ナヒーダ
ヴァナラーナ...案外早く着いたわね
パイモン
ふぅ、着いたな。オイラも久しぶりにヴァナラーナに来るからアランナラに会うのが楽しみだぞ!
旅人(空)
数ヶ月ぶりだね
パイモン
みんな元気かなぁ....
ナヒーダ
わたくしもしばらく顔を出していなかったから、久しぶりにアランナラと話したい気分ね。
パイモン
....一応聞くけど、その''久しぶり''というのはどのぐらいなんだ?
ナヒーダ
そうね.......。
ナヒーダ
恐らく249年前かしら
パイモン
!?
エウルア
随分と前ね.....
パイモン
それって久しぶりとかいうスケールじゃないだろ!!
ナヒーダ
パイモンに加えてあなたまで.....。そこまで驚くことなのかしら?
パイモン
それはそうだろ.....。第一、500年間も幽閉されていたのにどうやってヴァナラーナに行くんだ?
ナヒーダ
私達が初めて出会った時を思い出してちょうだいパイモン
パイモン
ん?
旅人(空)
意識をヴァナラーナへ出してアランナラと会ったってことでしょ?
ナヒーダ
正解よ旅人。意識だけは世界樹を通じて外に出すことで、アランナラと交流ができたのよ
ヴァナラーナを通じる洞窟を歩いているとナヒーダが突然後ろを向いて、岩陰をじっと見つめ始めた。
パイモン
?どうしたんだナヒーダ
ナヒーダ
ふふっ。素直について行くと言えば良かったのに
スカラマシュ
ちっ
何の変哲もない岩から舌打ちの音が聞こえてきたかと思うと、そこからスカラマシュがゆっくりと出てきた。
パイモン
......なにしてるんだよ?
スカラマシュ
バレないかと思ったんだが....
パイモン
お前、僕は行かないって言ってなかったか.....?
スカラマシュ
......暇で何もすることがないのだから仕方ないだろう!
ナヒーダ
本心はわたくしが心配で着いてきたんじゃなくて?
スカラマシュ
バカを言うな!
ナヒーダ
ふふ、怖い怖い.........
ナヒーダが微笑みながら、踵を返して洞窟を再び歩き始めた。
エウルア
......あの二人って仲が悪いのか悪くないのかどっち?
パイモン
あいつが一方的にあんな態度を取ってるだけだぞ....
エウルア
へぇ......
そうこうしているうちに洞窟を抜け、ヴァナラーナについた。
今日は雲ひとつない心地よい快晴だったのが、そこに踏み入った瞬間、雲におおわれ少しながら霧がかかっている不思議な空間に変化する。青と黄色が点在する蛍が飛び、色薄の草原で構成されたスペースは、傍から見ると不気味な場所だと思われるが入ってしまった人間の心を掴み魅了できるとも言える。
それはエウルアも例外ではなく、彼女は周りを見渡して不思議な光景に見とれていた。
エウルア
ここがヴァナラーナ.......?
パイモン
いい場所だろ?
エウルア
ええ.....こんな不思議な場所初めて見た....。モンドにこれほど巨大な葉っぱなんてないわ
ヴァナラーナには大きな球根から気が遠くなるほどの高さの葉っぱが生えていて、それが無数に置かれている。
だが、それよりエウルアは球根とは別にほかのものに興味が行ったようだ。
それは、苔が生えている白い球体。その屋根には葉っぱが置いてあってなんだか家のようなものがそこにある。
エウルア
あれは......家?
パイモン
そうだな。あそこにアランナラが住んでるんだ!
エウルア
そのさっきから言っているアランナラって何.....?
パイモン
それはな.......
パイモンが説明をし始めようとした時、エウルアが興味を示した家の中からぴょこぴょこと足音が聞こえてきたかと思うとそこから小さな生き物が飛び出してきた。
エウルア
!?
