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ﾎﾟﾂｯ
ﾎﾟﾂｯ
ｻﾞｧｧｧｧｧ
夏奈
わっ…
夏奈
降ってきた…
夏奈
雨宿りするしかないかぁ…
数十分後
夏奈
止まないなぁ…
ｺﾂｯ
ｺﾂｯ
夏奈
ん？
夏奈
誰か来たのかな…
涼
大丈夫ですか？
夏奈
へ？
涼
雨、止まなくて困ってそうだったので…
夏奈
そうなんですよねw
夏奈
この後用事があって…
涼
俺の傘貸しましょうか？
夏奈
え？
涼
俺家すぐそこですし、濡れても大丈夫なので！
夏奈
え…でも…
涼
後日この家に持ってきてくれれば大丈夫ですから！
そう言って住所を書いた紙を渡してくれた
夏奈
え…じゃあお言葉に甘えて…
涼
はいどーぞ！
彼は笑って私に傘を貸してくれた
涼
じゃあ！
夏奈
え、あ、名前！名前は？
涼
涼。鮎川涼です
夏奈
私は夏奈。野々山夏奈だよ
涼
では、また後日
彼は走って曲がり角を曲がった
夏奈
明日返せばいいよね…
私はそう呟いて彼とは反対の道を歩いて帰った
しばらく歩いていると、空が明るくなり、雨も止んだ。
夏奈
やっぱりあのまま待っていればよかった…
夏奈
まぁいいか。明日返そう。
朝になり、また私は家を出た。
彼に傘を返すために…
夏奈
えっと…この辺だよね。
夏奈
…ここか。
夏奈
すいませーん
涼の母
はい？
夏奈
あの、昨日涼君に傘を借りて…
涼の母
え？
夏奈
え？
涼の母
…あの子は3年前に事故で亡くなったのよ…
夏奈
え…じゃあ…
涼の母
でもこれはあの子の傘…あなたが見つけてくれたのね…
そう言って涼君のお母さんは泣き出した
涼の母
ありがとう…
夏奈
いえ…大丈夫です。
通り雨が連れてきたのは、 君の傘と、幻でした。
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