そばにいて。
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今日は小六の時に転校した初恋の人との約束の学校。 私立VOISING高校の入学式。
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俺はずっとずっと会いたかった人の名前。
『側居 みこと』の名前を目で探す
……がなんど見ても見つからない。
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こさめが心配そうな眼差しでこちらを見ていた
自分の席に座るやいなや机に突っ伏している。
クラスの輪に入る気も起きない。
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隣で俺に喋りかけてきたのは目鼻立ちが整っていて 桃色と黄色のオパールのピアスが良く似合う男の子。
俺より何倍も大人びてて同い年とは思えないような容姿だ。
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あれ。どうしてなつくんが俺の名前を知ってるの? そんな疑問を抱いたけどとりあえず名乗ることにした
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担任
担任
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担任は呆れ顔で座ることを促している。クラスはどっと笑いに包まれた
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s.
s.
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机に置いてある鮮やかな青空色の便箋を握りしめて部屋へ駆け込んだ
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走ってもないのに息が浅くなる。
ずっと待ってた手紙なのに開けるのを躊躇ってしまう
きっとこの手紙は俺にとって虚しい現実だと思うから。
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らんらんへ ごめんね。怒ってる…よね ほんとごめん。俺実はバスケの推薦選ばれて 推薦校に行くことになったんだ 夢の為に頑張って突き進むからどうか応援して下さい。 こんな馬鹿の為に頑張ってくれてありがとうございました 俺の事は忘れて幸せになってね。 離れていても心は一緒だよ! また会う時まで少しさよなら。 みこと
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何度も何度も文を読んではもどってまたその文を読んで、の繰り返し。
手紙の文字はところどころ滲んでいた。
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みことに会うために勉強頑張って会えなかった時間を取り戻すために今日まで生きてきたのに。
そんなすぐ約束破る人じゃなかったじゃんっ、……!
悲しいを飛び越えて怒りが湧いてきてしまった。返事を書く気力も起きずご飯も食べず布団に潜って泣き続けた
昨日泣きすぎてさすがに朝から行くのは気が引けたので途中から登校することにした
静けさに包まれた廊下を1人ゆっくりと歩く。
目が腫れていたけど今は随分マシだ。
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今は物理の授業らしい。みんな眠そうな目で聞いている。
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なつがコソッと隣で囁いてきた
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図星を突かれて大袈裟な程に肩が跳ね上がってしまった
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そんな時にチャイムがなった。
次は昼休み。
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勢いで嘘をついてしまい、胸がチクチクと傷んだ。
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今日は笑顔を振りまくのもしんどい。他の人とたべてくれた方がこっちも気楽な気がする。
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あーあ。幸せそ。俺もみこちゃんが居たらこんなだったのかなぁ。
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頬を伝ったのは涙だった
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屋上の青空は俺の心を優しく包み込んでくれる気持ちになった。
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隣から聞き覚えのある声が耳に届く。
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彼は少し焦った様子。だけど少しわざとらしい。
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彼はその後何も言わず俺の側にいてくれた
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彼の優しさに触れて心がじわじわ暖かくなって涙がやんで辛かったことがなかったかのようにスっと軽くなった
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俺の髪をぐしゃぐしゃに掻き乱して 彼は背を向けて扉へ向かっていった
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彼のはにかんで笑顔を見て俺は胸の脈が早くなった 心の中で遊んでもいいかも。と素直に思えた
凄く久しぶりのゲームセンター。
隣に居るのはあのクセ者。
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真っ白い写真ブース。色んなポーズを指定される。指定されたポーズはできるのだが上手く笑うことができなくてとてもぎこちない。
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なつは俺の頬に手を伸ばし、頬を伸ばしたりしている また少しだけ胸が脈打った
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最後の一枚!飛びっきりの笑顔でねっ♪3!2!1!(機械
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あの日から数週間がたった。
今日も隣が騒がしい。俺の名前を呼ぶ彼の声が。
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彼のおかけで少しづつ笑顔になれる日が増えた
それと同時にドキドキしてしまう日も増えてきていた
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鞄から例のピアスを取り出す
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もっと喜んでくれると思っていた自分が恥ずかしく感じた
彼の周りが騒がしい。
いつもうるさいけど更にうるさい
理由は簡単。 彼が先日初めて休んだから。
でもそろそろかえって欲しい
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なつがよびかけるとぞろぞろ帰っていく。なんかほんとすごい
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今日もこさめの彼氏。夜月先輩の話を聞かされる。
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クラスメイト
クラスメイト
何やらすごく騒がしい。見てみると輪の中に居るのはなつ。
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なつは一瞬酷く顔を歪めた後いつもの爽やかな笑顔でいつも通り接していたが保健係に連れてかれた。
その後教室に帰ってきたなつ。やはり指が打撲していたようで。
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クラスメイト
担任
担任
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担任
n.
担任
n.
