第2話「秘密のスケッチブック」
翌日・放課後 美術室 (昨日の夕陽の余韻が残る教室。絵の具の匂いが漂う)
日向
蘭、昨日の続きを描くの?
蘭
うん。まだ“日向の色”が足りないから。
日向
冷静に、昨日あれだけ描いたのに?
蘭
絵は、描き足さないと本当の気持ちは出せないの。
(蘭が真剣な眼差しで筆を動かす。日向は少し離れた机に座る)
真白
(ドアの隙間から)あ、放課後の秘密基地に来てる〜?
日向
真白…いつからそこに?
真白
昨日から見守ってたよ。蘭、昨日もすごい集中してたもん。
結衣
(にこやかに入室)二人とも、仲良くしてるね〜。
日向
冷静に、見せられないものもあるんだ。
結衣
ふふ、そういう秘密、わくわくするよね
(日向の視線が、棚の上の1冊のスケッチブックに止まる)
日向
(小声で)……これ、蘭の
真白
うん。でも、見ない方がいい。
日向
なんで?
真白
蘭、あれは“誰にも見せたくない”ものだから。
(日向は手に取り、そっと表紙を開く。そこには——)
日向
(心の声)……私、だ。
(描かれているのは、教室の中で日向の姿。しかし、周りには誰もいない)
結衣
あれ、どうしたの?
日向
……この絵、変だ。
真白
蘭の絵はね、過去とか心の中とか、いろんなものを映すんだ。
日向
……心の中?
真白
うん。だから、見ると不思議な気持ちになるんだよ。
(日向は息を呑む。絵の中の自分は確かにそこにいるのに、教室は無人。 少し怖く、でも心がざわつく感覚)
日向
冷静に、考えすぎかも……
蘭
(筆を止め、振り返る)
蘭
……見ちゃったね。
日向
……これは、どういう意味?
蘭
日向のこと、描かずにはいられなかった。
蘭
私の気持ちも、このスケッチブックの中に全部ある。
日向
(小さく笑う)冷静に……蘭、怖いよ。
蘭
(笑顔で)怖い?でも、それが私の正直な気持ちだから。
(チャイムが鳴る。教室の外に夕陽が差し込み、二人の影が伸びる)
次回予告:「君の描く世界」 スケッチブックに隠された蘭の想い。 日向は次第に、“絵の中の世界”に引き込まれていく――。 友情と恋心、秘密が交差する少女たちの物語が深まる。






