影山飛雄
舞白さん
霜月舞白
あれ、飛雄
秋が終わり、冬を迎える。
寒さも増して、 今日は朝から雪が降っていた。
いつものように 学校まで歩いていると、
後ろから飛雄が小走りで 隣まで寄ってきた。
霜月舞白
部活は?
影山飛雄
期末近いんで休みです
霜月舞白
あ、そっか
少し不服そうな顔で言う 飛雄の鼻は赤い。
よく見るといつもしている 青色のマフラーが無く、
長い首をさらけ出していた。
霜月舞白
マフラーは?寒いでしょ
影山飛雄
あ
どうやら本人も 気付いていなかったらしい。
私は自分のマフラーの リボン結びをほどいて、
背伸びして飛雄の 首に巻き付けた。
影山飛雄
!、あざっす
影山飛雄
あ、でも舞白さんが…
霜月舞白
私は大丈夫、カイロあるし
霜月舞白
この前のジャージのお返し
影山飛雄
…ありがとうございます
影山飛雄
( 舞白さんの匂い… )
少し迷った末、鼻まで マフラーに埋める飛雄。
その顔があからさまに 嬉しそうで、
ブンブンと横に揺れる しっぽが見えた気がした。
そんな母性本能くすぐる、 初冬の朝。