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えっ、なんか感動系🥹🥹 こういう系を求めてた🙈💕 りーちゃん、天才や🎓✨ ねるも、水サマみたいにあんま自分の気持ち言えないからさ。(現実では、文章内だったら言える) ねる自身と重ねて見てたら感動しちゃった😭
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ちょっとしたいつもの言い合いが、喧嘩に発展してお互いにヒートアップして。 咄嗟に自分の口から出た言葉に、自分で驚いた。
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いふくんの目が、言葉が、冷たくなったのを一瞬で察した。
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だめだ、この言葉の先を言わせたら。だめだ、言われたら、僕は、もう、
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彼と付き合って3年。初めて別れを告げられた。 それが、とどめだった。 それを言われてからの記憶は曖昧で、気付いたら広い部屋の中に僕だけがぽつんと取り残されていて。高かった太陽はすっかり沈んでいた。
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自嘲の笑みが漏れる。 全部、いふくんの言う通りじゃん。 思い出してみれば、告白も、デートの誘いも、全部彼からだった。付き合ったきっかけだって、『いふくんとならいいかな』なんて、なんとなく。
でも、だけど、それは最初だけで、付き合い始めてからちゃんと好きになったはずなんだ。好きだった、のに。彼には、伝わっていなかった。当然だ。僕が伝えなかったんだから。伝えようと、しなかったんだから。
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悲しくて寂しくて、恋しくて愛しくて。胸が、張り裂けてしまいそうで、痛くて痛くてたまらなかった。
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いふくんの、柔らかい声で名前を呼ばれるのが好きだった。僕にだけ向ける優しい声が大好きだった。僕にしか見せない溶けた甘い笑顔も、意外と照れるとすぐ赤くなる顔も、全部全部大好きで。
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そう、なのだろうか。途端に自信が無くなる。
─────僕は本当にいふくんが好きだった?
好き、だった。そうに決まってる。じゃなきゃ、この感情に説明がつかない。でも、本当に?本当に好きだったのか?本当に、いふくんが好きだった?
分からない。自分の感情も、行動も。いふくんのことも。全部全部、もう何もわからなかった。
それから1ヶ月。いふくんとは一度も会っていない。
LINEもブロックしたし、配信もしばらく休むことにした。マネージャーさんにも連絡したから、しばらく問題は無いだろう。
いふくんと別れたあの日から、何もする気が起きない。今まであんなにハマっていたゲームも、配信も、全部やる気になれなくて。
いふくんのことを考える度に涙がこぼれそうになって、必死に唇を噛み締めて耐えた。いふくんを思い出す度に痛む胸は、今もまだ治りそうにない。
ただベッドの上でぼーっとしていると、ふと、目に入ったのは指輪だった。いふくんがお揃いでつけようって買ってくれたペアリング。
真ん中に入っているラインの色が互いの瞳の色だった。そっと指に嵌めてみるとカーテンの隙間から見える月が、指輪のラインの部分に反射してきらりと光った。
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暗い部屋の中に、いふくんの色が広がって、まるでそこにいふくんがいるかのように感じて。今は、この色だけが、僕の全てだった。
いふくんと別れて3ヶ月。そろそろ、外に出なくては。このまま一生引きこもっている訳にも行かない。
あれから、僕にとって精神安定剤のようなものになってしまったいふくんとのペアリング-今はもう違うかもしれないけど-を嵌めて、僕は外へと出た。
ずっと部屋にこもっていたから太陽の光に目が眩む。だけど、少しだけ、心がスッキリした気がした。
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久しぶりに聞く自分の声は、酷く掠れていて少し驚いた後、喉が渇いていることに気がついた。近くの自販機で飲み物を買って、近くの公園のベンチに座る。
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季節は夏。年々暑くなっていくの、どうにかならないだろうか。ぼーっとしながら飲み物を飲んでいると、ふと目に入ったのは小さな子どもたちが遊んでいる姿だった。
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1人の子供が蹴ったボールが、大きく逸れて道路に転がっていく。それを追いかけて行った子どもと、子どもを追いかける母親らしき人。
慌てた母親の声に、横断歩道の方に視線をやると、トラックがこちらに向かって走ってきていて、僕は咄嗟に持っていたペットボトルを投げ捨てて子どもに向かって走った。間一髪で子どもを抱きかかえて歩道に転がる。
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子どもを抱えたまま頭を下げる母親に気にしないでくださいと伝えて立ち上がる。
……良かった、どうやら怪我もしていなさそうだし大きな外傷も無さそうだ。立ち上がって服についた砂埃を払っていると助けた子どもが駆け寄ってきた。
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くしゃり、と子どもの頭を撫でてあげると嬉しそうに笑った。
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僕は子どもが母親の元へ駆け寄っていくのを見送りながら、自分の手を見つめた。
あの子が、少し、羨ましかった。感情を素直に、一直線に相手に届けられるあの子が。
言いたかった。好きだって。いふくんの事が大好きだって。もっと一緒にいたいって。
一緒にゲームしたいしデートもしたい。恋人らしいこともいっぱいしたいって。でも、同じくらい怖かった。
君という人間を、僕に縛り付けるのが。君という人間に、依存してしまうことが。
まぁ、別れてからもこんなに引き摺っているのだから、とっくに依存しているんだろうけど。
公園を出てからしばらくカフェで過ごしていた。カフェオレを飲もうとカップを掴もうとした瞬間。
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ふと、気がついた。
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────指輪が、ない。
サーッ、と血の気が引いていくのがわかった。 急いで店内に落ちていないか確認をして、ないのが分かると、僕は慌ててカフェを飛び出した。
きっと、あの時、子どもを助けた時に落としたのかもしれない。あぁ、もう、なんでもっと早く気付かなかったんだ。 急いで公園まで戻って、辺りを探す。
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ない。 どこにもない。ベンチの下も、自販機の下も、子どもを助けた横断歩道も探してみたがどこにもそれらしきものは落ちていない。もう太陽が沈んで暗くなってきた。
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まだ探していないところは無いかと公園を見渡すと、ふと、草むらが目に入る。もう、あそこに賭けるしかない。 僕は走って草むらまで行き、一心不乱に指輪を探す。
