誠
…。
かったるい体で教室へ入る。
俺は結城誠。世間的に言う陰キャの部類に入る人間だ。
早く漫画が読みたいのに、最近はある女によってその時間が遮られている。
杙凪
よっ!まーくん!
眉白杙凪(まみじろくいな)。 俺の隣の席の女だ。
最近席替えをして隣になったが、まぁうるさいやつだ。
小難しい漢字四文字の名前とは裏腹に、いつも微笑を浮かべていてクラスの評判もいいようだ。
切れ長の赤い瞳に長いまつ毛、色素の薄いサラサラの髪の毛。後頭部で結い上げた揺らめく髪の毛は高い背に映えている。
グレープフルーツくらいしかない顔に綺麗にパーツが治まっている。黙ってれば可愛いのに。
頭は悪いようだ。(人のこと言えないけど)部活は確か陸上部。走幅跳らしい。
すごい速さで風を切り、鳥のように飛ぶんだとか。
そして、こいつは俺の事を何故かまーくん呼びする。
誠
なぜまーくん呼びなんだ
杙凪
え?まことって名前だからに決まってるでしょ!?
杙凪
まさか、名前違った!?じゃあ名前なんていうの?
誠
名前は誠だが、なぜあだ名で呼ぶ必要がある!結城でいい!
杙凪
でも私、まーくんと仲良くするって決めたんだもん…。
はぁ?そんなこと俺に言われても…。
杙凪
べつにまーくんに害があるわけじゃないでしょ!
誠
いやありまくりなんだが…。
杙凪
え!?じゃあ例えば何がある!?
誠
1、周りの奴らに仲良いと誤解される
2、付き合ってると誤解される
3、誤解を解くの…
2、付き合ってると誤解される
3、誤解を解くの…
杙凪
あー!わかったわかった!
誠
やっとわかったか…。
杙凪
ってことで、これからもよろしくねっ!
「まーくん!」
「まーくん!」
誠
おいおい話聞いてたか?
俺の話も聞かずそそくさとどこかへ行ってしまった。