わたし
誰?誰が来たの…?

Ut氏
開けるぞ!

わたし
ひゃっ!

間を置かず勢いつけてカーテンを開かれてびっくりした
しかし青いヨレヨレのスーツを着た男性は
黒髪の下に大粒の汗を滲ませ、肩で荒く呼吸していて
わたしが起きているのを確認するとホーッと息をはいて脱力した
Ut氏
はーーーーーーっ…お前…お前ぇ…

わたし
…?あの、もしかしてUt先生でしょうか?

Ut氏
お前ッ、世界で一人だけの兄ちゃんつかまえて、なんでそない他人行儀やねん。俺がどれだけっ…はぁ、めちゃめちゃ心配したわ…!

わたし
に、兄ちゃん!?えっ!Ut先生、妹がいるのは嘘じゃ…?

Ut氏
お前がおるやん。俺、俺ナースにやかましい怒られながら走ってエレベーター乗ってきたのにあんま無下にされると泣けてくるわ

わたし
ごめんなさい!そんなつもりじゃなくて、ええとその、記憶が混乱しててよく分からなくて…でもわたしのお兄さんなんですよね、すみません

Ut氏
ええてええて、こない兄ちゃん恥ずかしいやろて。あ、ナチュラルにタバコ吸うとこやったわ…あかんあかん。

Ut氏
いや、まあ意識はあるみたいで安心したよ。今まで見たことないくらい包帯グルグル巻きでビビってゲ■出そうになったのはマジなんだが。

わたし
どうぞ、椅子座って、ゆっくりしてください

Ut氏
ありがと座るわ。ヨッコイショ…大丈夫?気分悪いとか頭痛いとかない?

わたし
少し痛みますけど、大丈夫です。

Ut氏
お前な、昔からあかん時ほど「大丈夫です~」言う癖直ってへんやん。痛いならそう言うてくれ。ナースコール押すか。

わたし
っ!

普段なに考えてるか分からない風だけど…
意外としっかり見てくれてるんだ…
わたし
ありがとうございます。でも今は本当に大丈夫みたいです。

わたし
なんだか、わたしよりUt先…お兄さんが慌ててるから逆に冷静になっちゃって。

Ut氏
なんそれ、俺バリピエロやん。まあええわ、ひどくないんやな。

わたし
はい、我慢できなくなったらナースコールします

Ut氏
分かってへんやんけっっっ!

Ut氏
ええか、我慢するまで耐えるな言うとんねん。痛みはじめたらすぐナースコール!はい復唱!

わたし
ええと、痛くなったらすぐナースコール!

Ut氏
よろしい!はあなんでほんま、俺みたいな兄ちゃんの妹がこんな、真面目でええ子に育っちゃったんやろ。

Ut氏
兄ちゃん心臓いくつあっても心配事尽きなくて寿命縮みそうやわ。

わたし
それは困ります…長生きしてください

Ut氏
なんやえらいしおらしいのぉ、口喧嘩の時は羅刹かって迫力やのに…ふふ、冗談やで。落ち着いたから一旦タバコ吸うてくる。

Ut氏
なんか飲みたいもんとかないか?

わたし
大丈…喉渇いてないです、今日はありがとうございました。

Ut氏
必要なもんとか、何かあったら連絡してや。今度こそタイム縮められそうやねん。

わたし
廊下は走ってこないでくださいね…?

Ut氏
ンフフフ、分かった。あ、これだけは先に言っとかやんかったわ。

部屋を出る直前、重大なことを思い出した様子のUt氏が戻ってきた
わたし
何?兄さん

Ut氏
マジで可愛いナースおったら教えてな?

わたし
………。