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あれから30分以上は経っただろうか。まだ指輪は見つからない。辺りももう真っ暗で、月明かりだけが頼りだ。手が雑草で切れているが、そんなこと気にしていられない。
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もう見つからないのかもしれない。そう思って涙が滲んだ時だった。
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背後から、声がした。ずっと聞きたかった、あの声が。
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傷だらけの手をいふくんの手が包み込む。
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いふくんが僕の手を引いて立ち上がらせてくれる。
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まだ、諦めたくないのに。
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いふくんが俺の目を見つめる。その目は、少し怒っていて、別れた日を連想させた。
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渋々頷いて水道まで歩くと、いふくんが蛇口を捻った。冷たい水が僕の手を冷やして、傷にしみた。
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緊張、する。いつも、どんな風に話してたっけ。 何を、言えばいいのか分からない。
なにか喋ってしまったら、涙が溢れてしまわないだろうか。困らせてしまわないだろうか。
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親が子を諭す時のような、そんな、いふくんの優しい声。
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なんでもない。そう言おうとして、止まる。
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彼の顔が見れなくて、ただ地面をじっと見つめる。あぁ、だめだ。これはダメだ。涙腺が緩んでいくのがわかる。
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もう限界だった。ぽろり、と涙が零れて地面に染みを作っていく。一度流れてしまったらもうダメで、次から次へと涙が溢れた。
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泣きながら必死に言葉を紡ぐ。
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彼が驚いたような、少し呆れたような声で言う。僕はただ頷くことしかできなかった。
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彼の優しい手が僕の頭をそっと撫でる。
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もう、帰っちゃうのか。せっかく、会えたのに。まだ、あと少しだけ、ここにいてくれないだろうか。なんて考えていると、彼が僕の手を掴んだ。
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僕の家は反対方向なのに、彼は僕の手を引いてずんずん進んでいく。
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久しぶりに入ったいふくんの家。前来た時と何も変わってなくて、少し安心した。恋人、は、いないのかな。大丈夫かな、僕、ここにいて。
いふくんの匂いが、する。大好きな匂い。いふくんの家だ。僕の、好きな匂いでいっぱいだ。
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そう言って彼が差し出したのは僕が好きなメーカーのココアだった。
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受け取って一口飲むと、温かさが体に広がった。
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いふくんは僕が飲み終わるまで待っていてくれて、やっぱりそういう優しいところも、僕の好きなものを覚えていてくれるところも 全部全部──────
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自分の口から無意識に零れた言葉に、慌てて口を塞ぐが時すでに遅し。彼はぽかんと口を開けて僕を見つめていた。
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彼はもう、とっくに僕の事なんて好きじゃないのに。今更口に出したって困らせるだけだ。
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彼が僕を真っ直ぐ見つめる。
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そんなこと、知ってどうするんだ。彼からすれば、迷惑でしかないのに。
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もう、どうにでもなれ。どうせ彼には嫌われてるんだ。今更何を知られたって、もういい。
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あぁ、だめだ。これ以上言ったら涙が止まらなくなる。涙が溢れないように唇を噛んで下を向くと、彼が口を開いた。
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彼が何を言ってるのか分からなくて、思わず顔を上げる。彼の綺麗な瞳が僕を見つめていた。
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なにそれ、知らない。顔に出てた?態度に出てた?なにそれ恥ずかしい。どんな羞恥プレイなの。
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まって、なに。 何を言われてるのか、わからない。 まだ、僕のことが好き…?
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こんな都合のいいこと、あっていいはずがない。
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そう言って微笑む彼に、じわ、と視界が滲む。
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もう、だめだ、これ。 ダムが決壊したみたいに涙が落ちてくる。泣きすぎて目が痛い。
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いふくんが僕を抱き寄せる。久しぶりの温かさにまた、ぽろぽろと涙がこぼれ落ちた。
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彼が優しく涙を指で拭いながら僕を見つめる。その目は、やっぱり優しい目だった。彼と別れてからずっと、この瞳の色-指輪だけど-に助けられてきたのにそんな大切なものを、無くしてしまった。
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彼の手が僕の頭を撫でる。 涙はいつの間にか、止まっていた。