依瑠
此花
図星だった
依瑠
此花
依瑠
此花
依瑠
私の言いたいことを見透かしたように、依瑠はそう言う
依瑠
依瑠
依瑠
此花
依瑠
依瑠
此花
此花
すぅっと息を吸って 欲しい才能を口に出す
此花
此花
依瑠
依瑠
依瑠は私にひとつの林檎を差し出した
依瑠
此花
林檎を手に取り、恐る恐る口に運ぶ
シャクッ
此花
此花
気がつくと依瑠は私の前から消えていた
此花
私はポケットからメモ帳とペンを取り出して、絵を描いてみた
此花
今までにないくらい上手くかけた
本当に絵の才能を貰えたんだ
欲しい才能をあげる代わりに いらない才能を奪う
本当は、彼は怖い存在じゃないのかも
依瑠
依瑠
依瑠
依瑠
林檎売り少年
完
コメント
12件
続きが見たいくらい面白い、、、!!!
ただの良い奴じゃないか…! 女の子の話が心にくる(꒪꒳꒪;)
面白いです!! 続きとか出ます…?🫣