担任
シャーペンがおちるおとがした。 先を見ると酷く苦しそうな顔のなつ。
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彼はノートの字を隠しすました顔で板書し始めた
お昼休み。俺はあのことがずっと気になって仕方がない。
それは
"なつの字がみことと完全一致している事。"
特徴的な『や』、『さ』。何もかも一緒なのだ。
実はこの前も字を見たのだがそれは角張った男らしい字。
考えれば考えるほど分からなくなる
屋上の扉を開けるとそこにいたのは
壁に寄りかかって苦しそうな顔のなつだった
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なつが俺を強い力で抱き寄せる。その手は震えていた
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こんな時なのに胸がときめいた。
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数分話を聞いてなつも落ち着いたらしい。呼吸も規則正しく戻っていた
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聞くと言ったのに身体が聞くのを否定している
なつが俺の腕を力強く握る。
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なつ視点
もうずっと前のこと
俺らが中一の時にクラスのやつの財布が消えたんだ。
クラスメイト
クラスの一人がいうとみんな口々に好き勝手言い始めた
クラスメイト
クラスメイト
担任
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俺を庇ってくれたのはつい最近転校してきたみことだった
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クラスメイト
クラスメイト
クラスメイト
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クラスメイト
あれから俺らはすぐ打ち解け、仲良くなった
が。
その楽しいは永遠には続かなかった。
みことに肺がんが見つかった。
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肺がんなのを感じさせないくらいみことは元気 夢なのかと感じる程。
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調子が良さそうに笑う彼。副作用に酷く苦しむ彼。
色んな彼を見た。
ある日。彼がピアスをくれた。
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このピアスには『みことの病気が早く治りますように。』と願いを込めて治るまで外さないことにした。
あれから3ヶ月がたった。 みことの病態は悪化してついには文をかけなくなった。
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みことの要望を受け入れてみことの完全夢日記をらんに描き続けた
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らんから帰ってきた手紙を読み聞かせる度にいつも幸せそうな笑顔で聞くから俺まで嬉しくなった。
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俺は病室にあるありったけのものをみことに投げつけ部屋から出た
みことに言われることは全部分かってたんだ。みことならきっと言うだろう。と思ってたから。
その時は落ち着いて了承しようとおもってた。
けど全然優しくみとめられなかった。なんならみことを傷つけた。
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自分が醜くて最っ低で。叫びたくなった。
久しぶりに来た彼の病室を開けた俺はあまりの驚きに空いた口がふさがらなかった。
そこにいたのはいろいろな管に繋がれて酸素マスクをつけられ、弱々しく何も無い壁に手の甲を向けて何かをつかもうとしているみことだった。
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あぁ。今日はちゃんと言える。
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あれから死ぬほど頑張って勉強して見事合格した。
ちゃんとらんにもあえてらん1人だけを撮ったプリクラをみことにプレゼントしてみたりらんと話した内容を教えてあげたり。
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最近みことは毎日言うんだ。
『もし、らんを好きになったら全力で好きになれ。』
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ついに喋るのも困難になったみこと。
俺に立ちはだかったのは
さらに辛い現実。
みことの治療終了だった
みことは回復の余地がないらしく残りの数ヶ月はみことの精神ケア治療に乗り移るらしい
ずっとずっと泣き続け居た時。ちょうどらんが来て今に至った事を全て話した。
らんの目には涙が溜まっていた
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ちょうどスマホから通知がなった
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俺らは屋上を駆け出した
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夜月先輩こと、いるまはみことの義理の兄。
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震える手と口。
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俺は勇気を振り絞ってみことのそばに駆け寄った瞬間涙が溢れた
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髪は抜け落ちていてガリガリにやせ細った手。けど生暖かい。
まだ生きてるんだ。と安心して次々に涙が溢れてみことの腕に俺の涙が落ちていった
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みことは目で誰かを探している
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みことは静かに頷く
なつの手を取って連れていくと凄く穏やかな笑顔でわらった
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なつの張り上げた声はすごく必死で。涙が出た
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パニックに陥り、嫌だを連呼してみことの手を離さないらん。
そんならんを見てみんな酷く心を痛ませていた
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らんの手をみことの手から引き離す。
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みことはらんの頭の上に手を置いて優しく髪を撫でた
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『みこと。行ってらっしゃいッッ゙…!』
11月26日。自分の誕生日の一日後。彼は空へ移住していった
四十九日。
今日は二人でみことの墓参り。 それなのに風はびゅーびゅーと吹き荒れている
らんは細くて綺麗な手を擦り合わせている
みことに言われた時はらんなんて好きになるわけない。そう思っていた。けど今はあの言葉にすごく共感できる。
みこと。告ってもみことは怒らないか?
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よし
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俺は嬉しくて涙が出た
n.
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n.
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ありがとうっ、!
そばにいてよ。
… 𝗍𝗁𝖾 𝖾𝗇𝖽
ご視聴ありがとうございました!
ここでちょびっと小ネタです
気付いた方いらしたでしょうか。
登場人物の苗字の最初をとると…
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k.
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繋ぎ合わせると『そばにいるよ』という文字になるのです……!
以上ちょびっと小ネタでした!笑
こんなに長い話を最後までご愛読誠にありがとうございました。
これからの作品にもしばしご期待を。
完
コメント
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まってほんとに天才だね 最後ので涙出てきた これからも応援してます (