ボクはキミに恋をした

〜真冬 side〜

午前の競技全部終わって、 今からお昼休憩

体育祭を見に来ていた家族と一緒に、 母さんと姉さんが作ってくれた お弁当を食べる

不安げな顔で聞いてきた姉さんに、 笑顔で答える

姉さんも笑顔になって お弁当を食べ始めた

あの時、あえて挑発してスピードを 出させて、転ばせようとしてたんだ

2人は身長差があるから、速く 走りすぎると転ぶのは目に見えてるし

僕らのすぐ近くに、ブルーシートを 敷いてお弁当を食べていた 黒木家と天宮家

それぞれのお父さんが、朝早くから グラウンドの場所取りをしてくれて いたおかげで、みんな近くにいるんだ

僕らがそう言って、みんなで笑い合う

突然96ちゃんに勢いよく名前を 呼ばれて、びっくりする

口をぽかんと開けて、 今度はあっちがびっくりする

96ちゃんの代わりに、 天ちゃんが答える

聞いただけ、ではないような 気がするけど……まぁ、いっか

たしかこの後は、部活とか個人の 出し物があるんだよね

そわそわしながら、チラッと辺りを 軽く見回してみる

……あ、あそこにいるの、彼方先輩だ

彼方先輩の近くには、お母さんらしき 人と、中学生くらいの女の子も1人

そういえば、七夕生まれの妹が いるって聞いたことあるけど、 あの子がそうなのかな？

そんなことを考えていて、 ふと気づいたことが一つ

そういえば、お父さんらしい人が どこにも見当たらない

遠くを見ていると、 姉さんに話しかけられる

そう言って、みんなの方に向き直った

運動場の真ん中に、ドラムのセットや アンプなどが置かれていく

色々と調整も終わって、 とうとう発表が始まった

♪〜

力強い演奏と歌声、チームワームも ピッタリで、音がまとまって聞こえる

何より、5人全員楽しそうだ

姉さんが何かボソッと 言った気がするけど……

そう言って、またバンドの方に 目を向けた姉さん

ジャーンッ！！

最後はカッコよく決めて、 曲が終わると拍手の嵐になった

僕の焦りも蚊帳の外、雑談を 交えつつ、曲の紹介がされていく

自分達以外の人に書いてもらった曲 なら、紹介してもおかしくないか……

最後に自分達の宣伝もして、 出番が終わる

色々あったけど演奏は大成功 だったし、有名になりたいって言う みんなの目標も、これで一歩前進だ