最後の我儘

3

今日も、隣にあなたがいる

明日も、そのまた明日も

これからずっと

ずっと隣で笑ってて欲しいなあ、

息を飲む

ボムギュの顔がだんだん近づいてきて

私の鼓動は早くなる

目を閉じて、唇が触れる

嬉しくて、恥ずかしくて

幸せで包まれて

辛さなんて感じずに

ずっとこのまま二人でいられたらいいのに

二人、いつも座っていたソファに押し倒される

なのにボムギュの顔は真っ赤で

なんだか、私も余計照れちゃって

服のボタンが外されていく

ボムギュは分からないけど

私は、初めてだから

頭がぽわぽわして

何も考えられなくなる

ただ、ボムギュだけを求めて

静かに俯いていた

時だった

ピンポーン

インターホンがなった

あぁ、もう！何よ！

いい、所だったのに…

ボムギュの荒らげた声が聞こえた

怖くなった

体が震えて

嫌な予感がした

警察…？

なんで、なんで、

私達が伸ばした手が触れることは無かった

バチンッ

頬に激痛が走る

は…？

ほんとに何？

いや、いやいやいやいや、

何、今更…。

突然のことだった

何も頭が回ってない

頭が回っていなくても

これだけは鮮明に覚えていた

ボムギュは

ボムギュは、私の大切な人…。

これまでも、これからも…。

醜い

そう思った

夫に逃げられて

自分を殴り暴れる子が生まれて

母はきっと、私しか逃げ口がなかったのだろう

だけど、そんなの

私からすればいい迷惑だ

泣きながら必死に私に抱きつく母は

本当に哀れだった

自信を持って言えた

〇〇の生き甲斐は僕なのだから

僕と〇〇で過ごした日々が

犯罪だと言われるなら

それは間違ってる

僕と〇〇にそんな言葉は似合わない

要らない。

彼女が居なきゃ、心が抉られた気持ちになる

お願いします、

また、彼女に…彼女の声を、笑顔を

香りを、存在を

抱きしめさせて…。

泣いて泣いて

泣きじゃくった

これでもかと言うぐらい

泣いた。

彼に会いたかった

彼の全てを当たり前に抱きしめていたい

酷い、酷いよ

こんなの、求めてない…

お願い、初めて生きたいと思えたの

神様、なんで…。

ボムギュと離れ離れになって 半年が経った

刑事さんによると

私は当時もう18歳だったこと

ボムギュが私の事を全然知らなかったこと

この二つの事で逮捕まではいかなかったけど

私は今、彼がどこで何をしているのか分からない

毎日私は

彼の温もりだけを求めて旅をしている

だけど、どこに行っても彼はいない

あの声が聞きたい

あの、落ち着く声が…

あの日から私は

一人暮らしを始めた

もう、しばらく会っていない

憎い、母がいた