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「お国様」の旧国過去編を先に見た方がわかりやすいです
⚠️死注意
…
アメリカ
アメリカ
ソビエト
時はWW2終戦直後
大国である2人は夜風をあびながら 肩を並べていた
アメリカ
アメリカは自分より背の高いソビエトの顔を覗き込む
アメリカ
もしかして、と、アメリカは語り ニタリと薄気味悪い笑みを浮かべる
アメリカ
ソビエト
抵抗するかのごとく、ソビエトは言い返す
ソビエト
ソビエト
ソビエトは嘲りと哀れみが混じりあった目でアメリカを見つめる
ソビエト
アメリカ
カチャッ…!!!
アメリカは少し動揺したのか 銃をソビエトに向けた
アメリカ
ギロリ、とソビエトを見つめる
アメリカ
ソビエト
ソビエトは目を見開き、次に細めて笑う
ソビエト
…キュッ…
ソビエトは迷いなく、アメリカに向けられた銃口に人差し指をはめる
ソビエト
アメリカ
カチャッ
アメリカ
アメリカ
ソビエト
キッ…
ソビエトは挑戦的な目つきでアメリカを睨み返す
ソビエト
アメリカ
アメリカ
カチャッ…
アメリカは何を思ったのか、ソビエトに向けていた銃を下げた
アメリカ
ソビエト
アメリカ
怪訝な顔になったソビエトを アメリカは少し煽る
アメリカ
クルッ
アメリカは踵を返し、 ソビエトのいる場所から遠ざかって行った
アメリカ
…ジャリ、ジャリ…
アメリカ
アメリカが砂をふみ歩く音が、 虚しく夜の空に広がった
ソビエト
ソビエト
チュン…チュン…
ソビエト
ムクリ…
ソビエト
きゃっきゃっ!!!
わーッッ!!
頬に当たるヒヤリとした空気と 元気そうな子供たちの声が目覚ましとなり 私は夢から目を覚ます
ソビエト
ソビエト
ふぁ、と小さなあくびが口から漏れる
ソビエト
独り言を呟きながら、パジャマを脱いで いつものニットとズボンに身体を通した
ソビエト
私は自身の頬をパンッと叩く
ソビエト
ガチャッ
ソビエト
ベラルーシ
タタタタ、と元気よく駆け寄ってきたのは ベラルーシだ
元気いっぱいで賢い、この家の長女
ソビエト
ベラルーシ
ベラルーシはよしよしされると とても喜ぶ
ベラルーシ
ソビエト
その2人の名前をセットで聞く時は、 必ず悪いことが着いてくる
例えば…
ウクライナ
ソビエト
ゴシゴシと目に溜まった涙を落としながら こちらへやってくるのはウクライナ
お人好しで、泣き虫なこの家の次男
ソビエト
ウクライナ
タタタタタ…
ロシア
ウクライナ
ロシア
ちょっと、いやだいぶ どキツイ言葉を並べるのはロシア
やんちゃだけど、家族思いの強い この家の長男
ベラルーシ
腰に手を当て、ベラルーシは 2人を見据える
ソビエト
ベラルーシ
ロシア
ウクライナ
ソビエト
ロシアとウクライナは一瞬 ウッ、とうめいたが、よしよしされたかったのか2人とも謝りだした
ロシア
ウクライナ
ソビエト
私が腕をバッと広げると、2人は嬉しそうに腕の中へ入っていった
ロシア
ウクライナ
ぎゅ…ッ!
ウクライナ
ロシア
2人は満足そうに腕の中で笑みを浮かべる
ソビエト
私は2人をよしよししながら信頼できるベラルーシに問いかける
ベラルーシ
ソビエト
ほら、と私はベラルーシの目を見て話す
ソビエト
ベラルーシ
ベラルーシは“賢いお姉さん” に反応したのか目をキラキラと輝かせる
ベラルーシ
タタタタタタタ……
そう言ってベラルーシは足音をたてながら 子供部屋へと向かっていった
ソビエト
ソビエト
子供たちに見えないように、 袖をキュッと握った
東ドイツ
東ドイツ
ぺこり、とまだ12にも満たない子供が礼儀正しく挨拶をする
ソビエト
ソビエト
東ドイツ
その言葉とは裏腹に、東ドイツは 私を軽く睨んでいる
ソビエト
ソビエト
私は、体がキリキリと痛む感覚がした
ソビエト
カツン…カツン…
いつも何百、何千と往復してきた帰り道を 私は今日も歩く
ソビエト
私は独り言を呟きながらも歩いていると 頬に冷たな感覚が落ちた
ソビエト
感触があった頬を撫でてみると、 そこにはひとつの水滴が着いていた
ソビエト
空の上を眺めると、そこには…。
ソビエト
ソビエト
私は近くの店に貼ってあるカレンダーを ちろりと覗く
ソビエト
私は再度店の中を覗く
ソビエト
そこでほかの店はどうかと視線を動かし、 中を確認する
ソビエト
クリスマス、もとい、12月25日、
…ロシアの誕生日が近づいてきている
ソビエト
そう言って私はキュッと手袋を身につけ、 手にかけていたコートをはおり、 帰り道を進んで行った
ソビエト
ロシア
ロシアはお絵描きをしてたのか、 クレヨンを端に置いた後に私の方をむく
ソビエト
ソビエト
ロシア
ロシアはキュ、っと自分の服を掴んだ
ロシア
ロシア
ソビエト
予想外の答えに私は驚いたが、笑みを崩さずにロシアへ問いかけた
ソビエト
ロシア
ロシア
だから、! とロシアは私の目を見て話しかける
ロシア
ロシア
フイッ、と悲しそうに顔を背ける
ロシア
ソビエト
ソビエト
私がそういうと、ロシアの顔がぱあっと 輝いた
ロシア
ソビエト
小指を差し出すと、ロシアも自身の小指を 差し出し、絡めた
ソビエト
ロシア
ソビエト
パッ…
ソビエト
…この頃のソビエトは経済が危うかった
部下
ソビエト
私は手元にある資料から目を離さず、 部下の言葉を聞く
部下
ソビエト
部下
部下
ソビエト
スッ…
私は何を思ったのか、懐にしまっていた銃を部下に向けた
カチャッ
部下
バンッッッッ!!!!!
