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学級会が終わる頃に教室のドアがノックされた
皆が何だろうという顔をする
先生が言った
先生
海斗(かいと)
先生はドアの向こうに声をかけた
先生
教室に入ってきたのは、僕らと同じ学年くらいの、男の子だった
皆息をのんだ
クラスメイト
クラスメイト
教室中がざわめいた
クラスメイト
クラスメイト
海斗(かいと)
シンジはこの間交通事故で亡くなった
ふらふらと道路に出ていって車にひかれたそうだ
そのシンジが、先生の横にたってぺこりと頭を下げた
クラスメイト
ありえない。どういうことだ。
僕らは青ざめてシンジを見た
すると先生が言った。
先生
海斗(かいと)
そういえば、髪型も雰囲気もちょっと違う
航(こう)
海斗(かいと)
実は僕らはシンジをかなりいじめていた。
クラスぐるみといっていい。 だから、シンジがなくなった時
クラスメイト
クラスメイト
クラスメイト
なんて、悪い冗談を言い合ったりしていた
先生
航(こう)
とシンジのお兄さんはふかぶかと頭を下げる
仕方なく僕らも「いやいや、どういたしまして」みたいなかんじで頭をさげた
でも、お兄さんはなんの用があって来たんだ？
航(こう)
海斗(かいと)
航(こう)
航(こう)
先生
先生
目を閉じる。ちょっとシンジの事を思い出していろいろ反省した
お兄さんの声がする
目を閉じてるとシンジが喋っているみたいだ
航(こう)
海斗(かいと)
航(こう)
海斗(かいと)
航(こう)
皆もくとうしていたはずの顔を上げ一斉に川上を見た
川上
川上は喉が詰まったような声を出した
そりゃそうだ。1番のシンジをいじめていたのは川上なのだ。
航(こう)
航(こう)
川上
川上の声が震えている。
海斗(かいと)
海斗(かいと)
海斗(かいと)
いじめのことも、お兄さんには言わなかったのかもしれない。
航(こう)
吉永
航(こう)
吉永
航(こう)
吉永
海斗(かいと)
海斗(かいと)
海斗(かいと)
海斗(かいと)
そのときチャイムがなった。
先生
先生
航(こう)
先生
航(こう)
先生
先生
そういって、先生は出ていった
先生がいなくなると同時に川上が言った
川上
吉永
僕らもゾロゾロと立ち上がった
するとお兄さんが言った
航(こう)
さっきと、声の調子が違う
航(こう)
川上
川上
川上はさっさと出ていこうとした。
ところが教室のドアを背にしてお兄さんは川上を通せんぼすると、低い声で言った。
航(こう)
川上
航(こう)
吉永
航(こう)
お兄さんの目を見ているとなんだか、逆らえない
僕らはまるで催眠術にかかったみたいにお兄さんの後について歩いた。
航(こう)
体育館の裏にはさびた古いサッカーゴールポストが置いてある
航(こう)
知っている。あの事を
航(こう)
川上
航(こう)
航(こう)
川上
お兄さんは川上の前に立ちはだかった
航(こう)
僕らは思い出した。シンジをいじめたきっかけを。。
体育祭のクラス対抗サッカーの時
決勝までいったうちのクラスはキーパーをやっていたシンジが相手のゴールを許してしまったせいで負けたのだ
川上はシュートを決めていたのでシンジが許せなかった
その日から川上や吉永のいじめが始まり、あっというまにクラス全員でのいじめになっていた
あの時と同じ光景
でもキーパーはシンジではなく、川上。
航(こう)
海斗(かいと)
みんなでシンジをいじめた時僕らがはやしたてたセリフのままじゃないか！
航(こう)
パシーン！！
ボールはビュンと川上の顔をかすめ、後ろのネットにつきささる。
川上
川上は、片手でボールがかすった頬をなでた。
川上
まるで、ナイフで切られたかのように川上の頬に赤い線がザクっと入っている。
血だ！ボールかすっただけで切り裂かれたのだ。
川上
川上が頬を抑えて泣き出した。
航(こう)
と、言ってまたボールをセットする。
川上
川上がゴールの前で跪いた
航(こう)
航(こう)
誰も人声出せなかった。
航(こう)
吉永
航(こう)
クラスメイト
クラスメイト
僕らはとうとう泣きながら土下座した。
航(こう)
航(こう)
シンジは歌いながらボールをセットした。
航(こう)
END
