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――朝は何もなかったみたいに始まる
朝の光は残酷なくらい穏やかだった
昨日の戦いが嘘みたいに森は静かで、 鳥の声が普通に聞こえる
焚き火がまた起こされる パチ、と木が弾ける音
LAN
LANが伸びをしながら言った
LAN
いるま
いるまが苦笑する
俺は少し離れた場所に座っていた
剣を膝に置き、刃を布で拭いている
血はもう乾いている
みこと
みこと
俺は手を止めた
暇72
言いかけて、止まる
みこと
みことは続ける
みこと
暇72
即答できた
全員の視線が集まる
暇72
沈黙
暇72
暇72
暇72
暇72
暇72
理由としては単純すぎる
でも、誰も笑わなかった
すちが、そっと言う
すち
暇72
すち
LANがにやっと笑う
LAN
いるま
いるま
いるま
こさめが俺の隣に座った
距離が、近い
こさめ
暇72
こさめ
こさめが柔らかく笑う
こさめ
暇72
耳元で言われて顔が赤くなった
暇72
焚き火の向こうで、すちがくすっと笑った
LANといるまも保護者のような目で見てくる
余計に恥ずかしくなった
朝食の準備が始まる
いつも通りの手順
いつも通りの匂い
でも___
俺は、気づいていた
自分の座る位置が少し変わっている
前より中心に近い
意識して選んだわけじゃない
でも、 「ここにいていい」 そう思える場所だった
いるま
いるまが言う
いるま
暇72
いるま
いるま
LANが続ける
LAN
胸の奥がじんわり熱い
暇72
一瞬、言葉に詰まった
暇72
それだけ言った
それで十分だった
朝は完全に明るくなっていた
昨日の影はもうない
でも、確かに残ったものがある
それは剣の重さじゃなく
自分で立つ感覚だった
風が草を撫でていく
夜明け前に張りつめていた空気はすっかりほどけていた
焚き火の跡から細い煙だけが立ち上っている
俺は膝の上で拳を握り、ゆっくりと息を吐いた
怖さは完全には消えていない
けれどもう、身体は震えていなかった
LAN
声をかけてきたのはLANだった
剣の手入れを終え、振り返る
起きているかどうかを確かめる声じゃない
“今の状態”を気にする声だった
暇72
LANはそれ以上踏み込まなかった
聞かない、という選択をするのもLANの優しさだ。
少し離れた場所でいるまが周囲を確認している
地面の跡、木の影、空の色
すべてを一通り見てから軽く頷いた
いるま
すちとみことは並んで水を飲んでいる
言葉は交わさない
けれど、夜を越えた者同士の静かな安心がそこにあった
こさめが俺のそばに来て、腰を落とす
こさめ
こさめ
こさめ
一瞬だけ言葉に詰まってから、頷いた
暇72
胸の奥に確かな重みが残っている
それは恐怖でも、不安でもない
いるまが前を向いたまま言う
いるま
六人は自然に歩き出す
並び順は決まっていない
夜を越えたあとにしか生まれない距離感
俺は足元を一度だけ見てから、前を向いた
世界はまだ静かだ
滅びにはまだ名前がない
それでも___
この朝、
この一歩、
この六人なら
俺ははっきりと思った
行きたい
与えられた場所じゃなく、
選んだ道を
朝の光の中
六人の影は、同じ方向へ伸びていった