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6 - ふれる

2025年12月25日

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空は晴れていて、 クラスの色が校庭に広がっていた。 歓声。 太鼓の音。 そして――視線。 私と蓮は、 もう“噂”じゃなくて、完全に“セット”として見られていた。

佐久間萌笑

(緊張する……
でも、瑞希くんが近くにいる)

一ノ瀬瑞希

佐久間

佐久間萌笑

なに?

一ノ瀬瑞希

無理すんな

佐久間萌笑

二人三脚だよ?
一緒に走るんだから

一ノ瀬瑞希

転ぶな

佐久間萌笑

それは瑞希くん次第!

一ノ瀬瑞希

……守る

佐久間萌笑

え?

一ノ瀬瑞希

……離れんな

号砲が鳴る。

(競技中)

佐久間萌笑

(早い……!
足、合ってる……)

一ノ瀬瑞希

佐久間萌笑

うん!

一ノ瀬瑞希

次、右

佐久間萌笑

右!

順調だった。 ――その瞬間までは。

佐久間萌笑

っ……!

足が絡む。 視界が揺れて、 地面が近づく。

一ノ瀬瑞希

佐久間!

(転倒) 痛みより先に 名前を呼ばれた

佐久間萌笑

だい…じょうぶ……

一ノ瀬瑞希

立つな!

佐久間萌笑

でも……

一ノ瀬瑞希

動くなって言ってるだろ

腕を掴まれる。 強い。 でも、震えていた。

一ノ瀬瑞希

(なんで目離した)

担任

保健室連れてくぞ!

一ノ瀬瑞希

俺が行きます

担任

一ノ瀬、競技はーーーー

一ノ瀬瑞希

どうでもいい

その一言で、 周囲が一瞬静まった。

保健室 カーテンが閉まる。 外の音が、遠くなる。

佐久間萌笑

ごめんね……

一ノ瀬瑞希

謝るな

佐久間萌笑

でも……

一ノ瀬瑞希

俺が見てなかった

佐久間萌笑

……瑞希くん?

ベッドの横。 立ったまま、近い。

一ノ瀬瑞希

怖かった

佐久間萌笑

え?……

一ノ瀬瑞希

お前が倒れた瞬間

一ノ瀬瑞希

視界から消えた

一ノ瀬瑞希

……二度と嫌だ

佐久間萌笑

(独占欲……
でも、真剣)

佐久間萌笑

大丈夫だよ

一ノ瀬瑞希

俺が決める

佐久間萌笑

……

カーテン越しに、 人の気配。 でも、瑞希くんは動かない。

一ノ瀬瑞希

……今

佐久間萌笑

なに

一ノ瀬瑞希

誰にも見られねぇ

顎に、指が触れる。 前より、確実に近い。

一ノ瀬瑞希

見るな

佐久間萌笑

……

一ノ瀬瑞希

俺だけ見てろ

佐久間萌笑

(息、近い……
でも、優しい)

唇が、触れる。 一瞬じゃない。 でも、深くもない。 ――離れない。

一ノ瀬瑞希

(抑えろ)

佐久間萌笑

……瑞希、くん

一ノ瀬瑞希

名前呼ぶな

一ノ瀬瑞希

……今、余裕ねぇんだ

額が、そっと触れる。 それ以上は、進まない。

一ノ瀬瑞希

……これ以上はダメだ

佐久間萌笑

……うん///

一ノ瀬瑞希

でも

一ノ瀬瑞希

もう俺の前で倒れるな

一ノ瀬瑞希

俺の視界から消えるな

佐久間萌笑

独占欲すごい

一ノ瀬瑞希

彼女だろ

カーテンの外で、 誰かが名前を呼ぶ。

一ノ瀬瑞希

行くぞ

佐久間萌笑

うん

手は繋がない。 でも、離れない。 その距離はもう、 誰にも壊せなかった。

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