今世では幸せに

体育祭当日

これより、ーー年、ーー高校

第〇回、体育祭を開式いたします

2年生の種目、棒引きです

続いては、1年生の競技

全員リレーです

絶対に、勝ってみせる

そういうと、奏太はスタート地点に立った

後ろの人がバトンを差し出すと同時に、奏太が足を動かし出し

その瞬間、奏太は全力でトラックを駆け抜ける

テイクオーバーゾーン中間辺りでバトンを受け取った

クラスをぐんぐん抜いていく

いつの間にか、1組は1位となっていた

次の走者は由紀

この後はいよいよ俺の番だ

由紀はカーブの所でこけてしまった

お隣を走っているクラスはお構い無しにどんどん由紀のことを抜かしていく

ひざから血が出ているのがここからでも分かる

俺はスタート地点に立った

由紀の負担を減らすべく、テイクオーバーゾーンの最初の方に立った

こうしている間にも他のクラスはどんどん先にスタートしている

由紀のペースに合わせながらゆっくり走り

バトンを受け取った瞬間、俺は地面を強く蹴りつけた

気づけば、半周近く差が着いていた1番のクラスと差がすぐそこまで縮まっていた

1位、1組 という放送が聞こえた

その時、由紀が赤い顔をしていたように見えたのは気のせいなのか

それとも、運動したから赤かったのか

俺には分からなかった

影からこっそり見守っていた五条