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レーニェ
アインと似た虫のような足が8本、背中から生えている…でも西の魔王の仲間なら魚人族…?
その8本の足には鋭い刃が付いていて、それで人々を切り裂いている…掠っただけで深い傷がついてしまいそうだ。
適切な間合いを取り、切り裂かれるのを避ける。近づいたら一瞬で粉々にされてしまうだろう。
レーニェ
レーニェ
シュウ
レーニェ
シュウ
シュウ
レーニェ
レーニェ
レーニェ
アイン
メデュース
急に後ろから透明な声がした。次の瞬間にはもう冷たく湿ったものが腕と首に張り付く。
アイン
急いで細い触手を切断するも、張り付いた触手は簡単には離れない。気づくのが遅すぎた…
やっと姿を現したその敵は、髪の中からその触手を4本出していた。だがもう切断したはずの触手は再生している。
更には後ろからも同じ触手で刺された。もう何が何だか分からないが、張り付いたその触手もまた剥がして、とりあえず敵を攻撃しようと腕を動かそうとするも、上手く動かない。
アイン
触手が張り付いた所はビリビリと麻痺しているようだ。咄嗟に魔物の腕に変え、これ以上は刺さらないようになるはずだが、肝心の攻撃が出来ない。
そして、空いている首にも攻撃が入る。ここは毒も吸収されやすい…だがここまで魔物化するとなると、自我が保てるかも怪しい。
まだ羽は動くので、すぐに横の建物へ移り、現状を確認した。
メデュース
アイン
後ろから刺してきたものは奇妙な形をしたクラゲのようなものだった。あの敵の髪から生えている4本の触手と同じものが付いている。
計8本の細い触手で敵を弱らせ、殺すやり方のようだ。全く、小賢しい…
そしてステルス能力が高く、あんなに接近されていたのに俺は全く気づけなかった。普段はこうして弱らせた所を多足の女に切り裂いてもらっているのか…
先輩が来なかったら地獄だったな…
メデュース
メデュース
アイン
アイン
メデュース
メデュース
アイン
俺は首までを魔物化し、触手を通さないようにした。範囲を広げる度、脳が支配されていくような感覚に耐えながら、敵に向かって走った。
アイン
メデュース
麻痺で思うように動かせない腕を、魔物化を進めることによって無理やり動かす。
意識を保ったまま、この状態を維持するのも大変だが、今は早くこの戦いを終わらせることが先だ。
このまま全身が動かなくなる前に…やらないと…
メデュース
全ての攻撃が避けられる。ただ俺の体力だけが消費されていく。
メデュース
アイン
このままじゃ、最悪の方向に…
……いや、まだ1つ…切り札が残っている。
メデュース
アイン
魔物の力を最大まで解放する、切り札が。
父親が魔物だと知らなかった頃。俺は意識を少し他のところへ移すと、この魔物化の現象が起こるようになっていた。
その様子を父親に見られた日から俺に対する態度が豹変した。お前のせいで、と何度も理不尽に暴力を受けた。元から少し不安定だった父親はその日から…もっと暴走し始めた。
その理由も、今ならわかる。
シュウ
アイン
シュウ
シュウ
アイン
シュウ
今だって魔物の力なんて本当は使いたくはない。だが、なんだって利用しないといけない。俺が一番嫌いな物の力でも。
アイン
いつも俺を支配してこようとする、邪悪な影。
俺はその影に少しだけ体を預けた。
アイン
シュウ
俺の腕は虫の姿に変貌した。
人間じゃない…
俺が一番嫌っていたあの父親と同じだ…
ああ、あの時と同じだ。俺は拒絶されるんだ。
アイン
アイン
シュウ
先輩の手が俺の穢れた腕に触れる。その感覚は感じられないが、俺を信じてくれている。
俺を、受け入れてくれている。
アイン
シュウ
シュウ
まだ直視は出来ない。受け入れることが出来ない。
でも……
でも、受け入れるということは…それは過去への決別なんだ。
メデュース
メデュース
アイン
アイン
自我を保ったまま、最大限に魔物化を進める。腕、脚、胴体…そして首までを虫の甲冑で固め、更に毒を強める。
飛び回るクラゲはまた触手を刺そうとしてくるが、攻撃が来る前にその4つの触手を切り落とした。
すぐに敵の背後に回り、斬り掛かる。スピードも上がっているようで、敵は全く気づいていなかった。
メデュース
慌てて触手を向けるも、斬撃で無効化する。
空いている右腕で敵の首に刃を当てた。
アイン
メデュース
アイン
俺は毒針を撃ち、その女をもう動けないようにした。
メデュース
メデュース
アイン
メデュース
アイン
すると、下から激しい戦闘音が聞こえてきた。先輩がまだ戦っているんだ…
アイン
メデュース
シュウ
レーニェ
レーニェ
アイン
シュウ
レーニェ
レーニェ
アイン
アイン
レーニェ
感情に任せて刃を振り回す。隙だらけで、心の余裕も全くないようだ。
うちの村は魚人族しかいない村だった。
メデュース
メーちゃんは見たこともない料理を作るのが好きだった。味も凄く美味しい。いつも新しい料理を作る度、最初にうちに食べさせてくれた。
