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(体育祭・後夜祭) 夜の校庭は、 光と影が混ざり合っていた。 音楽は遠く、 人の声は近いのに、 この場所だけ切り取られたみたいに静か。 ――近づいたら、戻れない距離。
一ノ瀬瑞希
佐久間萌笑
一ノ瀬瑞希
佐久間萌笑
佐久間萌笑
誰もいない教室。 もしかしたら、 誰か来るも。 それが、余計に心臓を煽る。
一ノ瀬瑞希
佐久間萌笑
一ノ瀬瑞希
佐久間萌笑
佐久間萌笑
距離が詰まる。 息が、重なる。
一ノ瀬瑞希
佐久間萌笑
一ノ瀬瑞希
そう言って、 でも視線は逸らさない。 矛盾してるのに、 真剣だった。
一ノ瀬瑞希
佐久間萌笑
一度、唇が触れる。 短くて、 確かめるみたいなキス。
佐久間萌笑
離れたはずなのに、 瑞希くんは、すぐ戻ってくる。 今度は、 逃げる隙を与えない距離。
一ノ瀬瑞希
二度目のキス。 さっきより、長い。 触れて、留まって、 でも踏み込まない。
一ノ瀬瑞希
佐久間萌笑
息が、混ざる。 指が、私の袖を掴む。 握らない。 でも、放さない。
一ノ瀬瑞希
佐久間萌笑
一ノ瀬瑞希
一ノ瀬瑞希
それなのに。 三度目。 今度は、 ほんの少し角度を変えて。 深くない。 でも、確実に“恋人”のキス。
佐久間萌笑
ゆっくり、離れる。 でも、額が触れたまま。
一ノ瀬瑞希
一ノ瀬瑞希
佐久間萌笑
一ノ瀬瑞希
佐久間萌笑
遠くで花火の音。 歓声にかき消されるくらいの距離で、 蓮くんが低く囁く。
一ノ瀬瑞希
一ノ瀬瑞希
手は繋がない。 抱きしめない。 それでも、 キスの余韻だけが、長く残った。
誰にも見せない。 誰にも触らせない。 秘密だからこそ、 こんなにも深くなる。