空は晴れていて、 クラスの色が校庭に広がっていた。 歓声。 太鼓の音。 そして――視線。 私と蓮は、 もう“噂”じゃなくて、完全に“セット”として見られていた。
佐久間萌笑
でも、瑞希くんが近くにいる)
一ノ瀬瑞希
佐久間萌笑
一ノ瀬瑞希
佐久間萌笑
一緒に走るんだから
一ノ瀬瑞希
佐久間萌笑
一ノ瀬瑞希
佐久間萌笑
一ノ瀬瑞希
号砲が鳴る。
(競技中)
佐久間萌笑
足、合ってる……)
一ノ瀬瑞希
佐久間萌笑
一ノ瀬瑞希
佐久間萌笑
順調だった。 ――その瞬間までは。
佐久間萌笑
足が絡む。 視界が揺れて、 地面が近づく。
一ノ瀬瑞希
(転倒) 痛みより先に 名前を呼ばれた
佐久間萌笑
一ノ瀬瑞希
佐久間萌笑
一ノ瀬瑞希
腕を掴まれる。 強い。 でも、震えていた。
一ノ瀬瑞希
担任
一ノ瀬瑞希
担任
一ノ瀬瑞希
その一言で、 周囲が一瞬静まった。
保健室 カーテンが閉まる。 外の音が、遠くなる。
佐久間萌笑
一ノ瀬瑞希
佐久間萌笑
一ノ瀬瑞希
佐久間萌笑
ベッドの横。 立ったまま、近い。
一ノ瀬瑞希
佐久間萌笑
一ノ瀬瑞希
一ノ瀬瑞希
一ノ瀬瑞希
佐久間萌笑
でも、真剣)
佐久間萌笑
一ノ瀬瑞希
佐久間萌笑
カーテン越しに、 人の気配。 でも、瑞希くんは動かない。
一ノ瀬瑞希
佐久間萌笑
一ノ瀬瑞希
顎に、指が触れる。 前より、確実に近い。
一ノ瀬瑞希
佐久間萌笑
一ノ瀬瑞希
佐久間萌笑
でも、優しい)
唇が、触れる。 一瞬じゃない。 でも、深くもない。 ――離れない。
一ノ瀬瑞希
佐久間萌笑
一ノ瀬瑞希
一ノ瀬瑞希
額が、そっと触れる。 それ以上は、進まない。
一ノ瀬瑞希
佐久間萌笑
一ノ瀬瑞希
一ノ瀬瑞希
一ノ瀬瑞希
佐久間萌笑
一ノ瀬瑞希
カーテンの外で、 誰かが名前を呼ぶ。
一ノ瀬瑞希
佐久間萌笑
手は繋がない。 でも、離れない。 その距離はもう、 誰にも壊せなかった。






