雨宮 梅雨
そう、私は泣きながら述べる。
このクソみたいな世界を変える為───
私がこの能力に気づいたのは、 ほんの数分前。
私に友達なんていなかった。
要らないし、欲しくもない。
父親は隙があればギャンブル。 またギャンブル。
母親はホストにハマって、 ホスト狂になってるし。
───この世界は、金が全て。
金持ちは許され、 貧乏人は許されない。
私はこのクソみたいな世界で クソみたいに生きる。
雨宮 梅雨
雨宮 梅雨
霧谷 恋音
霧谷 恋音
雨宮 梅雨
こいつに絡まれると気分が悪い
金持ちで、直ぐに権力を使う奴。
こんな奴に、逆らえないのが悔しい
霧谷 恋音
渡されたのはドッグフード。
雨宮 梅雨
霧谷 恋音
雨宮 梅雨
本心ではクソ不味い。
でも、「不味い」なんて言えない。
霧谷 恋音
雨宮 梅雨
必ず言わなくてはならない台詞。
いくら不味くても、いくら吐きそうでも、必ず。
貧乏人は、金持ちにこう扱われる
いつからこうなったのだろう。
5歳の頃は、親と公園ではしゃいでたっけ。
日が暮れたら、手を繋いで家に帰る。
当たり前だったけど、楽しかった。
でも、なんでかな。
あの楽しかった思い出とか、私の妄想だったり。
それくらい、今の世界はクソだ。
────こんな世界、消えてしまえ
無力な自分にこの世界を消せますか? いいえ、消せませんとも。
ただ、消えて欲しいと願う。
それだけだ。
ああ、早く…
消えてしまえ───
雨宮 梅雨
今、一瞬だけ声が聞こえる。
一瞬だったけれど、 透き通った綺麗な声が聞こえた。
───何処かで聞いた事があるような。
そして、何故か思い出す、この世界。
街を歩けばホストやキャバクラ。
人間を犬のように扱い歩く女。
子供が捨てられていたり。
こんなクソみたいな世界を、今更思い出す。
雨宮 梅雨
何故か呟く。
雨宮 梅雨
そう、思ったから。
雨宮 梅雨
雨宮 梅雨
着いたのはただの森。
何故か来てしまった。
行かなきゃと思った。
────何でだろう。
自分でもよく分からない。
でも、何故か泣いていて。
5歳の頃、親と公園ではしゃいでた頃に戻りたくて。
────こんな、クソみたいな世界を直したくて。
私は、名も知らぬ誰かに祈りを捧げた。
雨宮 梅雨
その瞬間、大雨が降り始めた。
さっきまで晴れていたのが、急に。
私も驚く。
ただ、やらなきゃと思ったことをやっただけなのに。
────神様、 これはこの世を救えということですか?
素晴らしい能力を、感謝致します。
この能力で、狂った人間どもの目を覚ませるだろうか。
────ええ、出来ますとも。 出来るから、この能力を下さった。
あのギャンブラーの父親を、 前までの優しいお父さんに。
あのホスト狂の母親を、 前までの綺麗なお母さんに。
────恋音を、 大好きな親友に戻す為に。
私は、 笑みを浮かべて何処かへと駆け出した。
そして、 大雨だった空は鮮やかな青色となり晴れたという。
コメント
6件
おお~... あの...その... 語彙力消えるくらい...その...よかったです (マシな感想を言えなかった件)
ヤバイ…この先の展開が不穏でしかない… 楽しみにしてるね!