レーニェ
レーニェ
レーニェ
メデュース
レーニェ
二人で夢を決めた。きらきらと輝く夢を。
メデュース
レーニェ
レーニェ
レーニェ
メデュース
もうメーちゃんの料理はこの村で有名になり、観光客が訪れる程だった。
きっとこれからもメーちゃんと一緒に、綺麗なこの夢を叶えられると思っていた。
村に帰ると、地獄が広がっていた。
レーニェ
村の人達の無惨な死体と悲鳴。
うちはその光景をただ見ていることしか出来なかった。
メデュース
レーニェ
人間
人間
人間
レーニェ
人間
人間
人間
レーニェ
メデュース
人間
レーニェ
向かってくる人間を、切り刻む。
食材のように。
綺麗な夢の為に覚えたのに、汚いことの為に使った。
レーニェ
その刃は赤く染まった。
もう戻れない。
綺麗な夢なんてもう抱けない。
汚れてしまった刃じゃ、もう…
メデュース
レーニェ
レーニェ
メデュース
その日から、メーちゃんは料理を作らなくなった。
メーちゃんは、自分が作った料理のせいで村の住民が死んだと言っていた。
料理を色んな人に食べてもらいたかっただけなのに、魚人族というだけで攻撃される。
そんな間違った世界を、変えるために…
うちらはルカの仲間になった。
メデュース
シュウ
レーニェの記憶で何度も見たメデュース…戦法はもう把握済み…
だがもうアインの毒が触手に効いて、ほぼ再生していない。それにもうステルスを発動するだけの力も残っていない。
レーニェ
レーニェ
アイン
シュウ
シュウ
メデュースは徐々に近づいてくる。
シュウ
アイン
シュウ
レーニェ
レーニェ
一瞬でレーニェは私に接近し、全ての刃で攻撃してくる。
アイン
アインは毒針をレーニェに刺す。だが、攻撃は止まらない。距離を取るが、8本全ての刃を止めることは出来ない…
レーニェ
シュウ
アインの毒が効くのは時間がかかる。あと少し耐えれば不調が出てくるはず…
どんどん後ろへ追い詰められ、メデュースの方へ誘導されているようだ。
シュウ
捌き切ることができない鋭い攻撃が、腕や胴体を切り裂く。
背後に迫るメデュース。
短くなっていた触手はもう元に戻っていた。
アイン
メデュース
レーニェ
シュウ
触手と刃を全て捌くことはできない……
後ろは、アインに任せるしかない…!
アイン
アインが後ろからやってくる触手を一刀両断する。
アイン
私ですら揺らぐ。彼女らは自分たちの幸せのために戦っている。誰しもが幸せになる権利があるのに、人間たちが彼女たちの運命を変えてしまった。
確かにスライブ王国でも、その他の国でも西の魔王のせいで魚人族を警戒せざるを得なかった。
だが、全ての魚人族が危険という訳じゃない。間違った情報が、彼女たちの全てを変えてしまった。
シュウ
槍はレーニェの心臓を貫いた。
さっきまで暴れるように動いていた8本の足は、電源が抜かれたように力なく揺れる。
アインもまた致命的な一撃を与えたようで、ただ刃に付着した血が地面へ落ちる音と荒い呼吸音だけが響いている。
レーニェ
シュウ
シュウ
シュウ
シュウ
レーニェ
レーニェ
レーニェ
レーニェ
シュウ
シュウ
シュウ
アイン
アインは刃に付いた血を振り払い、二人に背を向けた。
アイン
シュウ
私もまた、殺伐としたこの路地に別れを告げた。
レーニェ
レーニェ
メデュース
メデュース
メデュース
メデュース
メデュースの体は少しづつ溶けていく。
手に触れようとするも、水になって溶けていく。
レーニェ
レーニェ
メデュース
メデュース
レーニェ
レーニェ
メデュース
目の前には、大きな水溜まり。そこにメデュースの着ていた服が落ちているだけ。
うちもまた、目を閉じる。
また綺麗な夢を抱けるように。
アイン
シュウ
アイン
シュウ
アイン
シュウ
アイン
シュウ
先輩は上着を脱ぎ、血の滲んだシャツがあらわになった。
アイン
シュウ
アイン
シュウ
アイン
シュウ
先輩は渋々、ぷちぷちと1個ずつボタンを外していく。
先輩の体は華奢ながら少しだけ筋肉はついている。いつもなら絶対に見られない先輩の姿に目を奪われた。
シュウ
アイン
ガーゼを当て、傷口を圧迫する。
アイン
アイン
シュウ
シュウ
アイン
アイン
アイン
シュウ
アイン
アイン
シュウ
シュウ
先輩は安心したように微笑んだ。
中央のエリアは大量の敵がいる。だが幸い一人一人の戦闘力は高くない。
剣を召喚して発射するだけで倒れていく敵ばかりだ。
ヴァウルス
通信機から声が聞こえてきた。
副団長
ヴァウルス
副団長
副団長
ヴァウルス
通信機を切り、視線を前へ戻す。
そこに大剣を持って音もなく佇む男が一人。
ルカ
ヴァウルス
ルカ
ルカ
ルカ
ヴァウルス
ヴァウルス
ルカ
ルカは巨大で重量感のある大剣をこちらへ向けた。使い古されているようで、所々に傷が付いている。
ルカ
ヴァウルス
私は神器ノーブリスを召喚し、前に構えた。
ヴァウルス
#ファンタジー