菅原孝支
霜月ー、影山がお呼びだぞ〜
昼休み。
菅原の言葉に緊張しつつも、
教室の出入口に立つ 飛雄の方に近寄る。
影山飛雄
一緒に飯でもどうすか?
行きたいわけじゃないけど 特に断る理由もなく、
ニヤニヤする菅原を無視して 飛雄と中庭のベンチに腰掛ける。
飛雄がカレーパンを頬張る中、
私も自分で作ったお弁当の 蓋に手をかける。
影山飛雄
舞白さん料理上手いですよね
霜月舞白
そうかな?
霜月舞白
でもまあ昔から作るのは好きかな
蓋を開けた瞬間、 飛雄の目が光った。
その目の先にあるのは からあげ。
霜月舞白
…食べたいの?
影山飛雄
…………別に
霜月舞白
嘘、すごい見てたよね?
そっぽを向いて 誤魔化そうとする飛雄に、
思わず笑みがこぼれる。
昔の幼い飛雄と重なったからだ。
霜月舞白
仕方ないなぁ
まだ口を付けてない箸で からあげをつまみ上げ、
飛雄の口へ持っていく。
パクリと口に含むと、 頬を緩める飛雄。
霜月舞白
美味しい?
私の問いにコクリコクリと 首を縦に振る。
やっぱり私たちは このくらいの距離が合うのかな。
そう何気なく思った。
弟と姉。血は繋がってないけど、 ずっとそんなふうに思ってた。
でも、自分で思ったくせして 胸が痛んだのはどうして?