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日々は静かに過ぎていった。
病室の窓から見える空はいつも灰色で、季節が秋へと変わるのを告げていた。
璃子は毎日のように足を運んだ。
宿題を見せ合ったり、音楽を一緒に聴いたり。
笑い合う時間は確かにそこにあったけれど、璃子の胸の奥には常に恐怖があった。
“この時間が突然終わってしまうかもしれない”
ある夕暮れ、美咲がふいに言った。
美咲
璃子
美咲
その言葉に、璃子は何度も口を開こうとした。
“好き”
と、ただその一言を伝えたい。
でも、声にならなかった。言ってしまえば、終わりが近づくのが本当になってしまう気がした。
ただ、握った手を強く離さなかった。