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地下監獄へ繋がる公爵邸の廊下を歩いている途中。

私は再び、兄弟の1人とその従者2人に出くわした。

グレイス

…あら

ステラ

あ…

ステラ

ご、ごきげんよう、

ステラ

グレイス姉様…

グレイス

ステラ

あ、暖かい午後ですね…

ステラ

姉様は、これからどちらへ…?

この車椅子に乗った少女は、ステラ・ガルシオン。

公爵家の六女であり、ガルシオンの「9番目」の子供…

…そして、平民の母を持つ、公爵家で最も冷遇されている少女だ。

ステラ

えっと…その…

ステラ

ステラ

お元気、でしたか…?

ステラ

屋敷ではなかなお会いできないので、ご挨拶も…

グレイス

グレイス

…いいえ、仕方ないわ

グレイス

あなたは書斎にこもってばかりで、私たちに会おうともしないもの

ステラ

あ…

グレイス

いつまで逃げ続けるつもり?

グレイス

隠れていたって、何も変わらないわよ

ステラ

ステラ

ごめんなさい…

グレイス

継承戦はあなたが死ぬか、あなた以外の全員が死ぬまで終わらないのよ

グレイス

他者を避ければ避けるほど自分が不利になることくらい、

グレイス

あなたもわかってるはずでしょ

カルセイン

んな言い方…!!

シオン

やめろ、カルセイン

カルセイン

だって、

ステラ

いいの、セイン

ステラ

…姉様の言う通りだわ

カルセイン

ステラ…、

グレイス

(このカルセインって子、初めて見るわ…)

グレイス

(ステラが連れてきたのかしら)

グレイス

グレイス

…今日は、シオン殿もいらっしゃるのね

シオン

お久しぶりです、グレイス様

シオン

ご挨拶が遅れて申し訳ありません

彼は、シオン・アークベルト。

ステラの父親違いの兄であり、平民ながら剣術に優れる従者だ。

グレイス

…そちらは?

グレイス

初対面のようだけれど

カルセイン

カルセイン

…どーも、

カルセイン

ステラの従者、カルセインです

グレイス

…?

グレイス

カルセイン…?

グレイス

家名は?

カルセイン

…チッ

カルセイン

…いちいち言わなきゃわかりませんか?

グレイス

え…?

グレイス

(この子…)

グレイス

(…まさか、)

ステラ

えと、実は…

ステラ

この子は、奴隷出身なんです

ステラ

ひどい扱い受けていたのを、私が…お金で

グレイス

グレイス

…そう

ステラ

無礼だと感じられたのなら、申し訳ありません…

ステラ

で、でも、悪い子ではないんですっ

ステラ

さっきも、私を思ってくれてのことで、

グレイス

ステラ

それに、セインだって本当は…

グレイス

…普段と違って、よく喋るわね

ステラ

ステラ

す、すみませ…っ

グレイス

私は先に失礼するわ

グレイス

また会いましょう、

グレイス

ステラ・ガルシオン

ステラ

グレイス

グレイス

(ダメよ、)

グレイス

(これ以上は情が移ってしまう…)

グレイス

(誰も信用しないって誓ったんだもの)

グレイス

(心苦しいけれど、適度に距離を取らないと)

ステラ

ま…っ

ステラ

待ってください!

グレイス

シオン

ステラ…?

ステラ

あの…

ステラ

一度、

ステラ

一度だけでいいんです

ステラ

今度、私の部屋に来てくれませんか…?

グレイス

あなたの部屋に?

グレイス

…なぜ?

ステラ

助けてほしいんです、

ステラ

…私を

グレイス

ステラ

姉様の時間を無駄にすることは、絶対にいたしません

ステラ

ですから、

ステラ

どうか、

グレイス

グレイス

悪いけど、先を急いでるの

グレイス

あなたの話に付き合ってる暇はないわ

ステラ

…っ

グレイス

…じゃあね

─【地下監獄の化け物】

それは、「地獄」の名を持つ、公爵家の呪われた双子を表す言葉だ。

…数年前、とある実験の一環として ガルシオンの当主の血と黒魔法により、二人の子供が創り出された。

しかし、帝都を滅ぼすほどの強力な魔力を持つ彼らを恐れた当主は、2人の継承権を剥奪し、公爵邸の地下監獄に幽閉した。

…そして。

孤独な化け物たちは、今日も2人だけの秘密の会話を繰り返す。

ヘル

ねえ、アビス

アビス

なあに、ヘル?

ヘル

きょう、おきゃくさんがくるよ

アビス

きょう、おきゃくさんがくるの

ヘル

まえにも、あったね

アビス

まえにも、あったよ

ヘル

もどってきたんだね

アビス

もどってきたよ

ヘル

こんどは、うまくいくといいね

アビス

こんどは、うまくいくよ

ヘル

飴、またくれるかな

アビス

飴、またくれるよ

グレイス

初めまして

グレイス

あなたたちが、地下監獄の化け物?

ヘル

アビス

グレイス

小さな子を、こんな場所に閉じ込めるなんて

グレイス

お父様も、酷いものね

ヘル

アビス

グレイス

私が、あなたたちをここから出してあげる

グレイス

だから、こっちにいらっしゃい

ヘル

ヘル

だあれ…?

グレイス

あぁ、まだ名前を言ってなかったわね

グレイス

私は、グレイス・ガルシオン

グレイス

あなたたちの姉よ

ヘル

ぐれいす…、

ヘル

…がるしおん…、

グレイス

そうよ

グレイス

大丈夫、

グレイス

あなたたちを傷つけることはしないわ

グレイス

だから、早くこっちに…

その時。

檻の中の小さな手が、私の頬にそっと触れた。

ヘル

…もどってきたの?

グレイス

え…?

ヘル

…おかえり

どくん、と。

心臓が脈打つ音が、鼓膜に響く。

グレイス

(私が、もう一度回帰できた理由…)

グレイス

(ずっと不思議だったけれど…)

グレイス

(…この子たちなら、納得がいく…)

グレイス

まさか…

グレイス

あの時、時間を巻き戻したのって…

ヘル

グレイス

ど、どうして…?

グレイス

私、そんなことしてもらえるほど、あなたちにはなにもしてあげられてないわ

グレイス

それなのに、

グレイス

どうして…

ヘル

ヘル

あめ…

グレイス

え…?

ヘル

あめ、くれたから…

グレイス

飴…?

ヘル

おねえちゃんが、ちっちゃい時に…

グレイス

…?

グレイス

(飴…)

グレイス

(この子たちに、あげたことがあったかしら…)

グレイス

グレイス

(いいえ、あるはずがないわ)

グレイス

(2人に会うには、今日が初めてだもの)

グレイス

ごめんなさい

グレイス

覚えがないわ

ヘル

グレイス

それより、早くここから出ましょう

グレイス

鎖は…

私が2人の鎖に触れると、錆びていたのか、簡単に外すことができた。

グレイス

あぁ、やっぱり

グレイス

ろくに管理されてなかったのね…

ヘル

アビス

グレイス

さあ、ついてきて

グレイス

ひとまず、私の部屋に行きましょう

公爵家のデスゲーム~たった一人しか生き残れない公爵家で、悪女は当主になる~

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