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グレイス

ジークとの婚約は破棄する

グレイス

今から、その話をしに行くのよ

そう言って、グレイスが部屋を出て行った後。

ヒース

ヒース

…っ

メイ

俺は、水の入ったガラスを勢いよく床にたたきつけた。

ヒース

ヒース

…お前、

ヒース

なんのつもりだ?

メイ

えっ…?

ヒース

なんのつもりかと聞いている

メイ

メイ

どういう意味でしょうか

メイ

私には、まったく

ヒース

お前、

ヒース

姉ちゃんに毒を飲ませようとしただろ

メイ

…!

ヒース

今朝、お前が姉ちゃんに渡したこの水…

ヒース

これには、微かだが毒が含まれていた

メイ

ヒース

あれは、なんの毒だ?

ヒース

普通の毒じゃないだろ

メイ

ヒース

俺は母方のディルガード家の指示で、

ヒース

幼少から、毒の耐性をつけるために多量の毒を摂取している

ヒース

それなのに俺は、お前の使った毒がわからなかった

メイ

ヒース

ヒース

…なあ、

ヒース

これ、自作の毒薬だろ

メイ

メイ

お気づきでしたか

ヒース

なめるなよ

ヒース

俺だって、だてにこの家で生きてきたわけじゃない

メイ

…そうですね

ヒース

…ま、

ヒース

あの量じゃ、死ぬどころか気づくのも難しいけどな

ヒース

姉ちゃんが口にするものに手あたり次第、気づかねー程度に毒入れて、

ヒース

体内備蓄で殺すつもりだったんだろ

ヒース

よくある話だ

メイ

ヒース

…で?

ヒース

誰の指示だ?

メイ

ヒース

この毒をつくったのも、お前の主人だろ

ヒース

単なる使用人のお前が、こんな高度な毒薬を調合できるわけないからな

メイ

ヒース

答えろ

メイ

メイ

それは…

メイ

私の口からは、言えません

ヒース

命をかけてもか?

メイ

はい

ヒース

ヒース

…大層な忠誠心だな

メイ

処罰は甘んじて受け入れます

メイ

ですが、私がお教えできることは何もありません

ヒース

メイ

これ以上詮索なさるようでしたら、私は…

メイ

ここで、舌を噛み切ります

ヒース

メイ

どうなさいますか?

ヒース

ヒース

はぁ…

ヒース

盲目的な忠誠なほど、厄介なものはねえな

メイ

ヒース

わかった

ヒース

もうお前の主については言及しない

ヒース

処罰の話も、なかったことにしてやる

メイ

メイ

…よろしいのですか?

ヒース

あぁ

ヒース

だが、タダでってわけじゃない

メイ

メイ

…私に、何をお望みですか?

ヒース

はは、

ヒース

そんなかしこまるなよ

ヒース

簡単な話さ

ヒース

姉ちゃんの一挙一動を俺に報告しろ

ヒース

それだけでいい

メイ

…⁉

メイ

お嬢様を、監視しろと…?

ヒース

姉ちゃん専属の使用人のお前ならできるだろ?

メイ

ヒース

お前は主の命令を遂行できるし、

ヒース

俺は欲しい情報が手に入る

ヒース

悪い話じゃないと思うけどな?

メイ

ヒース

さ、どうする?

メイ

メイ

わかりました

メイ

それで今回のことに、目をつむっていただけるのなら

ヒース

話が分かる奴で助かるな

ヒース

んじゃ、期待してるぜ

メイ

メイ

………

メイ

あの、ヒース様

メイ

お言葉ですが、一つお聞きしてもよろしいでしょうか

ヒース

なんだ?

メイ

ヒース様はなぜそこまで、

メイ

お嬢様に執着されるのですか?

ヒース

そんなの決まってんだろ

ヒース

アイツが、兄弟の中で一番扱いやすいからだよ

メイ

扱いやすい、とは…

ヒース

この家の奴らは全員、警戒心が強すぎる

ヒース

…ま、当然だよな

ヒース

生まれた瞬間から、兄弟から命を狙われてんだから

メイ

ヒース

でも、アイツは違う

ヒース

一見そうは見えないが、他の兄弟に比べれば油断も隙もありすぎる

ヒース

利用するには、もってこいだろ

メイ

メイ

…ヒース様は、お嬢様を利用するおつもりなんですね

ヒース

悪いか?

メイ

いいえ

メイ

ですが…

ヒース

メイ

ヒース様はお嬢様に、亡くなった『お兄様』を重ねているとお聞きしましたので

メイ

てっきり、善意でお近づきになっているのかと…

ヒース

…俺には昔、唯一血のつながった兄がいた。

名は、ノイズ・ガルシオン。

北部の有力貴族であり、学者を多く輩出する【博識】のディルガード伯爵家と、ガルシオンの間に生まれた、正当なる候補者。

しかし兄は幼い頃人攫いに遭い、故人とみなされ、

一人の妻につき、一人の子供しか設けられないガルシオンの規則の例外として、代わりに俺が生まれたのだが…

ヒース

ヒース

…本当に、死んでくれればよかったのにな

メイ

…え?

ヒース

いや、こっちの話だ

メイ

黙ったメイをよそに窓を見下ろすと、中庭でグレイスとジークがもめているのが見えた。

そして。

…グレイスの手助けをする、あの忌々しいアイツの姿も。

ヒース

あーあ、アイツ…

ヒース

目立つことはするなっていったはずなんだけどな

ヒース

顔、覚えられちまったじゃねえか

ヒース

ったく、

ヒース

面倒事増やしやがって

メイ

ヒース様、どちらへ?

ヒース

姉ちゃんのとこ

ヒース

あのジークとかいう男に絡まれてたからさ

ヒース

可愛い弟が、助けに行ってあげなきゃだろ?

メイ

左様ですか

ヒース

じゃ、

ヒース

あとのことは頼んだぜ、メイ・リリアンヌ

ヒース

お前の主にも、よろしく伝えてくれよ

メイ

メイ

…はい

公爵家のデスゲーム~たった一人しか生き残れない公爵家で、悪女は当主になる~

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