ママ
最近、不審者が出ているのは知ってるわよね?
ゆい
うん、さっき警察の人からきいた
ママ
ちゃんと聞いて
ゆい
うん
ママ
その不審者がね、うちの前を8時になると通っていくの
ゆい
!?
ゆい
え、なんで?
ママ
それはママも分からない
ゆい
だから8時には帰ってくるなって言ったの?
ママ
ええ
ママ
間に合ってよかったわ
ママ
ギリギリに警察の人がおしえてくれたの
ゆい
そうなんだ
ゆい
警察の人には感謝しないとね
ママ
そうね……
ママ
だから明日は9時に帰ってきなさい
ゆい
わかった
母との話を終えるとゆいは部屋へ入っていった
バリンッ!
ゆい
わあっ!
勢いよく開けたせいでドアノブが写真にあたり、フレームが割れていた
ゆい
あ……
ゆい
やっちゃった
ゆい
ん?
ゆい
これ、お父さんだ!
ゆい
(そういえば最近全然会ってない)
ゆいは写真を手に取り、リビングへ向かった
ゆい
ねぇ、ママ!
ママ
あら、どうしたのゆい?
ゆい
わたし、パパと会いたい
ママ
いきなりどうしたの
ゆい
さっきさ、これ割っちゃってさ
ゆい
思い出した
ママ
あら、そうなのね
ママ
後で片付けないと……
ゆい
いい、私がやるから
ゆい
だからさあ、パパに会わせてよー
ママ
うーん……
ママ
じゃあわかったわ
ママ
ちょっとまってて
そういうと母は、クローゼットの中から直方体の箱を持ってきた
ママ
はい
ママ
どうぞ
ゆい
え、スマホ?
ママ
ええ
ママ
もうそろそろかなぁって思ってね
ゆい
あ、ありがと!
ママ
会うことは出来ないけれど、これで話すのはいいわよ
ゆい
やったー!
ゆい
ホントにいいの?
ママ
ええ
ママ
私たちの都合で勝手に離婚したのに会わせてあげないって言うのもね
ゆい
え!じゃあいつかは会わせてくれる?
ママ
うーん、考えるわ
ゆい
だーめ
ゆい
約束っ
ママ
うーん、じゃあ受験受かったら会わせてあげる
ママ
約束ね
ゆい
うん、約束だよ