凛
やり直すんだ、今度は俺がいる。一緒に行こう。二人で力をあわせればきっとできるよ。だって俺は先生の弟子なんだろ?と譲が言う。
(譲くん……)
もう大丈夫だ、俺達がついている、仲間を信じようぜ、みんな一緒だ。と言う声がきこえてきて目が覚めた。
目をあけるとそこは病室ではなく、見慣れぬ部屋の中で、隣にはベッドがあり、白いシーツの上には誰もいない。夢なのか、とあたりを見回すと、窓辺に立つ後ろ姿がある。
「リズさん?」
「起きたのか」
リズ先生は振り向かない。望美の方を見ない。窓から外を見て、何かを考え込んでいるようだった。
「ここはどこですか?」
「私の家だ」
そう言って振り返ったリズの顔色は悪い。
「大丈夫ですか?具合悪そうだし、顔色も……」
「少し寝不足なんだ。心配はいらないよ」
いつもどおり笑おうとするのだが、どこかぎこちない笑顔になるリズ先生を見て、これは夢なのだと気づく。だってもう先生はいないのだもの。
これが最後のお願いなんだね? うん、ありがとう。今まで本当にごめんなさい。
謝らないでよ、感謝したいのはこちらなのに。先生のおかげで私はここまでこれたんだと思う。
そんなことはないわ、あなたは最初から強い子だった。ただそれに気づけなかっただけ。
違うよ。私は強くなんかないんだ。ずっと泣きたかったし叫びたかったんだよ。助けてほしい時に誰もそばにいなかったら誰だって辛いと思うよ。だから先生がいたから大丈夫だったんじゃなくて、先生がいてくれたから私は大丈夫になれたんだよ。
そういう意味ではあなたは私よりも強かった。一人で耐えられたんだもの。
うぅん、結局私は泣かなかったけど、本当は泣いてばかりいた気がする。
それは、あなたが強い証拠よ。涙を見せないことじゃ