その小さな生き物を見たエウルアは呆気にとられ、口が半開きになった。
足裏から太ももの高さまでしかないその生き物はこちらを見ている集団に気づくとゆっくりとこちらに近づいてくる。
アランプラブ
びっくりした。外からナラの声が聞こえてきたと思ったら、白いパイモンと金色のナラだったのか。またきたね
パイモン
アランプラブ〜!また会ったな!元気にしてたか?
アランプラブ
うん。アランプラブは元気。それより初めて見る顔がふたつ。青髪のナラとキノコのナラ
スカラマシュ
......キノコ?もしかしてこの僕をキノコって言ってるわけじゃないだろうね?
アランプラブ
うん。そうだよ
旅人(空)
ぷっ
スカラマシュ
君の目は節穴かい?立派な笠がここにあるのが見えていないのか?
アランプラブ
アランプラブはナラのことは分からない。アランナラは見た目で覚えてる。だからキノコのナラはキノコのナラだ
パイモン
ぷぷっ
スカラマシュ
ふん.......
エウルア
えーと、これがアランナラ?
パイモン
そうだぞ!可愛らしいだろ?
エウルア
(か、可愛い.....)
アランプラブ
青髪のナラも初めましてだね
エウルア
アランナラこんにちは
アランプラブ
アランナラじゃない。アランプラブだ
エウルア
?
エウルア
アランナラっていう名前じゃないの?
パイモン
アランナラっていうのは種族名で、アランプラブっていうのは個別の名前なんだ
アランプラブ
その通り。白色のパイモン賢い
パイモン
へへん!オイラも初めは戸惑ったからな。エウルアの気持ちもよくわかるぞ....
エウルア
え、えぇ.....
ナヒーダ
アランラジャはいるかしら?
それを見たアランプラブは思わぬ来訪者に驚いている。
アランプラブ
驚いた。突然多くのナラがヴァナラーナに押しかけてきたと思ったら、その中にも千樹の王が居るだなんて。.........うん、アランラジャはいるよ
パイモン
千樹の王?
アランプラブ
アランナラは世界樹から作られたから。その大元が千樹の王.....クラクサナリデビ...
ナヒーダ
ナヒーダでいいわ。居るということはいつもの場所に?
アランプラブ
うん。ちなみに数百年ぶりに来たけど、何用で?
ナヒーダ
少しあなた達の力を借りたいから、ここにやってきたの
アランプラブ
千樹の王の願いならなんでも力を貸す。なんでも言って欲しい
ナヒーダ
感謝するわ。とりあえずアランラジャの元へ行くわね
キノコ型のアランナラや頭に夕暮れの実をくっつけているアランナラに挨拶をしながら目的のところまで歩いていく。
道中、木で作られた入口のようなものを抜け、数々のアランナラの家を抜け、そしてとある池まで来た。足首がつけるかつかないか程度の浅さの池にはヴィピャラスが生えていて幻想的な雰囲気に包まれる。そして池の真ん中には今までの家とは一線を画く大きな球体が立っていた。
エウルア
さっき見てきたアランナラの家よりも大きいわね...。もしかしてそのアランラジャというアランナラは村長みたいな位置づけなの?
ナヒーダ
ええ.....。しっかりと村長という肩書きがある訳ではないのだけれども、アランラジャはこのスメールの地にオアシスを作った功績者の1人だからいつしかこの立ち位置に居たわね。わたくしが起きた時にはもう居たから具体的にいつから居たかどうか分からないけれど....
パイモン
緑色のアランナラが多い中であいつだけ茶色だもんな.....
そういう話をしながら、池の中を通り球体の家へと入った。
その中はシンプルで、木の床と奥に机と椅子があるだけだった。その横には階段があるのだが、特にこれと言ったスペースはなく1階で生活をするようなものだ。
パイモン
おーいアランラジャ〜!あれいない.....
アランラジャ
驚いた....!なんだナラ達か....
