ベック
...で、そんな顔するなよ。
私の心を、汲み取っているみたい。
哀歌
どんな顔をしてるって言いたいんですか。
きっと、手のひらで私の気持ちを転がしてるだけだ。
からかって、反応を楽しむために
お酒が入ってる時の、悪ノリみたいに
ベック
助けてくれって、顔に書いてあった
そんなはずは無い。
ちゃんと笑っていた、多分。
しっかりと、唇を噛んだ。
そうしていないと、何かが崩れる気がした。
ベック
俺にしとけよ。
彼は、そう一言話した。
何もかも、全てを知っているような話ぶりだった
でも、知らないみたいに振舞おうかな
私が何も言わなかったから、
彼は、本題を出してきた
ベック
好きなんだろ、マルコのことが
その言葉を聞いた時、
何かわからない黒い感情が
私の心の中を渦巻いた
水かさが増していくみたいに
焦りという焦りが出てきた
喉が渇いて、声が出せない
ベック
...図星か。悪いとは思ってねぇよ
彼の言う通り図星だった
船に乗ってたったの数ヶ月だと言うのに
なぜバレてしまったのだろうか
上手く隠し通せていなかったのだろうか
私とマルコさんとの雰囲気を見れば
すぐに、気づいたような様子だったか
哀歌
...別に。
何を言えばいいかわからなくて、
とりあえず誤魔化すように嘘をついた
彼は、嘘だって分かってるみたいだけど。
ベック
よく頑張ってることは知ってる
ベック
この船で自由にしてた哀歌は、十分幸せに見えた
ベック
でも、何かひっかかってる。
ベック
何かをずっと求めてる、
ベック
...違うか?