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有給が終わって、数日後。
僕はいつもとは違う場所に居た。
誰もいない。他人も、日本と中国も。
だって、危ないでしょ?
僕に指示をしてくれる声が、人を見つける度に壊せって言ってくるんだもん。
僕だって他人を傷つけることは好きじゃない。だから、これは自衛。
別にあの声も僕も悪いことはしてないもんね。
韓国
僕よりも少し背の高い影が、僕の影に重なる。
また誰か来たって思って見てみても、誰もいなかった。
韓国
僕は窓の向こうを見る。
まだ夕日はないのに、どこか赤みのかかった、綺麗な空になっていた。
ガリッ。ザシュッ。バコッ。ベキッ。
ペンを滑らせる音と、パソコンのキーボードが、そんな音を鳴らしていた。
別に、ペンで紙を破ったり、パソコンを殴っているわけではない。
何もしなくても、なることだった。
カーテンは締め切り、明かりも最低限付けていないからか、音だけが鮮明に聞こえる。
不意に、"また"意識が白くなる。
気がつけば左手が遠くから近くへ移動した。
左手のその遠くにあったのは...
あの日、会議中に投げたナイフと酷似していた。
日本
本当、いつもそばにあるものだからとっても困る。
これじゃ、自分の意志でやってしまった、みたいじゃないですか。
日本
目を閉じ、思い出す。
今日の顔。それから、数百年前の顔。
うん、どちらも凛々しくもあり可愛らしいお顔。
満足してまた書類に向き合う。
そのたびに、心の奥底から。
『それでいいのか?』とか、『本当はどうしたいんだ?』とか。
あぁ、うるさいなぁ。
早く仕事を終わらせて、家に帰りたい。
とにかくおふたりのそばにいたい...
静かに震えていた指先を無視して、書類を進めた。
イライラ、イライラ。
何度振り返ってもソイツはそこにはいない。
何かがガラスに反射して見えたはずなのに、なにもない。
白い袖に黒い帽子、イヤリング。
黒い服を着た者もいた気がする。
自分以外の影が伸びる。
それがなんなのか気になって、書類どころではなかった。
中国
かつて使っていた言葉で今一人呟いて、いつもより遅いペースで仕事を進めていった。
アメリカ
昼休み。
今日は珍しく一人での食事だった。
ロシアは先約が入ってたらしいし、
ヨーロッパメンツはすでに仲いいやつ同士で固まってる。
小国に絡みに行くと怖がられるし、
日本も探したけどどこにもいなかった。
そんな感じで一人寂しく昼食を食べていると、どこからともなくあの三人もやってきた。
日本、韓国、中国。
今日は日本どころか他二人も見てなかったため、いたんだとちょっと驚いた。
十分に休めただろうか。
そう思い席を離れようとしたが、変な会話が耳に入った。
韓国
韓国
中国
日本
噛み合ってるような、噛み合ってないような。
それでも、リズムだけは崩れない。
そんな会話に恐怖を覚えつつ、俺もさっさと食事を終えた。
アメリカ
アメリカ
妙に静かな帰り道。
三人は静かに歩いていた。
沈黙が心地良い。一緒にいることが何よりも心地良い。
今日も色々あった。
また手を出しかけたり、
あの声が聞こえたり、
意識が朦朧とした時間があったり。
でも、正直言ってどうでも良くなってきた。
街灯が灯り、影が伸びる。
その瞬間、影がおかしな方向へぐにゃっと曲がった。
中国
日本
韓国
普通ならありえない恐怖が沸いてくるだろう。
或いはスマホで動画でも撮るかもしれない。
____でも、三人は首を傾げて、また何事も無かったかのように歩き始めた。