赤い色をしたまだ暖かな血の 水たまりが、灰色の床を染めた
ソビエト
カチャン…
震えた手からカチャンと 持ちきれなかった銃が落ちる
ソビエト
私は震えている手で顔を被った
手袋をしてるので、 顔が少し少しひんやりする
ソビエト
ソビエト
ソビエト
ソビエト
スッ
ソビエト
私は転がっている部下の死体をまじまじと見つめた …赤黒い血が、私の足元まで来ている
ソビエト
ソビエト
バシャッ、パシャン、ピチャン、と歩く度に 血が跳ね返って音を鳴らす
ソビエト
私が部屋を出る頃には、 靴や衣類が赤黒く染まっていた
…時間の流れというのは、思ったよりも 早いもので
12月22日、12月23日、12月24日
そして…
12月25日
ソビエト
ロシア
ソビエト
ロシア
ロシアは少し恥ずかしそうに 私の方を見て、こう言う
ロシア
ソビエト
ソビエト
ロシアのお見送りを背に、 私は外へ出ていった
アメリカ
ビシッと俺は人差し指を天井に向ける
アメリカ
アメリカ
カナダ
アメリカ
アメリカ
そう言って財布とバックと拳銃を取り、 玄関向かって走っていった
タタタタタ…
ガチャン…
カナダ
カナダ
ソビエト
私は足元に積もっているゆき達を かき分け、帰り道を進んでいく
ソビエト
ソビエト
私は袖を握り、額に浮いていた汗を拭った
ソビエト
ソビエト
最後の道に差し掛かり、紙袋を握る力を強くし、私は歩くスピードを少しばかり早める
ソビエト
...バンッ...!!!!!
ソビエト
お腹に痛みが走った私は、 ゆっくりと下を見る
ソビエト
足元が 赤黒い色に染まってた
ソビエト
ビチャッ…!!!!!!
ソビエト
私はその場に倒れ込み、ただただ 腹から流れ出る血を見ていた
ソビエト
…お腹を、撃たれている
…さく、さく、と、 雪を踏む音が聞こえてきた
アメリカ
ソビエト
この声は…アメちゃんね
ソビエト
アメリカ
アメリカ
ソビエト
アメリカ
まぁ、そうだな、とアメリカは少し小さめの声でつぶやく
ソビエト
ソビエト
アメリカ
ん、とアメリカは私の手袋を顎で示す
アメリカ
ソビエト
アメリカ
ソビエト
ソビエト
私は観念して、手袋をしゅるしゅると 剥ぎ取っていく
.....手が、欠けていた。 まるでガラスが砕け散る様に...
アメリカ
アメリカ
アメリカ
アメリカがボソリと呟いた
ソビエト
ソビエト
ふーっ、と私はため息を着く
ソビエト
アメリカ
驚いたかのようにこちらを見据える
ソビエト
ソビエト
げほっ、ごほっ、
私が咳き込むと、びちゃっ、と血が音を立て雪を染める
体も、パラパラと崩れてきてる
ソビエト
ソビエト
アメリカ
ソビエト
半分体と顔が無くなった状態で、 私は力なく言う
ソビエト
アメリカ
ソビエト
アメリカ
ソビエト
ソビエト
アメリカ
ソビエト
ソビエト
アメリカ
ソビエト
ソビエト
びちゃっ、ビチャ!!!!
ソビエト
ソビエト
ソビエト
アメリカ
アメリカ
さくり、と 雪を踏む音が嫌に大きく聞こえた
アメリカ
ソビエト
アメちゃんの言葉を聞いて、 私は目を見開いた
ソビエト
ソビエト
アメリカ
ぱらぱら……
体がほぼ無くなってきている
あぁ……
もう、何も見えない 聞こえない
…私、最後までダメだったなぁ……
ちゃんとした母親できてたかな……
…死んだら、ナチちゃんと同じところに行くのかな…?
…はぁ……
最後には 敵国のアメちゃんにお願いするなんてね
でも、人生に悔いはないかな
……
…でもひとつ、心当たりがあるとしたら……
ソビエト
掠れた声で、私は呟いた
ソビエト
私の声と、身体は、 雪にとかされるようにして散った
アメリカ
パラパラ……
アメリカ
俺はさっきまでソビエトがいた所へと 足を進める
アメリカ
赤黒く、金臭い染みの上に残された衣類と ……十五種類の様々な雑貨や衣類が入った紙袋を手に取った
アメリカ
俺は一つ一つ確認してみる
アメリカ
アメリカ
アメリカ
アメリカ
すっ……
俺は少し血が染みた紙袋と、まだ温かみの残る衣類を手に取った
アメリカ
……ざくり、ざくり
雪を踏む音だけが、虚しく空へ響いた
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ソ連は敵でも仲間でも大事だから辛かったんだね……それに加えて崩壊か、そっか崩壊か……
涙腺が弱いだけなのかもしれないけど思いっきり泣いてしまいました。あとストーリー神すぎますね
泣けるッソ連ちゃん…