テラーノベル
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保月は気づいていた 。
これは正義ではない 。
ただの自己投影だ 。
犬飼を守ることは 、 過去の自分を救うことに似ていた 。
もしあの時 、 誰かが自分を庇ってくれたら 。
もし 、「大丈夫だ」と言ってくれたら 。
保月は違う人生を歩んでいたかもしれない 。
だから 。
犬飼 ( いぬかい )
そういった時 、 保月は強く否定した 。
保月 ( ほうづき )
「利用されてただけ」
本当は違う 。
選んだのは犬飼だ 。
でも 、そう言わずには入れなかった 。
彼を“加害者”にしたくなかった 。
神崎が日記を手にしたと分かった時 、 保月は理解する 。
このままでは犬飼が終わる 。
晒される未来が浮かぶ 。
保月は決断する 。
「これ以上 、壊させない 。 」
それは守るというより 、 世界から隔離する行為だった 。
ホテルから抜け出す前 、
犬飼は言った 。
犬飼 ( いぬかい )
保月は答えなかった 。
本当の理由は言えない 。
“君が好きだから”ではない 。
“可哀想だから”でもない。
それはもっと歪んだ感情 。
犬飼を守る事で 、 保月は過去をやり直してる 。
そんな身勝手な理由 。
言えるはずがない 。
だから保月は言った 。
保月 ( ほうづき )
それは嘘だった 。
雪道を歩きながら 、 保月は悟っていた 。
これは破滅だ 。
だが 、後悔はなかった 。
犬飼が隣で震えている 。
その小さな背中を見て 、 彼は思う 。
今度こそ 。
誰かは守られる側でいい 。
それが間違いでも 。
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