アキラ
アキラがジャングルジムの上で言った。
レイジ
レイジ
レイジが言うと、アキラは大笑いした。
アキラ
見てろよといい残すと、アキラはジャングルジムから飛び降りた。
そのとたん、地面から巨大なサメがあらわれた。
アキラは悲鳴を上げながら、その大きな口の中に落ちてしまった。
もう一度悲鳴を上げようとしたけどダメだった。
サメはアキラをぐちゃぐちゃと食べてしまい、血で真っ赤に染まった地面に、サメはもぐっていった。
アキラの帽子だけが残されている。
僕とレイジは、その帽子を見つめたまましばらく黙っていた。
最初に叫んだのはレイジだった。
レイジ
何度も繰り返すだけだ。
おかげで、僕は気持ちが落ち着いた。
僕
僕
うんうん、とレイジは何度も頷いた。
僕
レイジ
おばあさんがひとり通りかかったけど、ちらりとこっちを見てすぐに歩いていってしまった。
ダメだ、信じてくれない。
僕
ちょうど、男の人が通りかかった。
僕らは声を合わせて叫んだ。
男の人は、地面に残った血のあとがを見て顔色を変えた。
男の人
男の人
ケータイを取り出そうとした瞬間、地面にサメの背ビレがうかんできた。
レイジ
レイジ
男の人
振り向こうともしない男の人は、いきなり地面に引きずり込まれた。
口からたくさんの血を吐き出す。
目を丸くして、声も出せないまま、サメに飲み込まれた。
レイジ
レイジがジャングルジムから飛び降りて、公園の出口に走った。
僕も後を追う。
もう少しで出口というところで、地面からサメが飛び出した。
大きくジャンプして、上空からレイジに襲いかかる。
レイジは、悲鳴も上げられずに飲み込まれた。
僕は慌ててジャングルジムに戻った。
あれからもう何分たっただろう。
遠くで僕を呼ぶ声がする。
あれはお母さんだ。
助かった、お母さんだ。
ああ、でも、お母さんはきっと、僕が止めても公園に入るだろう。
サメがいるから来ないで、って言っても近づいてくる。
お母さんが食べられてしまう。
そんなのイヤだ。
どうしたらいいんだろう。
お母さんが公園に入らないようにするには、どうしたら。
ああそうか。
僕がここにいなければいい。
そうすれば、お母さんは公園に入らない。
早くしなけりゃ。
声が近づいてくる。
でも怖いよ。
僕、どうしたらいいんだろう。
僕は、ジャングルジムから地面を見下ろした。
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