この作品はいかがでしたか?
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先生とのやり取りをしている間に遠ざかったあの魔物を追い掛ける。
森で、気が多いのでほうきは使えない。
だからひたすらに走る。
足跡を辿ってずっと走る。
りうら
俺は、
都合のいい大人が、
見て見ぬふりをして助けない大人が、
大嫌いだった。
俺の母さんは俺が幼い頃に亡くなった。
父さんは、俺が生まれてすぐに病死した。
俺は元々貧困地域で暮らしていて、
勿論お金も無いし、
家も“スラム”の象徴のような、
小さくて、
風が吹けばすぐに壊れてしまうようなところに住んでいた。
だから、父さんもお金が無くて病院にも行けなくて、
俺と母さんも、餓死しそうな崖っぷちの中毎日何とか生き繋いでいた。
母さんは、いつも自分のことを後回しにした。
食べ物はいつも俺に譲った。
寝る時の毛布も、
稀に手に入る綺麗な飲水も、
服だって全部俺に譲ってくれた。
俺が「母さんも食べて」と言うと、毎回微笑みながらこう言うのだ。
“母さんは大丈夫だよ”
大丈夫じゃないことなんて自分が1番分かってるはずなのに。
苦しむのは自分なのに。
でも、俺だって辛かったから、そう言われると断れなかった。
辛いけど、苦しいけど、
少しだけ幸せな日々がずっと続いた。
でも、少しだけど食べてる俺と違って、
何も食べていない母さんは日に日に弱っていった。
人間の体なのか、と言うくらいに痩せて、
見るからに命ギリギリだった。
俺が6歳の時、住んでいたところ一帯、魔物の襲撃にあった。
霧が濃い日だった。
大人···魔法使い達は誰も俺らの地域には対処してくれなかった。
対処したのは近隣の高級住宅地のみ。
後に、大人たちが
“貧困地域の人など、助けてもどうにもならない”
“生きてても死んでてもどうせ変わらない”
そう言っていたのを聞いた。
所詮、俺らは利益にならない。
大人は都合がいい。
利益になることしか出来ないのだ。
だから、俺達は自分で逃げるしか無かった。
会えば食われる。
じっとしてても食われる。
そんな中、必死に逃げようとしたが、最中、
母さんが、倒れた。
元々弱っていて体力が無かったせいか、
走るとすぐに力尽きた。
母さんを背負ってでも逃げたかった。
母さんと一緒に死んでもいい。
それでも、一緒にいたかった。
でも、またこう言うのだ。
“お前だけでも逃げて”
“生き延びて”
············まただ。
そんなの求めてない。
1人で生きることなんて求めてないのに、
またそんなことを言う。
俺には、母さんしかいないのに。
どうすることも出来ない。
することなく、泣きながら走った。
·········なんで?
何で、俺達のことは助けてくれなかったの?
全部嫌いだ。
あんな奴らに、俺は絶対なりたくない。
アイツら全員反面教師、
アイツらを踏み台にして、
俺は、“エイユウ”になってやる。
りうら
りうら
りうら
絶対なってやる。
だから、
ここでないくんを見捨てる訳にはいかないのだ。
りうら
ないこ
ないこ
りうら
りうら
ここで逃げたら何になる、ここで逃げたらどうなる。
逃げない。もう逃げない。もう誰も置いてかない。
りうら
りうら
死なないでくれたら、
たったそれだけしてくれれば、
俺はいくらでも助けに行くから。
りうら
ないくんを傷付けないように、そこだけ避け魔物に火を放つ。
··········やばい、
りうら
想像以上に難しい。
ないくんに絶対に燃え移っちゃダメだ。
本当は先に助けてあげたいけど、弱らせてからじゃないと無理。
俺の実力じゃ無理だ。
りうら
ダメだ、これじゃないくんも傷付ける。
無理でも、先に助けないと、
りうら
本当はこんな狭いところで飛びたくないが、箒を出す。
もうそんなこと言ってられない。
バランスが崩れる。
圧倒的に飛びにくい。
木に何回もぶつかりそうになる。
やっとの思いで魔物の近くまで辿り着いたが、
とてもないくんには近付けない。
りうら
どうしよう、
ないこ
りうら
一気に目の前の敵が_______
りうら
ないこ
ないこ
ないこ
りうら
りうら
ないこ
ないこ
りうら
ないこ
ガ·········グアァ········
ないこ
りうら
ないこ
りうら
星夜空
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コメント
17件
もう、神じゃん!!
初コメ、失礼します。 私は、初兎ちゃんの過去が見たいですね〜(すみません 主様の作品素晴らしいです!そんけいします!
いむくんの過去最後がいいな〜 ダメだったらいいですよ💦 面白かったよ続き待ってるね✨✨