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第1話 - あ

2023年06月06日

#恋愛

結城真矢

シュウイチ

アユム、今仕事中か？

シュウイチ

ちょっと頼みがあるんだけど

アユム

今終わったところだ

アユム

お前が頼み事するなんて珍しいな

アユム

どうした？

シュウイチ

それがさ、めちゃくちゃ言いづらいんだけど

アユム

なんだよ？

アユム

大学からの付き合いだろ

アユム

とりあえず言ってみろ！

アユム

とんでもないこと言ったら笑い飛ばしてやるから

シュウイチ

そう言ってくれて助かるわ

シュウイチ

その・・・リナちゃんと別れてほしいんだ

アユム

え？？？

アユム

リナと別れる？俺が？

シュウイチ

そう

シュウイチ

できるだけ早めに頼む

アユム

待て待てｗ

アユム

え？本気で言ってる？

シュウイチ

俺は本気だよ

アユム

それ「ちょっと頼みたいって言える内容じゃないだろ」

アユム

どういうことなんだ？

アユム

もう少し詳しく説明してくれ

シュウイチ

説明も何も俺とリナちゃんはずっと前から愛し合ってるんだよ

アユム

は！？それってシュウイチとリナが浮気してたってことか！？

シュウイチ

ごめん！親友の奥さんに手を出すなんて最低なのはわかってる！

シュウイチ

でも俺は本気なんだ！

アユム

いきなりそんなこと言われても・・・

アユム

いつから？

シュウイチ

お前の結婚式でリナちゃんに一目惚れしてから

アユム

それはお前がリナを好きになった時だろ

アユム

いつからそういう関係なんだよ？

シュウイチ

３人で一緒に食事するようになってから

アユム

マジかよ・・・

アユム

それって結婚してすぐの頃じゃん

アユム

俺たち結婚して丸３年だぞ？

アユム

３年間も騙してたのかよ

シュウイチ

そういうことになるな

アユム

ふざけんなよ！

アユム

でもまだ浮気なんて信じられない

アユム

俺はリナを信じてるからな

シュウイチ

信じたい気持ちはわかる

シュウイチ

だからこそ男の俺から伝えたんだ

シュウイチ

親友としての友情もあるしな

アユム

この状況で友情とか言うなよ

アユム

無理があるだろ

アユム

てか３人で出かけたりうちに泊まって飲んだりしてたのは？

アユム

もしかして何も知らない俺を２人で笑ってたのか？

シュウイチ

そんなんじゃない

シュウイチ

２人きりで会うのはお前に悪いからさ

アユム

意味わかんないって

アユム

浮気が本当ならそっちの方が罪悪感あるだろ

シュウイチ

ごめん

アユム

謝ってどうにかなる内容じゃないよな？

アユム

俺、リナと直接話すまでは別れる気ないから

シュウイチ

そうだよな

シュウイチ

いきなり驚かせて悪かった

シュウイチ

でもリナちゃんはお前と別れたがってるんだ

アユム

え？

シュウイチ

実は俺たち、もう２人で住む新居を見に行ったんだ

アユム

は？なんだよそれ・・・

アユム

本当に知らなかったのは俺だけなのか？

アユム

なんでもっと早く教えてくれないんだよ

シュウイチ

悪かったよ・・・

シュウイチ

でも２人でデートしてリナちゃんに服を選んでもらうのが

シュウイチ

もう幸せ過ぎて

シュウイチ

幸せを逃がしたくなかったんだ

アユム

俺の幸せと引き換えになっても？

シュウイチ

それはほんと申し訳ないと思ってる

アユム

あのさ、さっきから申し訳ないとか言いながら

アユム

なんで直接会って話さないんだよ？

アユム

こんな大事な話をLINEでするなんてありえないぞ

シュウイチ

やっぱり怒るよな

シュウイチ

直接話すよりもこの方が冷静に話せるかと思って

アユム

なんだよそれ！

アユム

この際言うけどそういうところ昔からちょっとズレてるよな

シュウイチ

ズレてる？俺が？

シュウイチ

でもリナちゃんとの離婚話は考えてみてくれ

シュウイチ

彼女の気持ちにもなってくれ、頼む

アユム

俺の妻なのにわかったような口をきかないでくれ

アユム

もうお前とは縁を切る

アユム

連絡してくるな

～数分後～

シュウイチ

リナちゃん久しぶり^^

シュウイチ

元気だった？

リナ

元気だよ♪

リナ

シュウイチくんは？

シュウイチ

俺は今すごく幸せなんだ♪

リナ

そうなの？

リナ

何か良いことあった？

シュウイチ

そうなんだよ

シュウイチ

俺は世界で一番の幸せ者の気分なんだ

リナ

なんかわかんないけどよかったね^^

シュウイチ

この前話したことでさっきアユムと話をつけてきたよ

リナ

この前の？何だっけ？

シュウイチ

ほら、俺が迎えに行くよって話

リナ

あ～あれね！

リナ

助かっちゃった～

