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私訳 徒然草

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私訳 徒然草

20 - 私訳 徒然草 第十九段

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2022年02月15日

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兼好法師

季節が変わっていく、

兼好法師

それこそ最高に、

兼好法師

いいもんだなぁ。

兼好法師

「一番いい季節は、

兼好法師

秋だよ」

兼好法師

なんて言う人ばっかだけど、

兼好法師

たしかにそれもわかるが、

兼好法師

特別心がわき上がるのは、

兼好法師

春の風景でしょ。

兼好法師

鳥の声も春っぽさが出てて、

兼好法師

のどかな日の光と、

兼好法師

家の庭の壁に、

兼好法師

草が芽を出すころから、

兼好法師

だんだん春の感じが、

兼好法師

強くなってきて、

兼好法師

山の霧も広がっていって、

兼好法師

花とかもゆっくりと、

兼好法師

色が濃くなっていく。

兼好法師

そんなときに、

兼好法師

雨や風が降りっぱなしで、

兼好法師

心も落ちつかずに、

兼好法師

花も散っていく。

兼好法師

花ってのは、

兼好法師

しっかりと大人になるまで、

兼好法師

いろいろと、

兼好法師

人の心を悩ませる。

兼好法師

橘の花は、

兼好法師

良い花だと有名だけども、

兼好法師

匂いなら梅のほうが、

兼好法師

昔を懐かしく思い出させる、

兼好法師

力があるよね。

兼好法師

山吹の花が、

兼好法師

キレイなのも、

兼好法師

藤の花が、

兼好法師

はかない感じなのも、

兼好法師

ぜんぶ、

兼好法師

気にしないことが出来ないもんだ。

兼好法師

ある人が、

ある人

「四月にある、

ある人

灌仏会(かんぶつえ)ていうイベントとか、

ある人

葵祭(あおいまつり)とか、

ある人

若い葉っぱがすずしい感じで、

ある人

育っていくぐらいが、

ある人

世界の美しさとか、

ある人

人の恋しさとかが、

ある人

いっそう強くなる。」

兼好法師

って、言ってたけど、

兼好法師

たしかにそうなんだよなぁ。

兼好法師

五月の、アヤメの花を屋根に敷いたりする時期や、

兼好法師

田植えをし始める六月の、クイナの鳥が鳴くころとか、

兼好法師

寂しくないよね

兼好法師

六月に、地味な家に

兼好法師

夕顔の花が白く咲いて、

兼好法師

蚊取り線香をつけてるのも、

兼好法師

いい感じだよなぁ

兼好法師

六月の夏越(なごえ)の祓(はらえ)っていう

兼好法師

イベントもまたいいよね。

兼好法師

七夕は、実に優雅だ。

兼好法師

夜がだんだん寒くなってくるころに、

兼好法師

雁(かり)の鳥が鳴き始めて、

兼好法師

萩(はぎ)の木の下のほうの葉に、

兼好法師

色がつきはじめて、

兼好法師

早めの稲(いね)刈りをしたりとか、

兼好法師

よさげなことは、

兼好法師

秋にばっかり集まってる。

兼好法師

後は、台風が来た次の朝も、

兼好法師

いいもんだ。

兼好法師

こんな感じで言いまくってると、

兼好法師

だいたい、源氏物語や枕草子とかの、

兼好法師

昔の本で語られてることと、

兼好法師

同じことの繰り返しになるんだけどさ。

兼好法師

でも、今もう一回、

兼好法師

言ったらダメって決まりはないんだ。

兼好法師

感じたことを口に出さないと、

兼好法師

お腹にたまってしょうがないんだ。

兼好法師

だから書きたいままに書いてるのって、

兼好法師

ただの、しょうもない暇つぶしで、

兼好法師

すぐに破り捨てるようなものだから、

兼好法師

人に見せるようなもんじゃないよ。

兼好法師

でもさ、冬の感じも、

兼好法師

秋にそう簡単には負けないよね。

兼好法師

海の近くに生えてる草に、

兼好法師

紅葉がちりばめられて、

兼好法師

霜(しも)がとても白くなってる朝に、

兼好法師

庭に作った川から煙が出てるのが、

兼好法師

いいんだ。

兼好法師

年末の、

兼好法師

みんながいそがしくなってるころが、

兼好法師

比べようもなくいい感じだ。

兼好法師

ただ、そういう良さを感じないのは、

兼好法師

誰も見てない月が、

兼好法師

ポツンと寒そうに浮かんでいる、

兼好法師

12月20日過ぎの空。

兼好法師

それが、

兼好法師

さびしくてしかたない。

兼好法師

御仏名(おぶつみょう)や荷前(のさき)の、

兼好法師

12月にやる行事で、

兼好法師

人が動くのが良い。

兼好法師

宮廷でやる仕事を、

兼好法師

春のいそがしい時期に、

兼好法師

一気にやってるのは、

兼好法師

ものすごい。

兼好法師

追儺(ついな)っていう大晦日の行事を、

兼好法師

四方拝(しほうはい)っていう元旦の行事まで、

兼好法師

ひきつづいてやるぼが、

兼好法師

面白い。

兼好法師

元日の夜の、

兼好法師

すごく暗い中で松明をともして、

兼好法師

夜中が過ぎるぐらいの時間まで、

兼好法師

人の家を訪ねたり、

兼好法師

あちこち走り回ったり、

兼好法師

何かあるのか騒ぎまくって、

兼好法師

足が地につかないほど焦ってたのに、

兼好法師

夜が明けると、

兼好法師

やっぱり音もしなくなって、

兼好法師

昨年の名残が寂しくなる。

兼好法師

亡くなった人の魂が帰ってくるから、

兼好法師

それを歓迎するお盆の祭りは、

兼好法師

最近の都会ではしてないけど、

兼好法師

東の田舎のほうだと、

兼好法師

まだしてるってのが、

兼好法師

しみじみと良いね。

兼好法師

こうして明けていく空の色は、

兼好法師

昨日のものと変わりなく見えるけど、

兼好法師

すっかり新鮮な気持ちがするなぁ。

兼好法師

都会の大きな道でも、

兼好法師

門松を立ててるのが、

兼好法師

ずらーっと並んで、華やかなのが、

兼好法師

また、いいんだ…

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