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奏多
そう嘆くのは、私の弟、奏多(かなた)だ。
奏多
早苗
苦い顔して謝る私、椿木早苗(つばきさなえ)《23》には、大きな欠点がある。それは、生活スキルのなさだ。生まれてこの方おいしい料理を作れたことがなく、掃除もろくにできないのだ。今日は、4つ下の弟奏多に一人暮らししている部屋の掃除を手伝いに来てもらっている。
奏多
最近、奏多が母親に似てきて小言が増えたなと感じつつ、部屋の惨状を見る限り申し訳なさが上回ってしまう。私は、大学在学中に広告やホームページなどのデザインの会社を起業し、大学を中退して働いた。今では会社を大きくすることができ上場企業の社長だ。忙しさにかまけて目をそらした結果が洗濯物がたまり、物が出しっぱなしの現状である。
奏多
早苗
急にそう告げられ思わず声が出てしまった。
奏多
早苗
奏多
少し考えた後、奏多はある提案をしてきた。
奏多
早苗
私は、奏多の友達に次の日曜日に私の家に来るよう奏多に伝えてもらい、内心不安だったが次の週末になるまで待った。
次の日曜日・・・ 家のインターホンが鳴り、玄関の扉を開けるとそこには、奏多と友達あろう私より少し高いくらいの身長の男の子が立っていた。玄関に入ると、奏多が友達の紹介をしてくれた。
奏多
祐司
いい子そうだが緊張しているのか委縮しているように見えた。
早苗
内心そんなこと思いつつ
早苗
挨拶を済ませ、簡単に部屋の間取りやキッチンの説明をしていたところで1本電話がかかってきた
早苗
スマホを見ると、会社からだった。
早苗
祐司
奏多
祐司
早苗
祐司
早苗
彼は自身のスマホを取り出し、何かメモのようなものを取り、
祐司
奏多
その一通りの会話で大丈夫だと判断し、出社の準備をして、玄関を出ようとしたところで祐司君が私を呼び止めた。
祐司
早苗
祐司
久しく聞かなかったその言葉一つで疲れ切った体に気合が入った。
早苗
この言葉を何年ぶりに言っただろう。起業してから部屋が寝るだけの場所となったころからこの言葉を言わなくなり、職場とさほど変わらない場所となっていた。「早く終わらせて帰ろ。」と心からそう思った
奏多
祐司
奏多
祐司
奏多
二時間後・・・ 思ってたより仕事が早く片付いた私は、いつもより軽い足取りで家へ向かった。部屋に着くと、祐司君が出迎えてくれた。部屋を見渡すと自分の部屋かと疑うくらいにきれいになっており、温かいご飯も作ってあった。
祐司
奏多
キッチンから奏多の声が聞こえた。恐らくつまみ食いしようとしていたのだろう。
祐司
着替えるために戻った自室を見て私は再度驚いた。参考資料や写真で足の踏み場もなかったのにきれいにそしてわかりやすく片付けられていた。感心していると、リビングから
奏多
私は、急いで着替えリビングへ向かった。
早苗
祐司
三人で食卓を囲んだ。職場の同僚や上司と食べるのとは違う懐かしい雰囲気の心が温まった。
早苗
祐司
彼は、片づけを始めようとしたので
早苗
祐司
彼は食器を片づけを始めた。
奏多
さっきまで満腹で寝ていた奏多が言った。
早苗
祐司
早苗
彼は首をかしげて「なに?」という顔でこちらを見つめてきた。
早苗
姉弟間ですら本気で本音をぶつける様なことをしなかったのに初めて自分の願望を他人にぶつけて内心引かれてないか怖かった。
祐司
そんな彼の答えにそっと胸をなでおろし、
早苗
祐司
こうして祐司君と私のアルバイトという名の半同棲生活が始まった。