僕はいつもバスに乗る
その日もいつも通りの夕方18時前のバスだった
かなた
次、終点で〜す
次、終点で〜す
かなた
かなた
かなた
一度やニ度寝過ごしたことはあった
しかし終点まで寝過ごしたことは今まで一度もなかった
かなた
止まりまーす
……
かなた
ドアは開かない
かなた
………
かなた
かなた
初めての終点だったが、その景色には見覚えがあった
かなた
かなた
タッタッタッ…
小学生くらいの 男の子が走ってきた
かなた
かなた
かなた
かなた
タッタッタッ…
男の子は、手に持っていた箱をバス停のベンチに置いて走り去っていった
かなた
ドアが開きます
プシュー…
僕はベンチの上の箱を手に取った
かなたへ 引越しのプレゼントと 買ってもらったケータイの番号! 元気でな! あきひろ
かなた
かなた
かなた
運転手
運転手
かなた
運転手
かなた
運転手
かなた
かなた
運転手
運転手
かなた
かなた
かなた
運転手
運転手
かなた
そういえば、
なんであきひろと連絡取ろうとも思わなくなったんだろう
あの日、引越しの日は…
最後のバスまで あきひろが来るのを待っていた
そして結局あいつは来なかった
僕は、大事なときに来てくれないやつなんだとがっかりして、 それから腹が立って
新居に向かう車の中でもずっと泣いていた気がする
友情なんて 簡単に消えて無くなるんだって そのとき思った
かなた
かなた
……
次、「北山十字路」で〜す
かなた
かなた
ピンポーン!
降りるバス停だ
乗客も沢山いる
かなた
ガタンッ
膝の上に乗っていた箱がずり落ちる
かなた
かなた
かなた
止まりまーす…
プシュー…
僕は慌てて荷物を抱えて降りようとした
かなた
運転手
かなた
運転手
それ以来、あの運転手に会ったことはない。
コメント
7件
素敵なお話☺️👏いつも楽しみにしてます💓