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夏休みの終わり。蝉の声が静まる頃、美咲は学校に来なくなった。
メッセージを送っても既読はつくのに、返事は短い。
けれど、璃子の胸はざわめくばかりだった。
ある日、病院から「入院した」と聞かされた。
璃子は急いで駆けつけた。
病室のベッドに横たわる美咲は、笑って
美咲
と言った。
その笑顔は弱々しくて、
いつもの彼女ではなかった。
璃子
璃子は問いかけた。
美咲
美咲は窓の外を見つめる。
灰色の雲の隙間から、細い雨が落ちていた。
美咲
璃子は言葉を失った。
代わりにそっと彼女の手を握る。
美咲の指は冷たく、でもそのぬくもりが確かにそこにあった。