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テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで

「うぅ……ヒック……」

人々が集まる都心

建物の隅っこで1人の少女が泣いている

その少女に声をかける1人の少年がいた

林檎売り少年

ねぇ、知ってる?

この町には、子供に林檎を売る子が居るんだって

でもね、それただの林檎じゃないの

その子が売る林檎は才能の塊なんだって

子供の欲しがっている才能を与える代わりに、その子の才能を1つ奪っちゃうんだって

突然その話を思い出した

何時だろうか、この話を聞いたのは

不安なこととかがあるとすぐ昔の話を思い出してしまう

いや、それとも

この話を思い出したのは 今起きていることのせいなのだろうか

???

ねぇ、大丈夫なの?

たくさんの林檎が入った籠を手に持ち、真っ白な髪にカラスのように真っ黒な瞳

平均より低めな身長の男の子が私の前に立っている

その子は私のことを見てずっと心配の言葉をかけてくる

此花

う……うぅ…

???

ちょっと…泣くんじゃなくて
何か言ってよ……

そう、私はこの場所でうずくまって泣いているのだ

理由は暴言

あんたには才能がないだとか、同い年の子に言われまくったのだ

???

何があったのー?

此花

……

涙目で警戒の眼差しを向ける私に気がついたのか

少年はなにかに気づいたような顔をした

???

名前、言わないと不安だもんね

???

僕は依瑠(える)
よろしくね

そう言ってニコッと笑う 依瑠と名乗る少年

依瑠

それで、君の名前は?

此花

えあ、わ、私……

此花

こ、この…は……

声がかすれていたが 何とか自分の名前を言えた

変な風に思われていないかと、恐る恐る依瑠の方を見る

依瑠

此花ちゃんか
いい名前だね

依瑠はニコッと笑った

依瑠

此花ちゃんはさ、どうしてここで泣いてたの?

此花

えと……

私は自分が虐められたことを依瑠に話した

依瑠

そっか、辛かったね

依瑠は私の隣に座ると背中をさすってくれた

依瑠

ねぇ此花ちゃん

依瑠

君はさ……

「どんな才能が欲しい?」

此花

…え?

林檎

子供

才能

あの噂話をまた思い出す

此花

…あ…え

私に才能があるかどうかなんて分からない

でも、もしあるとしたら

その才能をとられてしまうのだろうか

依瑠

…質問を変えようか

なかなか答えない私に焦れったくなったのか、依瑠はそう言い出した

依瑠

いらない才能はなに?

此花

…え?

依瑠

今君が持ってる才能で
いらないもの

此花

私の才能で…いらないの……

此花

(そんなの分からない……
自分にどんな才能があるか分からないんだから…)

依瑠

ふふっ、自分の才能が分からないって顔してるね?

此花

うっ……

図星だった

依瑠

そうだね、君に要らなそうな才能…
ネガティブ思考なのとかどうかな

此花

ネガティブ思考…?

依瑠

うん、君は物事をマイナスに考えてしまう傾向があるみたいだから

此花

で、でもそれって……

依瑠

「才能にはいるの?」

私の言いたいことを見透かしたように、依瑠はそう言う

依瑠

入るよ
どんなものでも、全て才能

依瑠

歌が下手な才能とか、人に嫌われる才能とか

依瑠

嫌なものも才能にはいるからね

此花

……なるほど…

依瑠

さて、じゃあ君からはネガティブ思考の才能を頂くことにするよ

依瑠

代わりになにか欲しい才能
ないかな?

此花

……

此花

わ…たし

すぅっと息を吸って 欲しい才能を口に出す

此花

絵が上手くなりたい……

此花

ずっと…絵柄とか……バカにされてたから……

依瑠

…なるほどね

依瑠

じゃあ、はいこれ

依瑠は私にひとつの林檎を差し出した

依瑠

食べて

此花

……

林檎を手に取り、恐る恐る口に運ぶ

シャクッ

此花

……

此花

……?

気がつくと依瑠は私の前から消えていた

此花

あ、そうだ……

私はポケットからメモ帳とペンを取り出して、絵を描いてみた

此花

……!

今までにないくらい上手くかけた

本当に絵の才能を貰えたんだ

欲しい才能をあげる代わりに いらない才能を奪う

本当は、彼は怖い存在じゃないのかも

依瑠

……

依瑠

お買い上げ、ありがとうございました

依瑠

さて……

依瑠

次はどんな才能と出会えるかな

林檎売り少年

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