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主
いよいよ夏本番である 7月に突入した教室は暑い 俺以外の皆は水筒の中身が なくなったと、自販機に 行ってしまった 俺は大きめの水筒を 持ってきたため、早めに 画材の準備をする
コンクールまで残り1ヶ月 特に3年生の先輩達の思いは すごく強い 俺も負けじと制作に向かうのだが 今ひとつと言ったところだ
さっきまで絵の具をいじってた らっだぁが思い出したように 言った
らっだぁ
ぺいんと
驚いた拍子にバサバサと 筆やスケッチブックを 落とす
ぺいんと
もう一度言ってらっだぁの方を 見て聞き返す らっだぁは顔も変えずに言う
らっだぁ
ぺいんと
らっだぁ
ぺいんと
らっだぁ
ぺいんと
え〜?と言いながら 笑うらっだぁ
ぺいんと
ため息まじりにそう聞くと らっだぁは少し思い出すように 停止したあと
らっだぁ
ぺいんと
俺が怒るとらっだぁは余計 可笑しそうに笑った もう!と言いながららっだぁに タオルを投げる ごめんって!と言いながら 逃げ回るらっだぁ
追いかけっこするように 俺とらっだぁは騒ぎながら 美術室中を駆け回った
だから気づかなかった 皆が帰ってきたことに
クロノア
らっだぁ目線
聞こえてきた声に ぺいんとの笑顔は消える 振り向くと、教室の入口の方に 不思議そうにぺいんとを見つめた クロノアさん達がいた みどりは俺のこと見えるからか 納得した様子だ
ぺいんと
ぺいんとは後ずさりする がたん と後ろの机にぶつかって 彼はまたスケッチブックを 落とした 落ちたスケッチブックは 拾われることはなかった
クロノア
コンタミ
周りに同意を求める クロノアさん 頷く周りに、ぺいんとは どんどん顔色を悪くする しまった、また、また 俺のせいでぺいんとの 幸せを、と俺は 1人で心の中で舌打ちをした
その時だった
しにがみ
そう言い出したのは しにがみくんだった
しにがみ
しにがみ
1番驚いた顔をしてるのは ぺいんとだった 彼の顔から、絶望の色が どんどん消えてゆく
緑色
次にそう声をあげたのは みどり
緑色
みどりはそう言うと 俺とぺいんとににこり、と 微笑んだ
それを聞いたクロノアさんは 目を輝かせた
クロノア
「え…?」とぺいんとは 拍子抜けである
コンタミ
とコンちゃん
トラゾー
と、トラゾーさんも 興奮気味だ
レウクラウド
とレウ
きょーさんは 教室の中に入ってきて 「この辺とか?」と言って 何もない空間を触っている
ぽかん、と口を 開けたままのぺいんと
……流石だな〜 やっぱり、この人たちは
金豚きょー
大きな声をあげたのは きょーさん 持っていた袋から慌てて アイスの箱を取り出す 溶け始めたアイスを見ては ぎゃーぎゃーと騒ぐ面々
あの、と、ぺいんとが 一声
トラゾー
ぺいんと
ドキマギした様子で 尋ねるぺいんと クロノアさんはきょとんと して、首を傾げた
クロノア
クロノア
クロノア
それだけ言うとクロノアさんは アイスを皆に配り始めた
振り返ってみると ぺいんとは呆然としていた
それからぺいんとは ゆっくりと呟く
ぺいんと
しにがみくんが ぺいんとの隣にやってくる
しにがみ
しにがみくんが ぺいんとに尋ねる
ぺいんと
ぺいんと
ぺいんとはそう言うと 柔らかく微笑んだ まったく、ぺいんとは 俺のことばっか考えてんな ……お人好しめ
しにがみくんが 再び尋ねる
しにがみ
ぺいんとは 大きく頷く
ぺいんと
ぺいんとがそう言った瞬間 思い出したように外の 蝉が鳴き始めた いや、もしかしたら 俺が気づかなかっただけ かもしれないけど
何匹も何匹も、元気に 鳴いている ちょっと煩いけど
レウクラウド
レウクラウド
レウが呼ぶ 皆でアイスを分け合ってる クーラーがちゃんと効くまで どうやらブレイクタイム のようだ
しにがみ
と、しにがみくんが アイスの方へ向かっていく
クロノア
クロノアさんの 呼ぶ声に「はい!」と 返事をしたぺいんと
彼は幸せそうに微笑むと クロノアさん達の方へ 駆け寄った
俺をすり抜けて
外の蝉が死に物狂いに 鳴いている
自分の存在を、誰かに 気づいて欲しいみたいに
主
主
主