前の方向から嗄れた声が聞こえると机の上にアランナラがひょこっと現れた。
アランラジャ
金色のナラに、白いパイモン.....知らないナラが2人。そして....
アランラジャ
千樹の木クラクサナリデビ.....何用ですかな?
ナヒーダ
久しぶりねアランラジャ。少しあなた達の記憶を頼りに、ここまでやってきたの
アランラジャ
おお。千樹の木クラクサナリデビでも解決できない問題事とは?
ナヒーダ
実は.....
ナヒーダは終焉機のこと、迫り来る危機を事細かく喋り始めた。
喜んでいたアランラジャだが、事の重大さを理解すると険しい表情になった。傍から見ても顔の表情は変わっていないが、雰囲気から察することはできる。
アランラジャ
終焉機.....あの大きな鉄塊のことですかな?ナラ達の間ではそう言われてるのじゃな
ナヒーダ
ええ。コアの封印力が弱まってる上、律者によって取り出されてしまった。後ひとつだけの状況で何とかしないと災害が起こるのが目に見えてるの.....
アランラジャ
ふむ......もちろん覚えていますとも。大鉄塊は、力が徐々に収まっていても依然アランナラ達を蹴散らしてひたすら破壊し尽くした.....多くの犠牲を払ってようやく封印をしたのですがまたそれが繰り返そうとしているとは
ナヒーダ
あなた達の力が必要なの......お願い
アランラジャ
協力をしたのは山々ですが、アランラカラリを使い果たしてサルバに潜っているアランナラが多数いますのじゃ
ナヒーダ
アランラカラリ......を?どういうことかしら?
アランラジャ
金色のナラと白色のパイモンの力を借りて、大地に蔓延っているマラーナを取り除きました。その際にアランラカラリを使ってしまい....
ナヒーダ
......なるほど
アランラジャ
協力したい気持ちは沢山あるのですがあまり役に立てるかどうか
ナヒーダ
終焉機のコアは私達が何とかするわ。せめて場所だけでも.....
アランラジャ
場所と仰いますか。それならサルバを通して.....
ナヒーダ
ええ勿論最初はそうしようと考えたのけれどカーンルイアの厄災前後の記憶にノイズがあって見れなかったのよ。こうしてあなた達の記憶を拝借しようとしているの
パイモン
ノイズ?
ナヒーダ
昨日も言った通り律者は傷から成長したもの。その時の記憶をごっそり持っていかれたから、その空白の部分が見れなくて.......
アランラジャ
ほっほっ。それぐらいならば喜んで協力いたします
アランコンティ
アランラジャ。行きたい
その場にいる声とは別にどことなく聞こえてきたと思うと、アランラジャの横からぬっと新たなアランナラが生えてきた。
慣れている空とパイモンこそ何も驚かなかったが、エウルアとスカラマシュは少しだけ身体をビクリとした。
パイモン
アランコンティ!
アランラジャ
アランコンティ.....?何故なのじゃ.....
アランコンティ
僕の兄弟は大鉄塊にやられた。それに、金色のナラと白いパイモンはヴァルナを綺麗にしてくれるのを手伝ってくれた。恩を返したい
アランラジャ
ワルカは危ないところだが.........本当にいいのかの?
アランコンティ
うん
アランラジャ
.......分かった。クラクサナリデビよ。どうかアランコンティをお願いしたい
ナヒーダ
ええ、勿論よ。むしろ、ありがとう
アランラジャ
ひとつ懸念点があるのじゃが....
ナヒーダ
?
アランラジャ
大鉄塊は悪いエネルギーを持っているから封印場所に大きなマラーナを形成している可能性が.....
ナヒーダ
マラーナ....死域のことね。それについてもちゃんと頭に入れているわ。取り除く方法もね
アランラジャ
事が上手く進むとよいのじゃが.......アランコンティ、アランラカラリを十分貯めてからいくのじゃよ
アランコンティ
わかってる。それに準備は万端