康二
五限目は体育。
本当なら喜ぶのだが、俺はどん底に突き落とされた気分だった。
なぜなら…
体育科の先生
康二
俺の一番苦手な『跳び箱』だからだ。
そんな中、ひときわ際立っている男子が目に入った
開脚跳び8段を余裕で飛んでいる男子。 その名も…
体育科の先生
蓮
そう。『目黒』 こいつは運動神経抜群で勉強もそこそこできるから何かとモテることが多い。
そんな目黒に対し、俺は運動神経は普通より少し下。 勉強はまぁまぁできるが目黒ほどではないので期待されることも少ない
そんな人に恋をしてしまったというのは、誰にも言えなかった。
康二
蓮
と、不意に目黒と視線が合い、自分が見つめていたことを自覚する。
急に恥ずかしくなる。 しかも微笑みかけてもくれたから不覚にもドキッとしてしまう。
体育科の先生
康二
なぜか本人よりも驚いてしまった。
蓮
蓮
康二
すぐそばで教えてくれて、しかも肩や腕が触れ合うからドキドキが止まらない。
目黒の言っていることが頭になかなか入らない。
体が熱くなってきている。 知られたくない。
早く、終われ。授業終われ。
一同
体育科の先生
康二
蓮
それは、跳び箱を一つしまった時に起きた。
ガタガタガタガタ
蓮
康二
先生もいなければ、ほかの生徒もいない。 助けなど求められない
すると、目黒が手招きして跳び箱の一段目を開けている
まさか…入る?この中に?
体育科の先生
蓮
蓮
体育科の先生
康二
蓮
言われるがままに入る。
少し遅れて目黒も入ってきて、一段目を閉めた。
康二
蓮
予想通り、きつかった 俺は目黒と向い合せでしゃがむ感じだから触れる部分も多い。
また揺れが来た。 怖くて後ろを向き、持ち手から外をのぞく。
康二
いきなり手を引っ張られて 気づいたら目黒の胸の中にいた。
蓮
康二
目黒からそんな言葉が出るのは意外だった。
蓮
顔を上げると、少し顔が赤くなった目黒がいた。
まだ揺れはあって怖かったけど、それよりも俺は目の前の目黒にくぎ付けになった。
蓮
蓮
康二
嬉しくて涙が出た。
康二
目黒はすごくうれしそうに笑った
俺も微笑みかけると、視界がふさがれ
一瞬、唇にぬくもりが触れる。
康二
ちょっと、という暇もなく、また唇を重ねられる。
いつの間にか揺れも収まっていた
もう、いいや。
俺は、目黒と何度もキスをした。
跳び箱の中、密着しているせいでもっと、という欲が出てしまう
康二
康二
蓮
康二
名前で呼ばれた…家族以外に名前で呼ばれたことはなかったから、またどきっとした
蓮
康二
蓮
康二
結構恥ずかしかったけど蓮が喜んでくれたから俺もうれしい気持ちになる
蓮
また、キスをする
もう一度、もう一度
先生が来たが蓮がうまく乗り切ってくれた
片付けも忘れて、
体育倉庫にはただ、俺たちのキスをする音が響いていた
end.
コメント
10件
うん神様...
跳び箱に入るっていう発想が凄い✨ これめっちゃ好きです
跳び箱の中に入るって… 誰でもドキドキしそうな気がする…