リナ

いつもありがとう^^

リナ

ほんとシュウイチくんは気が利くから頼っちゃうんだよね

シュウイチ

それ本当？嬉しいな～

リナ

アユムには私からも言っておくね

シュウイチ

そう？大丈夫かな？

リナ

大丈夫だよ

リナ

何にも心配しないで私に任せて！

リナ

当日楽しみにしてるね♪

シュウイチ

うん！俺も楽しみにしてる！

シュウイチ

そうだ！

シュウイチ

もうすぐ新生活だからその前に指輪を一緒に見に行かないか？

リナ

指輪？

シュウイチ

ダメかな？

シュウイチ

できればリナちゃんと一緒に見に行って

シュウイチ

ピッタリな物を選んでもらいたいんだけど

リナ

いいけどそういうのって私が行っていいのかな？

シュウイチ

当たり前だよ！良いに決まってる！

リナ

そう？迷惑にならなければいいんだけど

シュウイチ

迷惑なわけないよ！

シュウイチ

いつも俺の服とか仕事道具とか選んでくれるじゃん

シュウイチ

リナちゃんのセンスをとにかく信頼してるんだよ

リナ

わかった！じゃあ今度は指輪ね

リナ

行く前にサイズ調べておいてね

シュウイチ

えっと・・・サイズ？

シュウイチ

よくわからないけどこれは俺がアクセサリー初心者だからかな

シュウイチ

調べておくよ

リナ

その方がスムーズに選べるから！

シュウイチ

俺はいくら時間がかかってもいいんだけど

リナ

そっか！

リナ

指輪のデザイン選ぶのって大事な時間だもんね

リナ

２人にピッタリな指輪が見つかりますように

リナ

私も全力で手伝う(^^)/

シュウイチ

リナちゃんマジ天使！

シュウイチ

ありがとう♪

～数日後～

シュウイチ

聞いてくれ

シュウイチ

正式にプロポーズした

アユム

へーそうなんだー

シュウイチ

なんだよその反応は！

シュウイチ

俺がリナちゃんを取るみたいになって悔しいのはわかるけど

シュウイチ

最後まで親友らしく祝福してくれよ

アユム

何が親友だよ

アユム

てかもう連絡してくるなって言っただろ？

アユム

それにプロポーズしたぐらいでわざわざ知らせなくていい

シュウイチ

はぁ！？プロポーズだぞ！？

シュウイチ

一世一代の大勝負！

シュウイチ

お前だってしたことあるくせにする側の気持ちがわからないのか？

アユム

どうでもいいって

アユム

じゃあな

シュウイチ

待てよ！リナちゃんと連絡がつかないんだ

シュウイチ

俺が迎えに行くって昨日連絡したのに既読にもならないんだよ！

アユム

それで？

シュウイチ

リナちゃん、家にいないか？

シュウイチ

もしかしてどこかで事故に巻き込まれてたらどうしよう！

アユム

リナは無事だからもう今後一切関わらないでくれ

シュウイチ

へ？

アユム

驚いたよ～

アユム

リナにお前から聞いた話を全部確認したら

アユム

ただの勘違いだったんだからな

シュウイチ

は？何言ってんだ？

シュウイチ

勘違いなわけないだろ

シュウイチ

俺たちは心が通じ合ってるんだ

アユム

へ～心がねｗ

アユム

お前、リナが引くほど天然ボケなのわかってて

アユム

本気でそう言えるか？

シュウイチ

え・・・それってどういう意味だよ？

アユム

あれ？もしかして忘れてた？

アユム

お前が言ってたデート

アユム

あれはデートじゃないな

シュウイチ

いや！あれは間違いなくデートだ！

シュウイチ

２人きりで出かけたし食事もした！

アユム

確かにな

アユム

それは事実だが・・・

アユム

リナはお前の"彼女"へのプレゼントを選ぶために

アユム

同行したんだってさｗ

シュウイチ

そうだよ？彼女ってリナちゃんのことだろ？

アユム

違うよ

アユム

お前にリナとは別の彼女ができて

アユム

その人のためにプレゼントを選ぶのを手伝ったと思ってる

シュウイチ

誰だよその女？

シュウイチ

俺にはリナちゃんだけだぞ？

アユム

そうだろ？つまり最初から実在しない彼女のために

アユム

リナは買うものを選んでたんだ

シュウイチ

いやでも俺の服を選んでくれたのは？

シュウイチ

あれはもう紛れもなくデートだろ

アユム

架空の彼女とのデートで着ていく服が欲しいんだろうと

アユム

リナは思ってアドバイスしてた

アユム

もちろんアパートも指輪も

シュウイチ

え！？いやいや！

シュウイチ

流石におかしいだろ

シュウイチ

一緒に住まないつもりだったら内覧なんて行かないよな？

アユム

普通はな

アユム

でもリナはびっくりするほど天然だ

アユム

「彼女が忙しくて来られないけど女性の意見が欲しいんだ！」

アユム

と思ったんだってさ

シュウイチ

そんな！俺はリナちゃんと一緒に住むつもりだったのに・・・

アユム

てかお前もなんで気づかないかな～

