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翌朝

煉國

釜戸少年!おはよう!!

釜戸

ん...

閉じていた瞼に朝の明るい陽光が眩しい

釜戸

おはようございます...

炭二郎は自分の背中に 柔らかい感触を感じる。

そして目の前には煉國の厚い胸板が

えっ俺煉國先生に 抱擁(ほうよう)されてる?!

クンクン

鼻腔に柑橘系の爽やかな香りが広がる

煉國

こら

煉國

そんなに嗅ぐんじゃない

釜戸

ごめんなさい

釜戸

でもいい匂いで

煉國

釜戸少年に褒められたら照れるじゃないか

釜戸は煉國を見上げる

煉國

...?

寝起きの煉國先生の髪の毛は ふわふわしていて犬みたいだ。

煉國は甘い笑顔を炭二郎へ向ける

釜戸

眩しっ!!

(色んな意味で)

楼香

あら、2人ともおはよう

釜戸

おはようございます!

煉國

おはようございます

楼香

今日は送り盆だから灯篭流しがあるわよ

煉國

釜戸少年!一緒に行くか?

釜戸

もちろんです!

楼香

あらあら仲良くなっちゃって

煉國

釜戸少年!はぐれないように
裾(すそ)を掴んでなさい

うわぁ、かっこいい...

煉國は前髪を全て後ろに流し 香水のスパイシーな香りを纏っている

これが大人の男か...

あちらでは祭囃子の音が聞こえてくる

両端には屋台が並んでおり 道は煙で覆われていて 美味しそうな匂いがする

煉國

釜戸少年!何か食べたいものはあるか!

釜戸

たこ焼きが食べたいですっ!

炭二郎はたこ焼きを丸ごと1つ 頬(ほほ)いっぱいに頬張った

釜戸

あ、あふいっ!!

煉國

ははは

煉國

大丈夫か?釜戸少年!

釜戸

やはいへふ!!あふいあふい!

舌が焼ける

煉國

これを使いなさい

市松模様のハンカチが渡される

釜戸

でも、わ、わるいでふよ!

煉國

大丈夫だから

煉國

ほら、使いなさい

釜戸

釜戸

あつかった...

煉國

無茶するんじゃない

煉國

ゆっくりでいいから食べなさい

煉國は顔をクシャクシャにして笑う

笑顔も素敵だな。

釜戸

ちょっとゴミ捨ててきますね!

煉國

まて、

煉國

人が多い。

煉國

俺もついて行く

釜戸

いや、大丈夫ですよ!すぐ戻ってきます

釜戸

ハンカチを貸してもらったお礼ですっ!

煉國

そうか、

煉國は炭二郎の キラキラとした目に負けた

釜戸

よし、ゴミ箱みっけ、

釜戸

早く先生の所に戻ろう。

坊や1人かい?

背後から声をかけられる

人が多くて危ない、こっちで
金魚すくいでもしよう

釜戸

いや大丈夫です。

いいからおいで

男は炭二郎の腕を掴む

釜戸

っ!

炭二郎は恐怖のあまり声が出ない。

坊や、こっちの木陰で遊びでもしよう

男はニタニタ笑っている

釜戸

パシッ

煉國

なにをしている

煉國は真顔で問い詰める

...!

男は狼狽える。 自分より目線が15cmほど上の男に問い詰められて身の危険を感じたんだろう

いやお前が1番あぶねぇな

煉國

その子を離せ、

煉國

俺のツレだ

釜戸

先生...

なんだよお前!

男は木陰の奥に走っていき やがて見えなくなった

釜戸

先生ごめんなさい、

煉國

無事でよかった

煉國はいつもの笑顔に戻っていた

煉國

もうすぐ灯篭流しが始まる

煉國

いこう!

煉國は炭二郎の手を握る

煉國

もう離れるんじゃないよ

釜戸

はい...

炭二郎は少し頬を赤らめ答える

ポタッ

水音が小さく鳴る。 優しく置いた灯篭がゆっくり向うに 流れていく。

既に奥には幾つもの灯篭が流れており とても神秘的な光景だ。

釜戸

わあ!!

釜戸

先生見てください!!めっちゃ綺麗です!

煉國

ああ

煉國

綺麗だな

煉國は炭二郎を見て目を細める。

炭二郎の鼻腔に甘ったるい匂いが グッと広がる

この匂いに包まれると とけてしまいそうだ。

釜戸

先生

煉國

うむ?

釜戸

来年も一緒に来たいです。

煉國は嬉しそうに笑みを零す

煉國

照れるな。

煉國

もちろんだ、来年も一緒に来よう!

煉國の指先から炭二郎に熱が伝わる。

すこしだけ指先を深く絡ませ合ったのは煉國と炭二郎にしか分からない。

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