アユム

リナに何度も「私とじゃなくてパートナーと行きなよって」

アユム

言われてたんだろ？

シュウイチ

だからパートナーはリナちゃんで合ってるんだって！

アユム

既婚者の自分は除外したんだろ

アユム

当然の対応だけどな

シュウイチ

嘘だ！

シュウイチ

リナちゃんだってデートを楽しんでたはずなのに

シュウイチ

こんなのありえない！

シュウイチ

アユム、お前リナちゃんに何かしたんじゃないのか？

アユム

何かって？

シュウイチ

監禁とか

アユム

監禁？なんでそんな発想になるんだよ

シュウイチ

俺たちは両想いなのに連絡も取れないし

シュウイチ

デートは誤解だって言うし

シュウイチ

お前に脅されて嘘ついてるに決まってる！

アユム

お前ってやつは・・・

アユム

リナは天然で押しに弱いから

アユム

好意があるって勘違いされやすいんだ

アユム

今まで何人ストーカー化したことか

シュウイチ

ストーカー！？そんなの聞いたことない！

アユム

結婚する前の話だから言ったことなかったかもな

アユム

被害に遭ってから勘違いさせそうなことは

アユム

ハッキリ断るって決めてたんだけど

アユム

今回は俺の親友だし３人でよく会ってたから油断したんだと

シュウイチ

じゃあ本当に今までのは俺の勘違いなのか？

アユム

そう！

アユム

あとリナの天然っぷりでうまいこと話が噛み合っちゃって

アユム

余計勘違いを加速させたんだな

シュウイチ

そんな・・・

アユム

それからリナ、妊娠したんだ

シュウイチ

妊娠！？いつ！？なんで！？

アユム

今やっと安定期に入ったくらい

アユム

もう少ししたら言おうと思ってたんだよ

シュウイチ

でも俺とはまだそういうことしてないぞ！？

アユム

当たり前だろ！

アユム

俺とリナとの子なんだからｗ

シュウイチ

なんで俺の子じゃないんだよ！

アユム

知るかよｗ

アユム

お前がそんなにアホだったなんて知らなかったわ

アユム

とにかくそういうことなんで

アユム

俺たち夫婦は離婚どころか結束強まってんの！

アユム

邪魔しないでくれよ

シュウイチ

俺とリナちゃんとの未来は！？

シュウイチ

だってアパートの契約もして

シュウイチ

指輪も発注して・・・

アユム

えｗもう金払ったの？ｗ

アユム

それは早とちりがすぎるだろ

アユム

リナも止めてやればいいのになｗ

シュウイチ

待てよ？やっぱりおかしくないか？

シュウイチ

俺は確かにリナちゃんに直接プロポーズしたんだぞ？

シュウイチ

あれはどうなったんだよ！

アユム

リナはその場で何か返事したのか？

シュウイチ

いや、黙ってニコニコしてた

シュウイチ

だからてっきりOKだと思って・・・

アユム

リナはプロポーズの練習台になったつもりでいたよ

アユム

なぜか誇らしげにｗ

アユム

あいつからしてみたらシュウイチが彼女と付き合うところから

アユム

結婚準備までを見届けた母親目線だったんだろうな

シュウイチ

なんでだよ！？

シュウイチ

俺はちゃんと結婚してほしいって言ったのに！

アユム

まさか妻が親友からプロポーズされてたなんてな

アユム

しかも失敗どころか気づかれてもいないしｗ

シュウイチ

でも俺は迎えに行くって言ったんだ！

アユム

それは今度３人で行く予定だった遊園地と勘違いしてたよ

アユム

とことんだなｗ

シュウイチ

こんな惨めなことになるなんてあんまりだ・・・

シュウイチ

でも親友との友情があって助かったよ！

シュウイチ

全部未遂だったんだ

シュウイチ

水に流してくれるよな？

アユム

無理に決まってるだろｗ

アユム

大学時代からその勘違い体質には参ってたんだよ

アユム

今回の件で親友の妻にも手を出すやつってわかったし

アユム

もう連絡は控えさせてもらう

シュウイチ

え！？待ってくれよ！

シュウイチ

たった今失恋したところなのに親友まで失うのか？

シュウイチ

また３人で仲良く出かけるよな？おい！

～後日談～

アユム

早とちりで新居などを押さえていたシュウイチはキャンセルしようとしたが

アユム

キャンセル料の支払いで追われているらしい

アユム

特に婚約指輪はもう作り始めてキャンセルができなかったようで

アユム

相手がいないのに配送されることになってしまったんだとか

アユム

なぜかうちにも請求書が送られてきたので彼の実家に転送してあげた

アユム

俺たちは引っ越しをしてこれから生まれるお腹の子と３人で幸せに過ごしたいと思う

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結城真矢

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